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無為流転 ~どうということもない日々を綴る~  作者: 紫蘭
令和二年(二〇二〇年)九月
31/37

九月二十一日 神戸どうぶつ王国

九月二十一日 月曜日 晴 


 四連休の三日目、神戸どうぶつ王国へ息子を連れて行く。昨晩、息子に伝えたところテンションが上がり、ずっとどうぶつ王国のことばかり気にしていた。朝になっても変わらないテンションぶりで、朝ご飯や着替えよりもどうぶつ王国について話し続けていたので、早くしなさいと言わないと全く進まない有様だった。


 連休中は通常より早めの九時半開園。人が多くなる前に行こうと早々に開園を目指して出発をする。息子も小さいリュックを担いでいる。ミニチュアみたいで可愛い。ポートライナーに乗り換える頃には子供連れの人たちがそれなりにいて少し焦る。


 「それでも、少ないほうじゃない」と妻。


 確かに、速いとはいえ、連休にしては少なく感じる。


 入場時は兵庫県のコロナ追跡システムを登録して、熱を測って入場。中はまだまだ混んでいない。息子がどこからかパンフレットを取ってきて手渡してくれる。これで案内しろということだ。


 朝早いからだろうか、動物たちは活発的でない。スマトラトラは寝ている、ピューマも横になっている、ウルフもいくらか寝ている。アライグマはたれパンダになっている。夜行性とはいえ威厳なんてあったものではない。


 妻のお気に入り、コビトカバは水槽を右へ左へと泳いでいた。二匹いるらしいが交互一匹ずつの公開ということだった。真横から見るのは初めてなので思ったより大きいと思ったが、それでもカバにしては小さいのだろう。短い手足を動かしている姿はどこか可愛らしくもある。もう少し広めの場所で二匹共に見れたらいいが臆病でそうも行かないらしい。コビトカバを見た妻は「もう帰っても良い」と満足していた。


 その後、屋外にへと向かう。息子たちがどんどん進んでいく中、私はペンギンで立ち止まってしまう。数センチ上からペンギンたちを眺めることが出来て、その泳いでいる様子はずっと見ていても飽きが来ないのだ。あまりにペンギンたちを見続けたため、周りに妻や息子がいないことに気が付かなかった。その頃、息子はカンガルーや亀、バンビがいるところで餌やりを楽しんでいた。カンガルーは怠惰なイメージがあったが、ここのカンガルーたちは思いのほか活動的だった。


 そろそろ日差しが強くなり人も多くなってきた頃、ドッグステージの前の席が空いていたので軽く休憩を取る。息子はリュックから動物図鑑を取り出し色々確認しているようだ。


 屋内に入ると人が倍増していた。フードエリアは長蛇の列だ。お昼ということもありそろそろ昼食を取ろうと園を出る。混み合った入場口は人が多く、疲れて殺気立った親御さんとはしゃぐ子どもたちがせめぎあいをしていた。


 息子は家に帰ってからも、翌日になっても楽しかった、また行きたいと言ってくれた。行ってよかった。

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