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無為流転 ~どうということもない日々を綴る~  作者: 紫蘭
令和二年(二〇二〇年)九月
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九月六日 台風と運動会

九月六日 日曜日 曇のち雨


 今は晴れてはいるが台風の影響で午後から雨が降るという。いつ雲行きが怪しくなるかはわからないが、できれば外出したい。しかし、前日の疲れが足に残っていて痛みが少しある。下手に歩くと腫れがひどくなる。朝から一日どう過ごすかで悩んでいて気がつけば昼が近づいていた。


 昼食を食べる頃には曇り空となっていた。いつ雨が降り出すかわからない、いつ風が強くなるかもわからない。結局、なにもせず一日ダラダラしようと決めた。


 息子は忙しそうに遊びだす。子供はダラダラなんかしようがない、時間があれば遊び、学ぶ。学校の宿題は出来ているのだろうか、そんなに散らかして妻の雷が落ちないだろうかなどと静かに見守っていたが、やがて飽きたのか母のいる母屋の方へと出ていった。


 二人っきりになった部屋で妻は真剣な表情で口を開いた。


 「あのね……」


 妻が急に重々しく溜めて口を開く。久々に真剣モードの口調なので私は何事かと不安になる。やましい事は何もないのに、何か悪いことでもしたのかといろいろと思い出そうとしてしまう。


 「学校のことなんだけど……」


 私のことではなさそうだと胸をなでおろしつつも息子のことで何かあったのかと再び不安になる。


 「運動会が十月の月初げっしょにあるんだけど、月初げっしょは仕事がどうしても休めないの。お義母さんと行ってきてほしくてね。どうして月初げっしょに運動会なんてやるんだろうね。行けない人も多いだろうに。」


 怒涛のごとく溢れ出す圧倒的不満。月末・月初は事務系にとっては仕事が特に多く鬼門なのだ。かなりご立腹のご様子で不満をぶちまけていく。私の不祥事、身に覚えはないのだが、についての言及ではなくてよかったとようやく気持ちに余裕が戻った。


 「小学校入って初めての運動会だから楽しみにしてたのに行けないとか最悪。」


 これはまずい。少なくとも今日一日は機嫌が悪くなりそうだ。これから台風がきつくなるというのに妻の機嫌まで悪くなったら内外ともに落ち着かなくなる。ひとまず話が一段落したところで逃げるように自室へと向かった。

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