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無為流転 ~どうということもない日々を綴る~  作者: 紫蘭
令和二年(二〇二〇年)九月
34/37

九月二十四日 母の歯

九月二十四日 木曜日 曇時々小雨


 朝早くから母がやってきた。


 「前歯が取れそうなんだけど」と第一声。


 今日は母と買い出しに行く予定だったが、母は前歯がとれそうなので歯科の予約を取らなくてはならず、時間がわかるまで身動きが取れないのだ。


 9時過ぎになり母から連絡が来る。11時半から診察をうけるそうなので、その後に買い物に行こうと提案してきた。歯の治療もあるだろうからと1時間程度の予定と思い、12時半に待ち合わせをした。


 12時頃、出発の準備をしていた時に母より連絡が来る。思ったより早く終わったということで買い物予定のスーパーで待ち合わせ、そこで見た母はどうも治療はしていないようだった。先生曰く「いずれ抜けますから、また抜けそうになったら連絡ください」ということで処置すらしなかったらしい。しかし、いずれ抜けるからと言って何も処置はしないものなのだろうか。


 母は歯科では4ヶ月毎にメンテナンスをしてもらっている。私たち家族も受けている。前回行ったのは1~2ヶ月前らしいが、先生から「ものすごく汚れていますよ。」「きちんと歯を磨いていますか。」と言われたそうで、どうしたら良かったんだろうかと思い悩んでいるようだった。


 もしかしたらヤブなのか。そういう不信感も沸いてくる。直接話を聞いたわけでもないのでどういう口調や文脈での話だったのか情報が少ないが、今回、歯が抜けるほど悪化していたなら前回の診察時に兆候があり、そこで何らかの判断が合ってもおかしくないのではないかとまで思うほどだ。


 母の昼食はホットドッグだったが、歯に当たる部分が気になるようで食べにくそうだったのがどうにも痛々しかった。


 夜、妻はもともと歯科の歯科助手の異動が激しいことや技術の個人差などで不満はあったみたいだが、経緯を聞いてさらに不信感を持ったらしく、早速家から通える歯科を探そうとしていた。

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