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黒き賢者の血脈  作者: うずめ
第二章 難民の王国
34/129

二人の導師

長々と患っていた持病(頸椎ヘルニア)も手術を経て漸く回復に至り、連載を再開させることができました。




【作中の表記につきまして】


物語の内容を把握しやすくお読み頂けますように以下の単位を現代日本社会で採用されているものに準拠させて頂きました。

・距離や長さの表現はメートル法

・重量はキログラム法


また、時間の長さも現実世界のものとしております。

・60秒=1分 60分=1時間 24時間=1日 


但し、作中の舞台となる惑星の公転は1年=360日という設定にさせて頂いておりますので、作中世界の暦は以下のようになります。

・6日=1旬 5旬=1ヶ月 12カ月=1年

・4年に1回、閏年として12月31日を導入


作中世界で出回っている貨幣は三種類で

・主要通貨は銀貨

・補助貨幣として金貨と銅貨が存在

・銅貨1000枚=銀貨10枚=金貨1枚


平均的な物価の指標としては

・一般的な労働者階級の日収が銀貨2枚程度。年収換算で金貨60枚前後。

・平均的な外食での一人前の価格が銅貨20枚。屋台の売り物が銅貨10枚前後。


以上となります。また追加の設定が入ったら適宜追加させて頂きますので宜しくお願いします。

 王都にある魔法ギルドの本部。七層という圧倒的な高さを持つ「灰色の塔」はレインズ王国の建国期、具体的には王国歴元年、首都に定められた王室発祥の地である「レイドス」の集落所在地に、僅か三日で建てられたと言う伝説が残る。つまり灰色の塔は初代王城竣工の前から王都に存在していたという事になる。


 「王国歴」というのは、歴史学的な見地から「第二紀8060年」の6月3日に北サラドス大陸の南半分を制した《大王》アリストス・レイドスによる「建国宣言」によってレインズ王国の建国が成された際に「王室は時間をも制する」と言う意味合いで使われ始めた歴号であり、以後は他の大陸でもレインズ王国に影響を受けた国や地域も「王国歴」と言う歴号を使用している。


しかし王国とは国交が無い、もしくは利害で対立しているような国々は王国歴を使用せずに「第三紀」と言う表現を用いている。そうは言っても裏を返せばレインズ王国の建国を以って「暗黒時代」と呼ばれた「第二紀」の終焉は意識しているわけで、それでも王国による文明の復興という功績を認めたくない故に王国歴の使用を拒否しているだけなのだ。


 北サラドス大陸というのは、前文明時代……つまり超古代文明の頃は世界の政治的、文化的中心からは寧ろ外れていた地域であった。

超古代文明の「重心」は現在のエスター大陸とロッカ大陸が一つであった超大陸ノーアが舞台となっており、大戦争の遠因となった列強連合の対立もノーアの中が主となっていた。現代においては世界でも最先進地域である北サラドス大陸は前文明時代においては「文明世界の辺境」だったのだ。


しかしその文明の中心から外れた地勢にあった事が北サラドスにとって幸いした。大戦争の戦禍の中心も超大陸であった為、「魔物の発祥」からも外れた位置にあったのだ。


文明の叡知が失われ、世界の海洋に水棲の魔物が出現した事によって各大陸間の往来がすっかり絶えた後は、南北サラドス大陸には空から飛来したり水棲から陸棲に急進化したような魔物だけが到達するような拡散に留まったので、大陸で生き残った人類はノーアが分裂したエスター、ロッカの両大陸よりも魔物からの侵攻が緩和されていた。


サラドスに住む当時の人々は魔物からの防衛の他に周囲の人類コミュニティとの交流も可能とする程に余裕があったのである。


 やがて第二紀末になってエスター大陸から《黒き福音》ヴェサリオが渡来し、北サラドス大陸にて起ち上がった「レインズ族」の若き族長アリストスを支えるようになると、ショテル以来となる「賢者の知」の出現を知った「ショテルの十六大弟子」を学祖として世界各地に散っていた魔術師達も彼の下に参集し、アリストスの偉業を更に後押しした。


レインズ族は北サラドス南方のレイドス集落から快進撃を始めて僅か1年程で大陸の南半分の他部族を制した上で魔物をも駆逐した。


 これを機にヴェサリオからの助言を受けて大王はレインズ王国の建国と文明の復活を宣言し、組織化された魔術師もそれに従って首都に定められたレイドスの地に「灰色の塔」を築いて魔法ギルドの発足を宣言した。


ギルドは当初、馳せ参じたレインズ王国に属する動きを見せたが、ヴェサリオから諭され「あらゆる国家に属さない局外中立を守る」と言う文言をギルド憲章の筆頭に掲げた。


ヴェサリオは魔法ギルドの設立にも、灰色の塔の築造にも大きな役割を果たした。彼は自身の「記憶」を基にして《大導師》と《漆黒の魔女》の像を灰色の塔の入口を挟んで安置し、ギルドの魔術師達はショテルの直系子孫で、更に血脈の発現を果たしたヴェサリオを魔法世界の頂点に据えて彼と共に大王の大陸制覇を援護した。


 そして建国宣言から4年後の王国歴4年の夏、遂に大陸の北東端から魔物を駆逐して、王国は名実共に北サラドス大陸を制した。

しかしその年の終わりにヴェサリオは忽然と……王国民と魔術師達の前からも姿を消した。


名利栄達を求めずに人々の前から去った彼に対し、残された人々は《黒き福音》の異名を奉り、その神話はヴァルフェリウス公爵家の栄光と共に現代にまで伝わる事になる。以後、《賢者の武》によって世界を放浪するヴェサリオを魔法ギルドは感知する事が出来ず、公式の記録から彼の動向は消失する。


 残された魔術師と魔法ギルドは、魔法世界の頂点を失い大きな衝撃を受けたが、定められたギルド憲章に従って王国からの独立性を保ちつつ、今度は文明の復興を後援する事になった。


ギルドの活動を北サラドス大陸の外にも広げ、いくつかの拠点となる「支部」を設けた。以前は四ヵ所存在した支部も、1600年程前に戦乱が全く収まる様子の無いエスター大陸から引き揚げた結果、三ヵ所に減っている。


 王国3000年の歴史の中でヴェサリオの血統を引き継いだヴァルフェリウス公爵家から「黒い公爵さま」と呼ばれる血脈の発現者が五人出現したが、そのうち三人が《賢者の知》を発現させた者で、彼らが数百年に一度現われるたび、国政の汚物を押し流すと共に魔法ギルドに対しても何度か改革と粛清で介入した。一番有名な事件としては「沈黙の旬」が挙げられる。


 魔導師という連中はどの時代、どの世代にも数人は存在するもので、魔法ギルドに協力的な者もそこそこ居り、彼らは長いギルドの歴史の中で何度か「総帥」としてギルド運営の頂点に君臨した。


魔導師はその生い立ちや性格、環境から、自身に力がある事を自覚した際に概ね二極に別れる。いわゆる「秩序派」と「混沌派」だ。秩序的思考を持った魔導師は、ギルドに対して協力的になりやすい。逆に混沌を好む者はギルドとは距離を取り、世界各地の辺鄙な場所に自身の領域を築いて引き籠る傾向が強い。


そして時折その中から世界秩序に挑戦してくる者も出て来る。魔法ギルドが組織として結束を続けるのは、こうした「悪さをする」魔法使いに対処するという使命を帯びているからである。


彼らにとって、魔術師や錬金術師であれ魔導師であれ、社会秩序を乱す者を放置してしまうと彼らが属する魔法世界そのものが各国からの迫害対象になってしまう事態を極度に恐れているからである。


 現在の魔法ギルドには上層部に同年代の魔導師が二人在籍しており、これは極めて珍しい事態であった。


「総帥」たるアンディオ・ヴェムハは六代続く「叩き上げ貴族」のヴェムハ子爵家の嫡男として王国歴2978年生まれの61歳。5歳の時には既に魔導の素質を示していたとされ、本人もその自覚があったようだ。その後12歳の時に当時のギルドを率いていたヤン・デヴィッド導師にその魔導師としての力を見い出され「半ば強制的に」ギルドに迎え入れられる。


彼のギルド入りに関しては当時の王室から少なからず子爵家に対して働き掛けがあったようで、アンディオ本人は当初難色を示していたのだが、前当主である父から「御家の為」と諭されてギルド入りをしたという事情があった。やはりルゥテウスの推測通り、本来ならば「混沌派」に近い性格を持っていたのだが王国貴族の出身が足枷となって魔法ギルドに縛られる事になったようだ。


ちなみに「叩き上げ貴族」とは《子爵》位の家に対して使われる言葉で、ユーキの先祖のように「王族下がり」の《一代公爵》の次代が降爵して子爵に再叙任されるというパターンでは無く、自らの功績を重ねて下の《男爵》位から陞爵(しょうしゃく)して来た家を指す。ヴェムハ家は元々が軍人の家系で数代前から代々、軍の将官を輩出したので徐々に爵位が上がって来ているのである。当時は現役の陸軍少将であった彼の父が「御家の為」と天才肌の息子を諭したのもこういった経緯があったからだ。


 まだ少年と言う年齢であった彼が魔法ギルド入りを渋々承諾した頃、もう一人のギルド所属の魔導師、ラル・クリースは8歳という年齢で魔導に関しての自覚は芽生えていなかったようだ。彼は王国歴2982年生まれで57歳。出身は南サラドス大陸のアンシモ王国で、本人は語らないが貧民の出身だったとされる。

元は姓を持たない身分で「クリース」という姓もギルドに入った際に名乗り始めたものだと言われている。


18歳の時に自身に魔導の素養がある事に気付いた彼は初めは自覚無く魔導を行使し、苦しい生活から抜け出そうとしていた。

それを当時の南サラドス大陸最大の都市国家サランにある魔法ギルドの南サラドス支部に感知されて接触を受ける。彼の当時の行動は明らかに「混沌派」を思わすものであったが、やはり当時の統帥であったヤン導師に諭された後は行いを悔い改めて自発的にギルド入りしたとされる。


この時、レインズ王国は丁度建国3000年目の節目の年であったが、この年の年末……つまりラルがギルド入りした直後に二人の魔導師をギルド入りさせると言う稀に見る功績を挙げたヤン導師が90歳の生涯を閉じた。


彼の最晩年の数ヵ月は魔法ギルド史上初めて「ギルドに魔導師が三人所属する」という事態になったのだが、その「稀に見る功績」は彼の死によって「後継候補に二人の魔導師」というこれまた稀に見る事態を生む事になり、魔法世界の人々はどちらの魔導師が次期総帥となるのか恐々と見守る事になった。


レインズ王国としては「黒い公爵さま」が出現しないまま約700年が経過する中で、魔法ギルドへの影響力を高めたいと言う考えから、この後継者選定に介入する姿勢を見せ、本人はまるで「その気が無い」ヴェムハ子爵家の次期当主、アンディオの総帥就任を積極的に後押しした。


この露骨な王国の介入姿勢に対して当初は魔法ギルド全体が反発したのだが、22歳の青年魔導師は確かに「天才」であった。結局のところ、最後は「どちらの力が上なのか」と言う論点となり、アンディオが総帥に就任したのだが、彼はギルド経営にはあまり興味を示す事無く、良く言えば「天真爛漫に」振る舞うようになっていた事から、実直な性格であるラルが「導師長」という非常設の役職に就任してギルド運営を担う事になった。


以後、約40年に渡ってこの「二頭体制」が続き現在に至っている。今でもアンディオはギルド運営にはあまり口を挟まずに己の知識欲を満たす為の行動に寄っているのだが、二人の魔導師の実力は年々開いてきているとも言われ、ラルはギルドの実権を握ったままナンバー2に甘んじるという状況が続いている。


本来であれば実直な性格で「秩序派」と目されるラルが魔法ギルドの総帥に君臨して然るべきなのだが、同時代に「王国貴族出身」という余計なタグの付いた天才魔導師が存在した為に彼は望んだ地位に就く事無く屈折した人生を歩み続けて来ているとも言える。


 そんなラル導師長にとって間も無く彼の魔導師人生が40年にもなろうかという3039年はこれまでとは少し違う年であった。

まず、前年に起きた王都での殺人事件にどうやら「魔法」が関わっているという報告から異変は始まっていた。


王都でも五指に入る「マイル商会」で経営評議会の議長が商会本館内で殺害されるという事件が発生したのは前年の9月初旬であった。

大商会の要人が被害者であった為に政府当局も初動からかなりの人員を振り向けたのだが、二旬に渡る捜査の結果、「職業暗殺者による他殺」とだけしか判らなかった。


 現場となった本館2階の要人宿舎の一室には争った形跡も無く、被害者は睡眠中に姿勢を変えられてそのまま頭部後方から頸椎の隙間に小型の刃物を刺し入れられて生命を断たれるような手口で、出血も殆ど無いという素人が場当たり的にやれるような手法では無かった為に「玄人の犯行」と断定はされたが、その他の形跡は一切残されていなかった。


殺害後の死体の安置も完璧で、商館のスタッフは翌朝何度か被害者を起こしに行ったのだがベッドで整然とした姿勢で「寝かされている」被害者の死に気付く事が出来ず、事件が発覚したのは結局二点鐘が鳴り終わった9時過ぎとなってしまった。


 初動で二旬もの時間を費やして犯行の形跡が全く掴めなかった捜査当局は、魔法ギルドに現場の鑑定を依頼した。


王国政府の捜査当局はそれ程固い頭をしているわけでも無く、捜査が困難である場合、特に爵・官・商の要人が絡む事件の場合は全く躊躇する事無く魔法ギルドに捜査の救援を依頼する。


特に現在の魔法ギルドの総帥が王国貴族であるヴェムハ導師であるので、王国側はギルドに対して特段悪い印象は持っていない。


ギルドの経営を主導するラル導師長は政府からの要請を受けたのだが、同時にその要請と並行するかのように法務部門から重大な報告を受けた。


「要請された事件が発生したと思われる日時と場所で魔法使用が感知されている」


と言う記録が残っていたとの事であった。この報告にギルド上層部は震撼した。


魔法ギルドの総本山であるレインズ王国の王都で魔法を使用した犯罪、それも要人の殺人というギルドとしては到底看過出来無いような事件であり、導師長は法務部門の人員を相当数動員して極秘裏に捜査を行うよう指示を出した。


 「沈黙の旬」以来、魔法による犯罪は完全には撲滅出来ていないが、今回はまさかの王都レイドス(おひざもと)での犯行である。王都での魔法犯罪による殺人は、流石にここ百年以上発生していなかった。


「黒い公爵さま」は前述の通り約700年も出現していなかったが、その間の魔法ギルド自体の人員の質は寧ろ向上している。「秩序派」魔導師がギルドに所属する率も高く、数年程度の断絶時期は何度か存在するものの、総帥に魔導師を頂く期間が長い為に末端の術師の質も自然と良くなっていた。


 魔導師というのは元来、魔法行使による素養の質の違いから魔術師の育成は不得意とされているが、魔力に対する感性によって「術師の素養を見い出す」能力においては魔術師を大きく凌駕する。歴代のギルドにおいて「黒い公爵さま」を含む魔導師がギルドに在籍している時期は魔法世界の裾野が広がりを見せ、術師が増加する傾向にあるのだ。


特に現代は頂点の総帥がギルド運営に対する情熱が薄いのは否めないが、同年代の魔導師が二人も所属しているのだ。そんな中で起きたこの事件はギルドの外部には絶対に知られてはいけない不祥事であったと言えよう。


法務部の精鋭を投入はしたが、実行犯は特定出来なかった。ギルド本部がある王都の中での犯行で実行犯が判らないというのはラルにとって非常に不可解で不本意な出来事であった。


 ラルは殺害の現場となったマイル商会の本館に都合六度も人員を派遣した。勿論それは白昼堂々というものでは無く、夜間に結界で偽装した状態でと言う事である。

この事件は政府当局による捜査も同時に行われているのだが、その捜査にも魔法ギルドは「捜査に協力するフリをしろ」と言い含めて人員を派遣している。


昼間の捜査ではこの偽装員が捜査に加わり、政府当局には「痕跡追尾は困難」と報告する一方で、夜間の日付が変わる時間に法務部門の精鋭を送り込むというような捜査を繰り返した結果、現場にて犯行推定時間に内部隔離型の結界が使用された事が判明、魔法を使用した地点も特定出来た為に使用マナの回収にも微量ながら成功した。


 そして関連調査で実行犯が複数である可能性と、その侵入経路も判明した。

しかしギルドによる調査は順調かと思われた矢先、突然にして実行犯の痕跡をプッツリと見失うという出来事が起こった。


ギルドが送り出した最後の捜査、六度目の夜間調査中に実行犯の痕跡を見失ったのは法務部門の腕利き魔術師であった捜査班副長のローワン・チャイで、彼は掴み掛けていた実行犯「グループ」の侵入経路の痕跡を辿る過程で突然それが消失したとラルに報告を上げた。


 ラルはローワンの報告を受けて「捕捉していた痕跡が突然消えた」という現象に不可解さを感じたが、その不審を補強する材料が無かった為に現場での捜査を打ち切って回収出来たマナの分析に注力する事となった。


魔法ギルド側は当初、この使用された結界は魔術師が「魔術」を使用したと認識しており、実行犯グループの中に魔術師が含まれていると想定していた。この辺りは《海鳥亭》が襲撃された際にリューンが襲撃者に魔術師が含まれていると誤認した事に似ている。


政府当局に痕跡を認めさせない程の「殺しの職業集団」に魔術師が含まれている事は事態が更に由々しき事だとギルド上層部を慌てさせたが、最終的に数ヵ月の分析によって使用された結界魔法は錬金術師が製作した術符を使用したものであった事が判明し、この部分だけはラルを安堵させた。


しかし、この時点で既に事件の発生から四ヵ月も経過しており、ギルドの外部ではこの事件に対して様々な憶測が飛び交っていた。そもそも事件は王国内を代表する大商会の最高幹部の一人が暗殺されたというものであり、その為に政府当局からの捜査対象は商会内部にまで及んで、事件とは無関係な醜聞までが次々と暴かれる事態となった商会内は二派に分れて中傷合戦にまで発展していた。


魔法ギルドにおける極秘の分析の結果、術符を製作したのは三年前にギルドから許可を得て独立し、よりによって「あの」ヴァルフェリウス公爵領の領都オーデルで工房を開業した初級錬金術師であるソンマ・リジである事が判明した。更に術符の痕跡を追うと、その反応はオーデルのスラム街から続いている事も判明した。


魔法ギルドの追跡はここで一旦「待った」が掛かった。何しろ犯行に使われた術符とその痕跡の出所が彼らとしては特別な関係がある「ヴァルフェリウス公爵領」からなのである。人員をオーデルに派遣して、下手に動き回ると公爵家に気取られてしまい、何かしらの感情の「もつれ」が生じかねない。


ギルドとしてこの件への対応を決定するのに更に時を要してしまい、「追及を続ける」と言う決断が成された時には既に唯一の手掛かりであったソンマ・リジは「消息不明」となっていた。


ソンマ・リジの失踪に関しても、ラルにとって不可解な事であった。魔法ギルドから独立して活動する魔術師や錬金術師にはすべからく監視下に置く為に『状態探知』を付与した指輪を装着させる。装着者の術使用の記録(ログ)をギルド側で管理する為だ。指輪の記録は12月12日の未明で途絶えていた。


ラルにとって気に食わなかったのはこの記録が途絶えていた12月12日というのはローワン・チャイが商館内の捜査中に実行犯グループの痕跡を見失ったという日だったからである。


 魔法ギルドからの独立というものに関しては魔術師よりも錬金術師の方が圧倒的に多い。理由としては民間の医療や学術の現場において錬金術師の需要が多いからである。


特に医療においては効果が強い高貴薬の精製において現場からの要求が多く、それは王国や地方の政府、そして各貴族領の領主側も勧奨しており、そのおかげで現在の王国内の都市部では必ず何人かの錬金術師が工房を構えている。


当の錬金術師側も、灰色の塔に残って下っ端仕事を押し付けられるよりは、生まれ故郷に戻って地元の名士と目される生活を送りたいのであろう。


 その他の錬金術としての需要は学術関連における「復元」だ。特に失伝されていない範囲での前文明時代の技術を調査・復元する研究で錬金術は必要とされる。


この世界は「大戦争」によって大導師以来の叡知を一旦喪失してしまったが、その後に出現した「漆黒の魔女」によって創り出された魔術と、その副産物である錬金術によって一部の技術を代替することで復元する事が可能になったのだ。ルゥテウスがソンマとサナに見せた原油の精製はまさにその好例と言えよう。


 余談だが、魔術師の場合はギルドから独立するというケースが錬金術師のような「発展的」なもので無い事が多い。なぜなら、力のある魔術師というのはギルドに残った方がメリットが大きいからだ。


魔術師としての修養を続ける為にギルドを出ても、前述の監視が厳しくて自由な魔術行使は難しい。更に知識を求めるという理由においても、灰色の塔に収容されている書物の質と量は圧倒的で、その閲覧利用の権限を放棄してまでもギルドを出るのは間尺に合わない。


よって、ギルドから独立をする魔術師というのはその大半が「力が中途半端な者」という事になる。彼らは投射力において実戦的な力を持つ程でも無く、また錬金術師のように術式付与を行うには逆に投射力が強過ぎるというような者達で、ギルド側からしても灰色の塔に残られたところで使い道の無い存在なのである。


彼らはギルドから独立した後は主に「卜占(うらない)」やちょっとした「探偵業」で生計を立てるのが一般的だ。例え力が弱くても、一応は技術を活かせる。更に民間の学術や研究機関に再就職する者も居る。「魔法ギルドで学んだ」という金看板は一般の社会ではそれなりに畏敬を以って扱われるからだ。


またこれは例外中の例外だが、こうした「独立魔術師」が自らギルドに属さない弟子を外部で育成するという場合も極僅かながら存在する。


 とにかく、魔法ギルドはソンマ・リジに対する追及が難しくなった時点で、この件に関する捜査継続を断念せざるを得なくなった。ソンマの存在もそうだが、実行犯への追跡も悉く喪失してしまったからだ。


これは現場指揮の法務部門も当然だが、ギルドの経営を掌握しているラル導師長にとっても歯切れの悪い終わり方であった。導師長としての彼の経歴に対して初めて付いた汚点と言っても良い。


 結局、この「マイル商会評議会議長殺人事件」は迷宮入りしたままに3038年は終わってしまい、重要参考人として唯一名前が挙がっていたソンマ・リジの失踪と追跡断念によってギルドは捜査から手を引く事となった。


しかしラル導師長の頭の中に「12月12日に何かがあった」事と「ヴァルフェリウス公爵領オーデル」という記憶だけは刻まれる事になる。


 年が明けて3039年。前年に起きた王都でのマイル商会内の殺人事件は人々の噂も鎮火してきて、捜査当局も人員を縮小しつつ継続調査という取り扱いになった為に、魔法ギルド側も一息ついたという状況になっていた。


ギルドとしては失踪したソンマが開業していた工房は元々、難民出身であった彼の代りにギルドが保証するという形で取得した不動産であった為、2月の初旬に工房内の施設や遺留品を回収した後に売買物件として処分し、回収品の分析も細々と続けられたが、結局は追跡不可と判断されてギルド内で極秘に結成されていた捜査チームも解散した。


現場部門での精鋭を取り揃え、近年は王国内での魔法犯罪に対して検挙率10割を誇っていた魔法ギルドの法務部門もまさかの王都で起こった殺人事件でその実績に土を付けられるとは思っていなかっただけに関係者の受けた衝撃は計り知れないものとなった。


 ソンマ失踪の件について全く進展も無いまま、3039年も暮れようとしていたある日の深夜、瞑想中であったラルは今まで経験した事の無い魔力の波動を感じた。魔導師としての彼がこれまで感じた事の無い波動であったが、彼はその時日課であった深夜の瞑想に入っていたので感覚が自らの内に向かっていた。


詳細を掴み損なったが、確かにこれまで感じた事の無い波動に彼は驚き、瞑想を中断して魔力管理部門の術師を呼んで自分の感じた波動について尋ねてみた。驚くべき事に24時間、360日に渡って交代で世界の魔法使用について感知管理を行っていた魔術師達には件の波動は感じられなかったと言う。


 こうなると、波動を感知出来たのは魔導師であった自分だけとなり、その自分も「たまたま」日課の瞑想に入っていた事が悔やまれたが、彼は程無くして思い出した。そう、この灰色の塔には彼の他にもう一人、魔導師が存在しているのだ。


彼自身は乗り気では無かったが、この波動の詳細を確認する為に仕方無くその「もう一人の魔導師」へ念話を送った。彼がこの人物に念話にしろ会話にしろ、接触を行うのはマイル商会事件以来実に1年ぶりであった。


『アンディオ。起きているか』


相手からはすぐに返事があった。


『ラルか。このような夜更けに何用か』


素っ気無い返事ではあるが、彼らの付き合いはもう40年近くあり表向きは特に不仲であるというわけでも無い。


総帥の地位を巡って争ったという過去は存在したが、実際に争ったのは彼らをそれぞれ取り巻いていた上級魔術師やギルド外の王室や貴族であって、本人同士は特にヴェムハが地位や名誉に拘りを見せるような性格でも無かったので、軋轢を生む事無くその後も付き合いの距離は変わっていない……とされている。


何しろ彼らはギルド内において居場所に対する住み分けがしっかりとしているのだ。


『少し前に……これまでに感じた事の無い波動を感じたのだが、主は気付いたか?』


『あぁ……儂も感じたな。西……いや南寄りか。この大陸では無いな。エスターかと思う』


『何と……。そこまで読んでおられたか。儂はあいにく瞑想に入っておったのじゃ。主はどう思う?』


『うむ。個人的には非常に興味をそそる波動だな。出来るものなら儂自ら出向いて確認してみたいくらいじゃ』


『いや……大まかな位置だけ教えて貰えないだろうか?管理部門の者を派遣して状況をまずは確認したいのだ』


『ふむ……よかろう。儂も実際はそれに割く暇は無いしの』


ヴェムハ総帥は自身で感知出来た範囲で場所をラルに伝えた。彼の感知を以ってしても現地で何が行われたのかまでは認識出来なかったらしい。


 こうなると、手の者に実際に現地付近を捜索させて報告させるしかない。ラルは魔力管理部門に所属する上級魔術師であるノディラクスにヴェムハから得られた情報を伝え、現地へ状況の確認に向かうよう念話で指示した。


魔術師では感知出来なかった波動である事から、当初は自身で赴こうかと思ったのだが、場所がエスター大陸である事から移動に時間が掛かる事を考えて、自身がそのような「調査」を目的としてギルド本部を長時間不在にするのは宜しくないと判断した上での指示であった。ノディラクスは自身が調査に赴くと返答し、直ちにエスター大陸へ発って行った。


 魔法ギルドは嘗てエスター大陸にも支部を設置していたのだが、大陸全土で長引く戦乱に「この大陸には文明復興の兆し無し」と判断して、それを見捨てた過去がある。


現代に至るまで「混沌派」の魔導師もエスター大陸に自らの領域を構えたという記録は無く、大戦争で超兵器の直撃によって地表の大半が不毛の地になった事もあり、その地で争いを続ける「蛮人」達に救済の手を伸ばす事を断念したのだ。


 エスター大陸から手を引いたのは彼ら魔法ギルドだけでは無い。救世主教勢力も、根気強い布教活動と住民への救済と啓蒙を試みたのだが、教会施設や人員に被害が絶えない現状に「救済不可」との烙印を押して見放した。


その際にエスター大陸出身の教団関係者の一部の者は宗山の行動に反発して現地に残ったとされるが、現在ではその勢力との交流は久しく途絶えている。


 そして何より、レインズ王国において数百年ごとに現われる「黒い公爵さま」はエスター大陸への干渉に対して全くの無関心であった。


彼らからしてみれば、血脈の家祖である「黒き福音」ヴェサリオを生んだ聖なる土地であるはずなのだが、ヴェサリオが大陸に跋扈していた魔物を「死の海」と呼ばれたロッカ大陸との海峡部まで押し返して駆逐せしめたにも関わらず、ヴェサリオが西方の北サラドスへ渡った後は文明復興どころか人間同士で争いを始めた蛮人達に対して再度の干渉を行おうとしないのは当然で、この「黒い公爵さま」の態度がその後の魔法ギルドと救世主教の撤退に繋がったとも言える。


 ギルドにとってはその後約1500年近くに渡って無視し続けた土地なのであった。

その蛮人の地であるはずのエスター大陸でこれまでに感じた事の無い魔力の波動に対して、二人の導師はそれぞれ注目をしたのだが、一旬後に帰還復命したノディラクスからの報告は非常に素っ気無い上に不可解なものであった。


「導師様方がお感じになられたと仰られる地域をつぶさに調査して参りましたが魔導や魔術等、魔法が使用された痕跡はございませんでした」


「何だと?全く何も無かったと申すか」


「はい。導師長様よりご指示頂いた地域を中心に半径200キロ程度を調査してみましたが、痕跡は見当たりませんでした。ただ……」


「うむ?何かあったのか?」


「いえ。魔法使用との関連は極めて薄いようですが、何者かに壊滅させられたと思われる集落と申しますか……村を発見致しました。但しその集落の壊滅に魔法は関わっていないようです。

更に申し上げますとその集落には争った痕跡が血痕等で残ってはおりましたが、肝心の死体が全くございませんでした」


「ほぅ……死体が無かったと?では持ち去られたと申すか?」


「いえ、実は……その集落の北側に墓地がございまして、真新しい墓標が相当数並んでおりました。恐らくは何者かが死体を葬ったのではないかと」


「どう言う事だ?その集落は襲撃のような外的な破壊によって滅亡したのだろう?その加害者が死体をわざわざ葬ったのか?」


「はい。私も不可解に思い、不本意ではありましたが墓の一部を暴いてみました。するとやはり死後からそれ程時間の経過していない死体と、驚くべき事にその遺体に対する遺品のような物品が棺に納められておりました。遺体は極めて丁重に葬られたと思われます」


「随分とおかしな話だな。その集落……村か。そこで争いはあったわけだな?しかしその後被害者と思われる者達は丁重に葬られていたと?」


「はい。再度申し上げますが、この集落の壊滅とその遺体の埋葬に関して魔法の使用は一切検出できませんでした」


「ふむ……まぁ良い。経験も豊富な其方がそのように断じたのであれば間違いはあるまい。ご苦労であった」


「いえ。導師様方のご期待にお応えする事が出来ず申し訳ございません」


「何を言う。其方の判断に疑いはあるまいよ。状況からしてこの灰色の塔に何ら影響が有るとも思えんしな」


 ラルはノディラクスを下がらせた。彼は元々実直な性格ではあるが高慢では無い。

彼の秩序を重んじる性格と人当たりの良さは下で仕える魔術師達には概ね好感を抱かれており、彼自身はこの灰色の塔においては「仕えやすい上司」と言う評判であった。


彼の上には天才かつ天真爛漫な総帥が君臨しているが、ラル個人は灰色の塔に所属する術師の多くを人望的には掌握していたのである。


 そしてこの不思議な出来事がラルの脳裏から離れつつあった年明けのある日、今度はまた彼の琴線に触れる出来事が報告された。


「ヴァルフェリウス公爵領の領都オーデルの東側に公爵夫人が所有しているという荘園の中で夜間でも煌々と光が満ち溢れている光景が市街からも観て取れる」


というものであった。その光は空をも照らし、王都の中心街すらも凌ぐ程だと言う。


 またしても「あの」ヴァルフェリウス公爵領だ。彼ら魔法ギルドの言う「あの」と言うのは「黒い公爵さま」を時折輩出する黒き福音ヴェサリオの血統であるという意味の他に近年においては


「公爵以外の種で産まれた男子を公爵夫人が嫡出と偽っている」


という重大な事案が発生している家を指すものの方が意味合いとしては大きい。そして報告の内容は当の公爵夫人が所有する私有地の中での出来事である。


 魔法ギルドはやはりその成り立ちの経緯から、どうしてもヴァルフェリウス公爵家に遠慮がある。

勿論、彼の家はレインズ王国における臣下の最高位にあり建国以来、王室と共に続く大貴族だ。

下手に突いて当主の怒りを買うと将来的にどのような力が撥ね返ってくるのか判らない。


偽嫡出子の件に関してはこのまま静観した上で実際に当人への相続が行われようとする際に王国政府へ告発という形で阻止する必要があるのだが、それまでは下手に藪を突かないというまさに「腫物扱い」で、これは恐らく救世主教の宗山も同じ考えであると思われる。


 そう言った事情もあり、昨年も未解決のマイル商会事件に関わっていると目されたソンマ・リジへの追及を断念する事になったのだ。


「私有地……荘園の中での出来事か」


ラルは報告を上げてきた者に対して苦笑を交えて聞き返した。


「はい。魔法の使用は感知されませんが、とにかく目立つとの事です。オーデルの住民の中でも話題になり始めているとか」


「なるほど。その出来事……現象に対して公爵家側から何か説明等はあったのか?」


「いえ……そもそも公爵様ご自身は現在、王国軍王都方面軍司令官としてこの王都にご滞在中です。どうやらご本人も今回の件は御存知無いようでして……」


「つまり今回の件に関しては公爵様では無く荘園の持ち主とされる公爵夫人の下で何か行われていると言う事なのか?」


「そこまでは断言致しかねますが……何しろあの地域には我らも手を伸ばし難いものですから……」


「まぁ、そうだろうな。儂の記憶ではあの荘園は公爵夫人が個人的に保護していると言うエスターからの難民を収容していたのではなかったか」


「はい。その通りにございます。この件については公爵夫人の美事として話は広まっておりまして、近頃は保護されている難民による菓子店が公爵夫人の肝入りでオーデルやこの王都でも出店されており、評判を呼んでいるそうです」


「そうなのか。しかしあの公爵家の嫡出を偽っている彼女がそのような……何とも不思議な話ではないか」


 ラルはまたしても苦笑を漏らした。魔法ギルドは公爵夫人エルダの「不始末」をかなりの部分で把握しており、将来の告発を補強する為にその「お相手」もある程度は特定出来ている。


そのような過去を持つ公爵夫人が「戦時難民の保護」などと言う過去3000年に渡って王国政府ですら全く無視してきた案件に取り組んでいるというのがどうも不自然に思われるが、彼自身は公爵夫人のこの行為を「過去の重罪に対する欺瞞」というように捉えている。

勿論、ラルはエルダの影で暗躍する女執事シニョルの存在を知らない。


「とにかく、光の正体は解らないのだな?」


「はい……何しろあの場所で我らの手の者を公然と動かすのは憚られますので……」


「まぁ……そうだな。ならば政府当局にこの件を何とは無しに通報して、彼らの調査への便乗を申し出るというやり方はどうだ?」


「なるほど。承知致しました。それでは法務部門と相談の上で調査を進めてみます」


「まぁ、魔法が関わっているわけでは無いなら当方もムキになる必要な無い。それ程強く政府へ申し入れる必要な無いからな」


 ラルはどうやらこの難民キャンプにルゥテウスが設置した街灯についてはそれ程関心を払わなかったが、公爵当人が王都に滞在中に領内の、それも「あの」公爵夫人の荘園で起きているという事に引っ掛かりを感じた。そこで彼なりのギリギリの妥協点としてこのような指示を出したのである。


 ルゥテウスが予想し、イモールが恐れていた「外からの干渉」がこうして魔法ギルドが王国政府を焚き付けるという形で始まったのである。

【登場人物紹介】※作中で名前が判明している者のみ


ラル・クリース

魔法ギルドで魔術師を束ねる導師長を務める魔導師。57歳。天才肌であるヴェムハとは逆に魔法世界の秩序維持とギルドの発展維持に心を砕く。


アンディオ・ヴェムハ

魔法ギルドの総帥を務める魔導師。61歳。魔導師として非常に強い力を持つが、魔導師ゆえの特性か魔法に対する理論や一般常識に疎く天真爛漫な性格をしている。レインズ王国子爵家の当主でもある。


ローワン・チャイ

54歳。魔法ギルドで序列9位の魔術師。法務部門の捜索班副長。探査や追跡系の魔術を得意として、事実上の現場トップの上級魔術師。


ショウ・ノディラクス

48歳。魔法管理部門のトップを務める上級魔術師で魔法ギルド内での序列は7位。魔導や魔術の使用を監視しており、魔法ギルドで把握していない魔力の捜査も行う。


ソンマ・リジ

26歳。戦時難民出身で初めて魔法ギルドに入門し、錬金術を修めた初級錬金術師。《赤の民》へ術符を提供してしまった為にギルドから追われる身となる。キャンプの中で主人公が作った薬屋《藍玉堂》の経営を任され、仲間からは《店長》と呼ばれる。

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