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無為流転 ~どうということもない日々を綴る~  作者: 紫蘭
令和二年(二〇二〇年)九月
11/37

九月一日 眼鏡の修理

九月一日 火曜日 晴


 先日の安倍総理の辞任会見から起こった次期自民党総裁選び、総理候補は麻生財務省と二階幹事長が菅官房長官を推したことでほぼ趨勢は決したようだ。これからは他の総裁候補にとっては党の内外へ向けての自己アピール期間といったところだろう。


 そんな記事をスマホで読みながら電車に乗っていた。以前出した眼鏡の修理を受け取るために神戸三宮へと向かっている。平日午前中はやはり人が少なくのんびりとした空気が漂っている。


 地上は無慈悲にも熱射が降り注いでいた。駅からの移動を地上移動か地下移動かで迷ったが今日は地上から行くことにする。先日、地下を移動したもののそこまで涼しくはなかったからだ。ならば遠回りしない地上から行ってしまうほうが早く身を休めることができる。


 センター街の中ほどにある眼鏡店は二ヶ月ぶりになる。修理を依頼してから痛風になったために受け取りに行けなかった。ぼろぼろだった眼鏡は塗装が綺麗に施され修理から戻ってきた姿は新品のようにも見えた。


 眼鏡はドイツ製のフロイデンハウスというブランドの眼鏡で縦幅が細めのシャープだが、サイドはやや太め。シンプルかつスマートで気にいっていた。数年前から日本に入らなくなっており壊れたら替えがきかず、前枠とツルの間のヒンジ部がいつ壊れるかとヒヤヒヤしている。


 直った眼鏡を受け取ったあと時間に余裕があったので近くのジュンク堂で少し本でも探そうかと立ち寄った。しかし、二階にあるナガサワ文具で足止めされてしまう。意外と実用的な文具はロフトやハンズに比べてもひけを取らない品揃えで、気がつくと一時間ほど経っていた。文具店恐るべし。


 この日一番気になったグッズは見た目は文具、中身は化粧品というステーショナリーコスメというもの。のりの入れ物なのにハンドクリーム、クーピーペンシルかと思いきやマスカラといったアイデアグッズだ。こういったものを見つけることができるので文具店は面白い。


 そろそろ足も痛くなってきそうだったので早々に家路に付くことにした。本を探すことは出来なかったが、何かアピールしているわけでもないのについつい寄ってしまう文具店の誘惑は半端ないと改めて感じた。

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