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無為流転 ~どうということもない日々を綴る~  作者: 紫蘭
令和二年(二〇二〇年)九月
22/37

九月十二日 ナンプレ

九月十二日 土曜日 晴 


 息子がお稽古へ行っている間に妻と本屋へ行く。売り場を一周して妻の元へ行くと雑誌売場の前で悩んでいる妻がいた。悩んでいる原因は大人の科学マガジンという工作ものの雑誌。プラネタリウムと活版印刷の二冊を気にしていたようだった。しかし値段は三千円と安くはない。口コミなどで内容を調べてから買うようしてはどうかと提案した。


 多分小一時間は悩んでいた。気がつくと息子を迎えに行く時間だった。


 プラネタリウムは思っていたのと少し違っていたみたいで早々に諦めが付いたみたいだったが、活版印刷の方は諦めがつかなかったらしく、時間切れで泣く泣く諦めたみたいだった。活版印刷はたしかに小さく可愛い割にしっかりと印刷も出来るようだ。私も欲しくなる出来だ。だが、これだけ決めかねているならと今回はご縁が無かったと諦めることにした。


 帰宅し、手慰(てなぐさ)みのつもりで息子のナンプレ雑誌を始めてしまう。軽い気持ちで始めたのは間違いの元だった。息子はナンプレ、今は数独とも呼ばれるらしいが、とクロスワードにハマっていて、ナンプレ雑誌はせがまれて買ったものだった。


 私はナンプレは普通レベルならそれなりに得意である。スマホゲームではタイムアタックもしている程だ。しかし、紙のナンプレはスマホゲームとは違い間違いにシビアだった。消したり書き直したりと非常に手間がかかる。数字はあってるはずなのに最後が合わないことが何度も起こり、都合三回やり直した。一度目は何も工夫せずに、二度目は候補の数字を綺麗に消し、三度目は候補の数字を位置を決めて書いた。だが、最後の辻褄が合わない。疲れてきた。


 何分も、何十分も繰り返し失敗して心は折れそうだった。心身を休めるためにも一旦休憩を入れる。小一時間経ったくらいだろうか、再開する。候補の数字を綺麗に並べ、綺麗に消す。見落としがないか確認をする。この二つを遵守した結果、四度目の正直で正解にたどり着いた。最後の段階に至るスピードもこれまでになく早かったと思う。


 もちろん、この後夕飯前まで滅茶苦茶ねた。

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