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黒き賢者の血脈  作者: うずめ
第三章 王立士官学校
44/129

王都

アップ予約の日時指定を間違えてしまい、二日程遅れてしまいました。


【作中の表記につきまして】


物語の内容を把握しやすくお読み頂けますように以下の単位を現代日本社会で採用されているものに準拠させて頂きました。

・距離や長さの表現はメートル法

・重量はキログラム(メートル)法


また、時間の長さも現実世界のものとしております。

・60秒=1分 60分=1時間 24時間=1日 


但し、作中の舞台となる惑星の公転は1年=360日という設定にさせて頂いておりますので、作中世界の暦は以下のようになります。

・6日=1旬 5旬=1ヶ月 12カ月=1年

・4年に1回、閏年として12月31日を導入


作中世界で出回っている貨幣は三種類で

・主要通貨は銀貨

・補助貨幣として金貨と銅貨が存在

・銅貨1000枚=銀貨10枚=金貨1枚


平均的な物価の指標としては

・一般的な労働者階級の日収が銀貨2枚程度。年収換算で金貨60枚前後。

・平均的な外食での一人前の価格が銅貨20枚。屋台の売り物が銅貨10枚前後。


以上となります。また追加の設定が入ったら適宜追加させて頂きますので宜しくお願いします。

 《海鳥亭》にルゥテウスが約十年振りの帰郷を果たしてから一夜明けた3048年5月26日早朝。


「一夜明けた」と表現したが、ルゥテウスが立ち去ったのは日付が変わって2時過ぎであったので、今日の仕入れを担当するジョルジュが実際に眠れたのは二時間も無かったはずだ。


彼は突然の従甥の来訪……とその余りにも初恋の相手であった「彼の母」の面影に似た顔貌に余程衝撃を受けたのか、入浴後にベッドに入ってもなかなか寝付けず、思い出したように彼が帰り際に残していった青い色をした瓶入りの薬を一気に飲み干した。


その後の事は殆ど憶えていないのだが、目が覚めると時間は丁度仕入れに行く日にいつも起床する4時少し前であった。


 海鳥亭はルゥテウスが暮らしていた頃は概ね22時頃までの営業時間であったが、ジョルジュが帰郷した二年前からは食材の仕入れ量を増やす事で営業時間を二時間程延長していた。


翌朝の仕入れを父と一日交替で行うことにし、彼は偶数日に仕入れを担当している。

昨夜は父から家伝の燻製製作の仕込みを教わっていたので彼も閉店まで店に居たが、本来ならば翌朝の仕入れに行く者は22時で先に切り上げて入浴を済ませて早目に床を摂り、翌朝の4時に起床するわけだ。


ジョルジュとしては父も流石に歳を重ねてきたので無理をさせたく無いとの思いがあり、朝の仕入れは毎日自分が行くようにしたいのだが、こればかりは父が頑として許さない。


なので妥協の産物として偶数日の朝の仕入れを自分が担当し、一旬の中で回数が一日多い奇数日で閉店までを担当するようにしたのだ。


 ジョルジュは元々近所でも評判の「孝行息子」であり、嘗て王都の名店で親戚が経営する「双頭の鷲」が修行先として受け入れてくれるという話を母から聞いた時も


「このままダイレムに残って実家の店で修業しながら手伝いたい」


という意思を示したのだが、父に


「俺も若い頃に親父から言われて国中の名店を巡り歩いた事があった。

母さんと出会ったのもその時だったが、本心では伝統ある双頭の鷲で腕を磨いてみたかったさ。

だからお前はせっかくのこの機会を有り難くお受けしろ」


と諭され、故郷に両親を残して王都に旅立って行ったのだ。


 修行に出て10年。まだ少年の面影を残していた海鳥亭の跡取り息子は王都の名店で腕を磨き、最先端の調理技術を修めて帰郷した。


修行中は素材を見極める力を磨く為に進んで毎朝の仕入れを志願して結局見習いの頃から10年間、一日も休まずに王都の中央市場に通った。

「双頭の鷲のジョー」の名は市場でも有名になり、気付けば数百年の歴史を誇る王都の名店でも随一の目利き技術を30歳前にして修得していた。


ジョルジュが帰郷して海鳥亭の仕入れに加わるようになってから、ダイレムの市場関係者はこの「偶数日にやって来る若造」の厳しい目利きに困り果て、翌日の奇数日にやって来る父親に愚痴をこぼす様になって父親を大笑いさせていた。


 ジョルジュはベッドから起き上がって自分の体調に驚いていた。

自分は恐らく一時間も寝ていないはず。本来ならば「仮眠」程度の睡眠にしかならないはずなのに疲れが全く残っておらず、今も何時に無くすんなりと起き上がる事が出来たのだ。


ベッドから降りて着替えを済ませると、部屋を出て下の階に降りる。恐ろしく体が軽い。とても一時間弱しか眠れなかったとは思えないのだ。


下に降りてみてジョルジュは更に驚いた。自分が仕入れの日には起床時間が一時間は遅いはずの両親が既に起きており


「よぅ、ジョー。おはよう!」


などと父はいつもの朝よりも無駄に元気が良い。


「あら、ジョー。おはよう」


母も何故か起きて来ており、箒を持って外に出ようとしていた。


「あれ……?父さんも母さんも……何で起きて来ているんだい?」


不思議に思ったジョルジュが尋ねると


「うーん。判らん。今朝……というか、さっき寝たばかりだと思ったんだがな……。

何故か勝手に目が覚めてしまったんだよ。

そしたら、ほら。全く体が軽くなっててな。ははは」


「そうね……あたしも何故か今朝は凄く目覚めが良くて……」


結局は両親も不思議に思っているようだ。


「あっ、そうそう。寝る前にルゥちゃんが置いていった薬を飲んだわ」


妻の言葉を聞いたユーキも


「おぉ。俺も飲んだな。せっかくルゥの奴が置いていってくれたんだと思ってよ」


「俺もあの薬を飲んだんだが……もしかしてあの薬が効いているのか……?」


ジョルジュが首を傾げながら話すと


「きっとそうよっ!ルゥちゃんの薬のおかげでこんなに元気なんだわっ!」


とラミアが笑い出した。そんな母の様子を見たジョルジュはある事に気付いて驚いた。


「おいっ!母さん!かっ、髪が……とっ、父さんも……か……?」


「ん?あたしの髪がどうしたって?」


ラミアが自分の髪を撫でながら夫の髪を見る。少し寝癖が付いた夫の銀色の髪は一見して何も異常が見られない……が


「お、おわっ!らっラミア!お前……そう言えば……!」


同じように妻の頭を凝視していたユーキも「何か」に気付いて驚きの声を上げた。


「な……何よ……?二人して……どうしたってのさ」


ラミアは自分の髪を益々撫でくりながら不安気な声を漏らす。夫と息子の驚き様が普通では無いように見えた。


「かっ、母さん!髪っ!髪っ!ちょっと!鏡を見て来いよっ!」


ジョルジュの尋常では無い様子に不安に拍車がかかり


「いっ、一体何だって言うのさ……」


と、ブツブツ言いながらラミアは厨房の横から裏口の手前にある浴室の鏡を見に行き


「なっ!何これっ!」


と、裏口の方から悲鳴のようなラミアの声が聞こえ、彼女は頭を抱えながら戻って来た。


「何よ……こっ、これ……」


自分の頭髪の変化に夫や息子よりも驚く。


 ラミアの髪……元は燃えるような赤毛だったのだが、歳を重ねて初老の域を超えてからは、その髪色にも色が抜けてやや灰色がかり、一部には白髪も混じるようになっていた。

それが今は……若い頃のようなそれこそ「燃えるような真っ赤」に戻っていた。


妻の様子を見たユーキも急いで浴室に向かう。彼の髪は元々は銀髪で、これはどうやらヘンリッシュ家代々の遺伝的特徴なのだが、この髪色のせいで彼の白髪は目立つ事が無かった。


しかし近頃は薄暗い室内でランプの灯越しに見ると色抜けした白髪が透き通るように見えるようになっていたのである。


浴室から戻ってきたユーキも、やや呆然としながら


「お……俺の髪も……元に戻ってやがる……」


と……漸くという感じで言葉を漏らした。


「アンタ……それどころじゃないよ……頭の後ろの薄毛が……元に戻って……」


自分もまだ混乱気味の妻からの指摘にユーキは慌てて後頭部を両手で撫でつけて


「なっ……!本当だ……本当だっ!わははは」


と、よく分からないままに喜んでいる。


「ちょ、ちょっと……お、俺は……俺はどうなんだ?」


両親の異変を見て自分の頭をやはり両手で撫で回していたジョルジュが言うと


「うーん……お前は変わらんな……。お前は元々まだ白髪も薄毛も出る歳じゃねぇだろ」


父親は息子の頭部を眺めて感想を漏らした。


「これもルゥちゃんの薬のせいかしら……」


とラミアが不意に疑問を口にすると


「そっ……そうなんだろうな……。あいつは本当に凄い奴だな……」


と夫も真顔になって呟く。あの大甥は10年前も青い光を放つ凄まじい切れ味の包丁を二本残して行った。

今回も一家が驚愕するような「置き土産」を残して行ったのである。


「おっと……仕入れ……出遅れて市場で雑魚を掴まされちまう……」


思い出したようにジョルジュが庭に置いてある車を出しに裏口に向かおうとするのへ


「お、おう。俺もせっかく早起きしたから今朝は二人で行こうぜ」


と同行を申し出た。


「そうか。じゃ、ちょっと車を出して来るから表で待っててくれ」


とジョルジュは裏口に続く廊下に消えた。


「さて。あたしもちょっと早いけど外の掃除をやるよ……」


箒を持って外に出る妻に続いて表口の扉をくぐりながら


「今度はもっと早く帰ってこんかな……」


とユーキは呟いた。


****


 ルゥテウスは自分の戸籍を書き換えた後、朝になってからキャンプに戻りノンと役場の食堂で朝食を摂っていた。


ノンが教えている見習い薬剤師の「三人娘」は毎朝5時に起きて、今ではすっかり空地が目立つようになった旧工場地域の跡地周辺に、食堂で貰った弁当を持って薬草を採りに行っている。


どうやらノンは彼女達に十日おきのローテーションで、キャンプ内の違った場所にそれぞれ生育している様々な種類の薬材採取を課しており、彼女たちはそれぞれの場所に日替わりで廻って薬材を探す。


採取場所と言っても、採取するのは植物由来のいわゆる「薬草」だけでは無い。未だキャンプに残っている数少ない酪農家から動物由来の素材を貰ってくるという「回収」もこれに含まれる。


十ヵ所の採取地点を十日おきに回るので、一ヵ所につき都合毎月三回採取に訪れることになる。

収穫量に拘るのでは無く、違う種類の薬材を繰り返し違う場所へ定期的に廻らせて採取させることで、それぞれの薬草の生育場所やその環境条件を覚えさせるのが目的のようだ。

これはノン自身が嘗てルゥテウスに教えられた薬材採取の習得法であった。


 そしてノンは(かしま)しい三人娘が居ない間に店主と二人だけの朝食を楽しむ事を日課にしていた。


「もうご家族にお会いになられたのですか?」


「あぁ。まぁ、家族と言うか……親戚だな」


「そうなのですか?」


「祖母の兄上だからな。続柄としても傍系で三つも離れている。お前にはそういう親戚は居ないのか?」


「亡くなった母からはそういう方々の事は聞かされておりませんでした……」


「ふぅん……。そうか。じゃ、親戚家族は俺だけという事になるのか」


「えっ……?」


ルゥテウスから「家族」と言われてノンは絶句し、スープを掬うスプーンを持つ手が止まってしまった。


「何だ。どうした」


「あ……いえ……」


ノンは顔を真っ赤にしながら慌ててスープを飲む作業を再開した。目の前の美しい青年は、そんなノンの様子に構う事も無く


「今日は王都の様子を見に行くかな」


自分の予定を口にした。


「お、王都はやはりサクロよりも賑やかなのでしょうか?」


動揺していたノンは気を取り直して目の前の店主に尋ねてみると


「ん……?あれ……?お前は王都に行った事が無いのか?」


意外そうに話す店主に対してノンは


「ええ……私はこちらの大陸では生まれてこの方……領都よりも遠い場所には行った事がございませんので……」


と応える。


 ルゥテウスに出会う前のノンはキャンプで生まれ、その中で育ちながらも最後の家族……母を亡くしてからは領都のスラムにあった偽装酒場で元《赤の民》の偽装店員役を兼ねた事務員として働いており、この大陸における彼女の世界は「キャンプと領都のスラム」だけであった。


ルゥテウスに仕えるようになってからは、主に藍玉堂の店番として留守居をすることが多くなり、そしてそのまま女店長となって後進の指導も始めた為に益々外出が少なくなった。


そんなノンではあるがサクロには何度か訪れた事があり、最近のキャンプから人が移り住む事で尚賑やかになっていく首都の様子に驚いたりしていた。


彼女の意外にも狭い生活範囲に今更ながら気付いたルゥテウスは


「よし。じゃあ今日はお前も一緒に王都を廻ってみるか?」


とノンに誘い水を送ってみると


「よ、宜しいのですか!?」


美しい顔を更に輝かせながらノンは身を乗り出して声を上げた。


「え……そんなに嬉しいのか……?」


と、若干引いた感じになりながら聞き返す店主に


「す、済みません……あまり遠出をした事が無いので……」


と彼女はまるで幼児のルゥテウスに出会った頃のように耳まで赤くしながら俯いた。


「では今日はお前と二人で王都を廻ることにしよう。姉役として一緒に歩くのはちょっと久しぶりだな」


苦笑しながら話す店主に


「そっ、そうですね……」


尚も俯き加減で話すノンであった。


****


 ノンは朝食を済ませると、薬材採取から戻って来た三人に対していつも通り午前中の授業を開始した。

今日は丁度サクロからサナが来て、ノンの授業を一緒に受ける日になっていたので、午後からの店番を既に薬学の基礎を修めているサナに頼み、昼過ぎになってルゥテウスとノンは地下の転送陣を使って王都の菓子屋に飛んだ。


菓子屋の二階に到着すると、ルゥテウスはノンを目の前に立たせて右手を払うように振り、自分と彼女の服装を王都の中流階級に合わせたものに変えた。

ルゥテウスの服装はこの初夏の季節によくある白いカッターシャツに藍色のベストとスラックス、ノンは白のスカートが長いワンピース姿となった。


普段からキャンプの中で暮らしているノンは、このような「余所行き」の恰好をする事が滅多に無いので嬉しくなり、ルゥテウスの前でくるりと一回転して見せて彼を苦笑させた。


ルゥテウスは更にスラックスに合わせた紺色の帽子をやや深く被って顔を隠し気味にしてから


「では行くか」


と階段で一階に降りて行くと、菓子屋で店番をしていた中年女性が


「おやまぁ!店主様……それにノン様まで!」


と、揃って階段から降りてきた二人を見て驚きの声を上げた。


「今日はシルがここの店番か。売れ行きはどうだ?」


ルゥテウスが尋ねると


「三日前から出している新作のモタを使ったお菓子が良く出てますねぇ」


シルという女性はガラスケースの中から「モタ」と呼ばれるこの初夏が熟れ頃になる酸味の強い果実を使ったタルトを出してきてルゥテウスとノンに渡した。


「ふむ……酸味を甘味で上手く抑えているな」


「美味しいです」


とノンも大満足だ。


「お二人はどこかお出かけですか?」


「うむ。ちょっと王都の市中をあちこちな。ノンが王都は初めてだと言うんでな」


「あら?そうなのですか?」


「はい……今までずっとキャンプの中で暮らしてましたので……」


「あらあら……じゃ今日は店主様にしっかり甘えさせて貰ってお楽しみになられて下さい」


シルが笑いながら言うと、ノンは顔を赤らめて俯いてしまった。まるで昔の彼女に戻ったようでルゥテウスも苦笑いだ。


そうこうしているうちに、店に客が来たので


「じゃあな。馳走になった」


「ご馳走様でした」


と二人はシルに礼を言って、店舗の裏にある扉から外に出た。


「俺はちょっと顔を隠すぞ。入学前のこの時期にあまり顔を晒して歩きたくないんでな」


そう言うと、帽子を一層深く被り目元を隠すようにしてルゥテウスは歩き出した。

その後をこれも白い帽子を押さえながらノンが着いて行く。


 出会った頃のルゥテウスはノンの腰の上くらいの背丈だったのだが、今では女性にしては背が高めのノンよりも更に頭一つ高く背が伸びており……最早「弟」には見えない程で、その均整の取れた広い背中を見て、ノンは在りし日に二人で手を繋いで集会所まで配給を貰いに行っていた頃を思い出した。


「そういえばまだ……昼飯を食っていないな……」


ルゥテウスは呟くと


「おっ。そうだ……ちょっと行ってみたい店があるんだ」


「えっ……?」


ノンがよく飲み込めていない顔するのへ


「ほら。ダイレムの俺の親戚がやってるレストランのな。息子さんが修行していたと言う、この王都でも有名な店があるんだ。

確か……アシリス通りにあるって言ってたな……」


「そのご親戚の方に聞いたのですか?」


「いや……昔、まだ俺がガキの頃にキャンプに内務機関から探りが入った事があっただろ?

その際に捕まえて傀儡にした内務省の職員……ナトスだったな。

そいつが好きな女を夕飯に誘ったが拒否されたという話を聞いた時に偶然、その店の名前が出たんだ」


 内務省のナトス・シアロンは、内務省私領調査部次長にまで出世していた。

ルゥテウスの《傀儡呪》は今でもしっかりと入っており、内務省内では「反内務閥組」を形成して内務省を牛耳るアルフォード侯爵家に対し、見えない落とし穴をせっせと掘っている。


また「反魔法ギルド活動」も続けており、ナトス自身はルゥテウスからの暗示で直接灰色の塔に近寄ることは避けているが、様々な手段で揺さぶりを掛けている。


「アシリス通りはここから15分くらい歩いた所だな。俺の記憶が残っている頃はまだその『双頭の鷲』という店は存在していなかったが、それなりに歴史ある店らしいぞ」


「そうなのですか」


「うむ……そういえば席を取るのが難しいとも聞いたな。とりあえず行ってみて席が空いてたらそこで食べるか」


「はい」


 《青の子》の偽装菓子店は王城を中心とした王都から見て官庁街、大貴族街、中小貴族街と取り巻いた外縁にあって王城正門からは8時の方向、南西に位置している。


店の前を通る王都の主要幹線である環状四号道路を挟んだ向う側は平民ではあるが上級平民が多く住む場所で、大通りである環状道路に面するのは王都……すなわち王国を代表する商会の本館が建ち並ぶ。

難民らと何かと因縁のある「マイル商会」もこの環状道路沿いに本館が建っている。


 アシリス通りというのはこの環状四号と垂直に交わる王城正門前広場を起点として南東に伸びる放射道路の一つで、そのまま市街を突っ切るように進むと「王都八門」の一つである南東門、通称「ウリウス門」に辿り着く。


「ウリウス」というのは人物の名前で、王国歴1400年代前半に活躍した軍人の名である。

王国のある北サラドス大陸北東……当時はまだ領土の放棄は行われておらず、単に「大北東地方」と呼ばれていた地域で建国から数えて何度目かの大きな反乱が発生した際にその鎮圧で大活躍した英雄が凱旋した際に使用されたのが南東門だったというわけだ。


そしてアシリス通りの「アシリス」とは第4代のレインズ国王の名で、国母の死後に王国内の教育制度を整備して国民の識字率を劇的に引き上げた開明的な「女王」であったと伝えられている。


 ルゥテウスはノンを連れて環状四号道路を東に歩き、アシリス通りを右に曲がった。

「双頭の鷲」はアシリス通り沿いの環状四号と環状五号の丁度真ん中くらいにあって、高さこそ二階建てだが、幅も奥行きも随分大きそうな店構えであった。


二階は大きなバルコニーが通りに面していて、天気の良い日は昼夜問わずそこでも食事ができるようになっている。

だが二階は貴族や一部の上流市民専用のフロアになっており、会員制にしているようだ。


ノンを連れたルゥテウスは特にその店構えに臆する事無く正面中央の入口扉を押し開けて店の中に入った。ノンもそれに続く。


 店の中を見渡すと、客席部分は幅30メートル、奥行きも同じくらいだろうか……。

広さの割に少な目のテーブルが間隔を空けて配置されており、この広さであるにもかかわらず20組も無さそうだ。

調度品は総じて古めかしい歴史を感じる物ばかりで、この内装だけでも相当な価値を持っていそうだ。


早速、黒いスーツを着た……いかにも高級レストランの案内係然とした長身痩躯の壮年男性が近付いて来て


「いらっしゃいませ。お名前をお伺いできますでしょうか」


と落ち着いた口調でルゥテウスに尋ねてきた。どうやら予約の確認を促しているようだ。


「いや、予約はしていない。席が空いているならばと寄ってみたのだが」


ルゥテウスが答えると男性は繕ったような笑顔を浮かべながら


「申し訳ございません。当店はご予約頂いたお客様のみご案内致しておりますので……」


どうやらこの店は全ての席で予約が必要らしい。


「ふむ……そうか。ならば良い。邪魔したな」


と、帽子を脱ぎながら苦笑したルゥテウスはあっさりと踵を返して今入って来たばかりの入口扉に戻ろうとした。ノンも静かにそれに続く。


案内係の男性……年配で数十年もこの仕事に従事してきたように見える彼は、この昼下がりに突然現れた美しい男女に徒ならぬ気配を感じたのか


「お待ち下さいませ……失礼致しました。実は席に空きはございます。宜しければご案内させて頂けませんでしょうか」


自分でも何故か分からないが、そのような言葉が口から出てしまった。


「いや、結構だ。この店は予約が必要なのだろう?ならばそのような仕来りを曲げさせてまで席に着きたいとは思わん」


 ルゥテウスは基本的にこのような慣例や慣習を破ってまで押し通る真似が嫌いな性格で、キャンプやトーンズ国においても「特別扱い」を一切受けようとしない。

むしろそのように身分や外見で扱いを変えて来る者に対して嫌悪感すら抱くのだ。


壮年の男性は、目の前のこの若い男が振り向くことも無く放った言葉の中に軽い不快感が混じっているのを僅かに感じ取ってやや慌てた。


「しっ、失礼な申し様をお詫び致します。あっ、改めまして……」


 背後で彼らを引き留めようとする男性の声など無視するかのようにルゥテウスとノンは扉を押し開けて出て行ってしまった。

その所作はおかしなくらいに優雅で、古めかしい重厚な造りの扉が全く音も発てずに開閉されたことに案内係の男性は何故か気付いて驚いた。


実際、店内はかなり空いていた。昼下がりの時間帯という事もあり、二階の上級席には貴族の客が何組か居たが、一階の一般客席には一組の客しか居なかったのである。


結論から言ってしまえば、全席予約という営業形態であるが故に、このような平日の時間帯に一階の客席で予約をわざわざ取ってまで食事をしようという普通の市民はほぼ存在しないのである。


更に言うと、それだけ客が少ないというのにわざわざ「居ないはずの予約の確認」をしてきた接客係の態度にルゥテウスは即座に気付いたのだ。


店を出たルゥテウスは多少嘲弄の色を込めて


「ジョルジュさんが修行した名店だと聞いて来てみたが……ありゃ駄目だな」


と感想を口にした。


「なぜです?」


「周りを見てみろ。こんな平日真昼間のクソ忙しい時間にわざわざ予約をしてまで昼飯を食う奴がどれだけ居るんだ?」


「まぁ……そうですね」


「結局は貴族を始めとする上流階級だけを相手にしている店なのだろう」


その物言いには多分に軽蔑の念が含まれている。


 ルゥテウスとドロスが嘗て選定し、現在も王都市民に高く評価されている「難民の菓子店」も上流階級の居住区で菓子としては比較的高額な価格設定で営業を続けているが、例え購入客が下層市民であろうと無下に断ったりはしないし、逆にあからさまな貴族が客であっても別段に特別な接客を行うわけでもない。


元々「席が空いている」のであれば予約云々とつべこべ言わずに空いている席に通してしまえばいいのだが、それをしないという事は「客を選んでいる」わけだ。


ルゥテウスが気に食わないのは結局のところそういう「客を選ぶ態度」で、事実あの案内係は帽子を脱いだルゥテウスの面相とその身から出た雰囲気によって態度を変えてきた。

彼はこの点に不快感を覚えて案内係の申し出を無視したのだった。


 結局、二人は「双頭の鷲」から更に市街の外側に向かって十分程歩いた場所にあるごく普通のレストランで昼食を摂った。

キャンプ育ちのノンにとってはそれでも王都で初めての外食で、これまで食べた事の無いような料理が出て来たので驚きながらも、慣れないナイフとフォークをルゥテウスの見よう見真似で扱いながら「おいしいです」を何度も発しながら食していた。


ルゥテウスは食事が終わると、会計係に金貨を一枚渡し


「美味かった。釣りはいらん。取っておいてくれ」


と言って相手を仰天させるのも見る事無く店を出た。二人が食べた昼食の代金は併せて銀貨三枚程度だろう。それでも市民の食事としてはかなり高額な部類に入る金額なのだ。

そこに金貨一枚を払うなど見栄を張った貴族や高所得者でも無い限り有り得ないだろう。


「あれくらいの店ならサクロにも何軒か出ているな。そのうちさっきの『名店』にも劣らないような店も出店されるんじゃないだろうか。

トーンズの国民には『階級』が存在しないからな。あの店のように威張り切った商売をしていたら即潰れるだろうがな」


と笑いながら話す。


「サクロには……あんなに美味しいものを食べさせてくれるお店があるんですか?」


とノンは目を丸くしている。


「もう引っ越してしまったようだがキャンプにも以前はあったようだぞ。まぁ、俺達は役場の食堂か集会所の配給ばかりの食生活だからな」


ルゥテウスは尚も笑う。


 サクロに大勢のキャンプ居住者が移り出す前の時点で、既にキャンプの食文化は相当な活況を呈しており、藍玉堂を中心としてキャンプの南北を貫くメインストリートには自分で素材を仕入れて美味いものを食べさせたり、酒を飲ます飲食店がちらほら出ていた。


キャンプの住人は元々は無償で集会所の配給が受けられるのだ。

以前にもルゥテウスが話したが、その配給の味をよっぽど超えてくるようなものでないと住人は自分で金を払ってまでその店を利用することは無い。


それでも商売として成り立っていたのであれば、やはりそれは「人を惹き付ける」技術を持つ店であったのだろう。

そんな彼らも今ではサクロに移転してしまい、彼の地で競争に曝されているわけだ。「名店」と呼ばれる店が現われるのも時間の問題であると思われる。


 二人はそのまま来た道を引き返すようにアシリス通りを王都の中心部、王城前広場に向かって歩いた。

広大な王城前の広場に到着すると、広場の反対側に王城がその巨大な威容を見せてそびえ建っており、その東側にはこれまた歴史を思わせる重厚な造りの救世主教の王都大聖堂が建っていた。


ノンはアシリス通りを歩いている時から正面に徐々に見えて来ていたが、広場越しに見ると改めてこの二つの巨大建築物に圧倒されたようで、息を飲むような表情をしながら


「あ……あれが……あれが王国のお城なんですね……」


とそれに気にせず歩いて行くルゥテウスを余所にその場に立ち止まってしまった。


ノンが後ろに着いて来て居ないことに気付いたルゥテウスが、彼女が居る場所まで戻り


「あんなのはクソの役にも立たない、うすらデカいだけの箱物ではないか」


と苦笑いしながら言うと


「でも……でも……ルゥテウス様がいつも仰っている『歴史』というものを感じます」


と、普通の難民出身者ならば口にする事も無さそうな感想を漏らした。


「そうか。俺にとっては別段そこまで驚く事も無いがな。ほら、高さだけなら『あっち』の方が一応は高いぞ」


とルゥテウスが王城の左側越しの方向を指差した。

彼の指し示す方向には、アシリス通りの入口からの位置関係で王城の城壁と西塔の更に向う側にそれを超えるような高い塔が見えた。

王城の西塔よりも更に二階層程頭が出ているその塔の外壁は独特な……少し青みの差す濃い灰色をしていた。


「あ……あれは……?」


「あれが『灰色の塔』。泣く子も黙る魔法ギルドの本部だな」


ルゥテウスが揶揄するように説明する。灰色の塔は内部構造的には七層なのだが、一層当たりの天井高が他の王国建築様式よりも高いので、隣接する王城と比較しても十層以上あるように見えた。


 灰色の塔自体はその高さもあって王都の殆どの場所からその威容を望むことはできるが、ルゥテウスは十年前の覚醒からこの方、この自分の血脈とも深い縁のある魔法の聖域に自ら進んで近寄ることは無かった。


別にルゥテウス自身が塔を忌避する理由も無かったのだが、万が一にも自分の存在が彼ら魔法ギルドに知られてしまうと、それをきっかけとして何が起こるのか、何が始まるのか知れたものではない。


そう言った心情もあって接近を避けていたルゥテウスなので、この広場までやって来た事ですら、十年前にドロスを初めて王都まで送って来て以来であった。


 王都レイドスは以前にルゥテウスから説明があったように、前文明時代……つまり「超古代文明」の末期に築造された地下シェルター跡がその基礎となっている。

古代の北サラドス大陸には面積も国力も似たり寄ったりの中堅国家が七つ存在し、その中で大陸南方を支配していた国家の首都がレイドスであった。


ちなみに第一紀当時の発音では「リーダス」が正しいようで、今でも王国の中にはこの王都を「リーダス」や「レイダス」と発音する地方が残っている。


第一紀中期頃に世界の言語は徐々に統一されていき、それに伴う《書き言葉》も統一された恩恵を受けて、この世界は現在ですら別の大陸人であっても言葉が通じるのだが、各名詞においては若干のバラつきが生じている。


 前文明においても、「とある国」の首都であったリーダス(レイドス)には超兵器の直撃にも耐え得るように大深度の大型シェルター建設が計画され、その掘削は最終的に300メートルもの深さになった。


300メートルもの地下に一万人にも及ぶ市民が避難できる広大な「地下都市」が建設され、それらの避難民の生活を支える為にやはり大深度の大陸水脈から地下水の汲み出しが行われた。

そしてそれらの「備え」は、実際の大戦争勃発時において完璧に作用して避難民を戦禍から救うことに成功したのである。


しかし実際に避難できたのは定員一万人に対して三千人程だったと言われており、残りの国民の大半は浅過ぎる深度のシェルター等で超兵器の直撃から生き残ることが難しかったとされる。


 それでもこの「レイドス」には数千人規模の生命が残され、事前の水脈確保と食糧資源の備蓄によって北サラドス大陸……いや、世界的に見ても非常に大きな人類コミュニティが形成されて、その後の時代……恒久的な食糧生産や同時代に誕生した魔物への抵抗も有利に働き、それらの事績が噂となって周辺集落にも広がる事で、大陸南方の中心「部族」として第二紀(暗黒時代)を生き抜いたのである。


王国が建国された際に、この悠久の時を超えてレインズ族の発展を支え続けた「母なる地下都市」の上に、最初の王城が落成したのは王国歴5年の事である。

王城建設は建国宣言の前から既に計画されており、城郭部の縄張りもドレフェス攻略のかなり前から始められていたが、王城の縄張りが確定した直後……その城郭領域の西側に突如として灰色の塔が「出現」した。


 王城建設中の王国歴4年には大陸全土が王国によって統一され、魔物も駆逐された。

そしてその年の冬に王国と魔法ギルドは建国の大功臣であった「黒き福音」を失ったわけだが、それと入れ替わるように南サラドス大陸から救世主教が三人の大司教を送り込んで来た。


これによって王国にも救世主教の伝道が始まったのだが、当初は「黒は不吉な悪魔の色」という「失われた英雄」を愚弄するような教義の為に大王や国民から白眼視された上、後に「国母」となる王妹からは烈しい怒りを買い、宣教が阻まれたばかりか……結局は彼女が没するまで禁教とされた。


後に宗山側が問題の教義を「異端」として放棄し、それを枉げない一派は追放することで教線を辛うじて繋ぐことが出来たのだが、一時は大王崩御の後に国政を握った国母によって南サラドス大陸にある教団の本拠地への侵攻すら計画していたとされる。


 建国から80年が経ち、救世主教の活動を許していなかった国母が没すると、宗山は正式に王室と、「黒き福音」の子孫であるヴァルフェリウス公爵家に南サラドスから「教主」がわざわざ出張って来て全面的な謝罪を行う事で、漸くにして王国と救世主教は和解に至り、禁教が解かれた。


その後の教団は新たな教宣に励み、王国歴241年……時の国王である第13代ノガルによって救世主教はレインズ王国の国教として建国法第17条に明記される事となった。


ノガル王は王城前広場から三時の方向……王都東門に続く「ノガル通り」にその名を残している。


これを機に王城の東側の地を賜った教団は北サラドス大陸における教団の象徴として「大聖堂」の建設を開始した。

大聖堂は王国歴252年に足掛け10年にも及ぶ建設期間を経て竣成し、記録においてはその後一度も建て替えられる事無く現在も竣工当時そのままの威容を誇っている。


 王城は西に灰色の塔、東に大聖堂に挟まれるような形で改築と修築を繰り返しており、現在の城郭は初代から数えて四代目のものである。

最後に大規模な改築が行われたのは王国歴2202年の事であったので、現在の王城はルゥテウスにとっても記憶にある数少ない建物の一つである。

勿論、その「両隣」に建てられている建築物も彼の記憶に遺されたままの姿であることは言うまでも無い。


しかし、ルゥテウスにとって「宗教」と「神」は嫌厭すべき存在であり、かなり控え目に言っても「無関心」であった。

よって、彼がその国体を設計したとも言えるトーンズ国においては憲法によって「信教の自由」は保障されているが、国教の制定は禁じられて政教分離が明確に謳われている。


 その国民となった戦時難民も元はエスター大陸の住民であった第一世代の一部や近年増加している「海を渡らなかった人々」の中にはそれぞれの出身地の土着宗教等を信仰している者も居るが、北サラドスに渡ってから塗炭の苦しみを耐えて来たキャンプの住民の大半は神という存在を否定する「無神論者」或いは信じない「無宗教者」であることが多い。


強いて言えば彼らにとっての「神」はキャンプを作った「統領」シニョル・トーンであり、その援助を行った「御館様」なのである。

しかし、当のシニョルが「公の場で自らを崇拝する事を禁ずる」という声明を建国直後に発した為に、トーンズ国民の信仰対象は「無い」というのが一般的である。


 そういう事情もあってルゥテウスどころか、ノンにとっても大聖堂は「見た目だけは豪壮な建築物」としか感想を持たなかったので、彼女の興味は自然と「真ん中」に立っている王城と、アシリス通り側から見ると角度的に王城の向う側にそびえ建つ灰色の塔に注がれる事となった。


「ノンは灰色の塔に興味があるのか?」


ルゥテウスがニヤニヤしながら尋ねると


「あんなに背の高い建物……初めて見ました」


と、ノンは素直に感想を述べた。


「じゃ、近くに行って観てみるか?」


「えっ……?大丈夫なのですか……?」


ノンが不安を口にすると


「俺は別に『奴ら』を恐れているわけじゃないからな。ただ、俺の存在が奴らに知られてしまうと色々とこの先の俺の余生が面倒臭くなるって言うだけだ」


ルゥテウスが苦笑を浮かべながら話す。


「そ、そうなのですか」


ルゥテウスの言い様に返す言葉に困ったノンが相槌を打つと


「まぁ、一度くらいは間近で観てもいいだろう」


そう言うと、ルゥテウスは広場を真っ直ぐ王城方向へ突っ切るように歩き出した。


ノンも慌ててそれに続く。これまで散々と魔法ギルドに対する話を聞いて来た彼女には不安しか無かった……。

【登場人物紹介】※作中で名前が判明している者のみ


ルゥテウス・ランド(マルクス・ヘンリッシュ)

主人公。15歳。黒き賢者の血脈を完全発現させた賢者。

戦時難民の国「トーンズ」の発展に力を尽くすことになる。

難民幹部からは《店主》と呼ばれ、シニョルには《青の子》とも呼ばれる。

王立士官学校入学に際し変名を使う。


ノン

25歳。キャンプに残った《藍玉堂》の女主人を務める。

主人公の偽装上の姉となる美貌の女性。

主人公から薬学を学び、現在では自分の弟子にその技術を教える。


ユーキ・ヘンリッシュ

57歳。主人公の伯祖父に当たる人物で。

港町ダイレムの下町で《海鳥亭》という人気レストランを経営するオーナーシェフ。

長身で筋骨隆々の体格は昔と変わらず。


ラミア・ヘンリッシュ

55歳。ユーキの妻で主人公の義伯祖母に当たる。王都レイドス出身。

夫の店で主にパンや菓子作りとホールを担当している。

自身も若い頃は王都の名店で働いていた経験がある。

勝ち気な性格で均整の取れた長身の女性。


ジョルジュ・ヘンリッシュ

30歳。ユーキとラミアの子で、両親を含めた周囲からは「ジョー」と呼ばれている。母の実家の親戚である王都の名店「双頭の鷲」で十年の修行を終えて実家の《海鳥亭》で働き出す。

主人公の母に初恋相手として憧れていた。


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