表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無為流転 ~どうということもない日々を綴る~  作者: 紫蘭
令和二年(二〇二〇年)九月
21/37

九月十一日 バス停

九月十一日 金曜日 曇のち雨


 今日のバスでの出来事。


 バスターミナルに到着する際に道路から停車場にL字ルートで入っていくバスに対してバスの横っ腹、巻き込み位置に向かって突撃するおばあさんがいた。バスの運転手は危険だとマイクで伝えるが聞こえないのか全く足を止める様子もない。


 もうすぐぶつかる、とバスの乗客たちも色めきだつ。しかし、おばあさんは寸前でバスの存在に気づき足を止めた。その瞬間だった。バスの中から一斉に怨嗟の声とも呼べる非難が沸き起こった。「危ないだろ!」「何考えているんだ!」等とまわりの乗客から、愚痴を言うかのような小声が上がったのである。


 おばあさんによりバスが立ち往生したこともありストレスが溜まっていたということは理解できるが、バスという日常の中でまさか皆が皆、小声とはいえ口に出してまで文句を言うとは思ってもみなかったのだ。ただ、降りてからもその怒りが続いているわけではなく、外のおばあさんに詰め寄る人もいなかった。単なるストレスの発散といったところなのだろう。


 帰りは帰りでバス停であるあるの「並び方問題」が起こる。このバス停のベンチは標識の横ではなく道路の逆側にあるので下手に並ぶと二列出来てしまうのだ。一番目の人はベンチ側だ。二番目の私はベンチに座るほどでも無いと思い標識横に立った。並んだときには気にしなかったがふと後ろを見るとベンチ側に長蛇の列だ。そして私の後ろには誰もいない。


 蒸し暑さも相俟って嫌な汗が流れ始める。「早くバスが来てくれたら良いのに」と変に焦るがあと十分は待たなければならない。その間ずっと「一人でそこにいるヤツ誰だよ」「ちゃんと並べよ」との声が聞こえる気がする。ずっと公開処刑されている気分だった。


 十分後、バスが来た。乗り込む際に三番目の人が私が乗り込むのを待っていてくれた。安心したと同時に後ろに並ぶ人を信じれなかった自分が恥ずかしくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ