総合評価A- 俺の音楽ここにあります!
文中で赤字部分、青字部分といった指摘が入ることがありますが、これはTwitter上で公開した際に色分けをして見やすく指摘したものです。ノベプラでは文字の色分けができないので不自然に見えると思いますがご了承ください。
作品名 俺の音楽ここにあります!
作者様 竹野こきのこ
キャラクター造形力 A-
印象度 A- 共感度A
文章力 B+ 構成力A-
設定力 A 独創力A-
総合評価 A-
良かった点
本来、下読みとしては客観的に書かないといけなくて、好みだとか、この作品のここが好きです。といった表現は基本使ってはいけないのですが、有償でやっている実際の小説大賞としての下読みではないのでいいでしょう。私はこの作品全てが好きです。
特筆すべきは作者様の音楽関連の知識。技法に関しても詳しいし、レコーディングやスタジオの値段もリアリティがあったため、恐ろしく音楽が好きで情報を集めたか、実際にインディーズバンドとしてやっていた経験があるかのどちらかだと思いました。違っていたとしてもそれだけ読み手に作者の音楽への愛が伝わってくる作品でした。そして、小説を書くとき、そこまでの愛というのは強烈なまでの武器になります。それはなぜか、知識量や経験則で補完された文章というものはリアリティが違います。そしてそれ故に感情移入もしやすくなり、読み手の印象に残ります。つまり、上にある項目の大半の評価が一気に上がって小説としての完成度が上がるわけです。プロの作家さんが参考文献として大量に書籍の名前を書いてあることがありますが、リアリティのある良い小説を書くために10冊の本を読んでいるという事ですね。素直に尊敬します。
気になった点
21話 チートという単語はこの世界観だと表現として使わない方が良いかもしれません。反則的な位置。くらいの表現で十分に伝わると思います。
27話 ふざけすぎですね。 という地の文に対して田中さんが普通に会話しています。地の文と絶対に会話をしてはいけないという事はないですが、私だったら
――ふざけすぎですね。 「ふざけすぎですね」
のどちらかにすると思います。が、その後も結構頻繁に出てきているので作者様のこだわりとしてこの書き方を確立している印象も受けます。修正案はあくまで一考してみる程度で構わないと思います。
120話 脱字 言っいた
122話 かわいいんかいかついんかわからんなぁ〜。
文字の形が似ていてぱっと見で読みにくくなっている為、漢字を使った方が良いともいます。
131話 被たか 誤字
今日のライブブリーズはは実力で負けたと思ってる は が多い
134話 そして会場はまた、熱気に包まれぐちゃぐちゃになった。
雅人上手くなったなぁ……
まさかマイニングと一緒にするとは……
ここが若干唐突に来たなという印象を受けました。
146話 一旦帰らないなら出ていらない 誤字
総評
この作品を読み切っての感想は、“悔しい”でした。なぜ書籍化されていないのか。なぜもっと知られていないのか。なぜ私にこの小説を広めるだけの力がないのか。そう思うくらい良い作品だと私は思います。
文章力、特別語彙力が高かったり、特殊な言い回しで読者を自分の世界に魅了するタイプの作品ではなく、読みやすい文章で書き、ストーリーを使って読者を引き込むタイプでした。作者様が多分、“ねごと“というバンドのカロンという曲が好きだなぁと作品を読んでいて思ったので途中からずっとその曲をループして読み進めるとすごく良かったのでこれから読む方はおすすめです。
さて、これだけの作品がなぜ書籍化されていないのかですが、残念なことに小説投稿サイトにおけるランキング上位にあるものが異世界ファンタジーや恋愛というジャンルばかりというものを読めば察しはつくと思います。出版する側としても今現在ヒューマンドラマというジャンルはリスキーなジャンルという認識があるのかもしれません。ですが、出版業界でも動いてくれている方はきちんといて、BookBaseという個人で気軽に出版できるプラットフォームが開発中のようです。個人的には是非ともそちら利用を作者様にお願いしたいと思う作品でした。読ませていただき、本当にありがとうございました。
↑ここまでが客観的に見た評価
↓ここからが主観的な感想
この作品のすごいところは適切なだけ詳しい情報を読み手に与えてまるで自身が主人公と同じバンドマンになったかのように思えるほど感情移入をさせるところです。
そして、主人公以外のサブキャラクターにまで感情移入ができる。これって、私は結構すごいことだと思っていて、有名な作品でも感情移入できるキャラクターなんてメインキャラクターどまりであることがほとんどなのに、私がこの作品で特に好きなキャラはリクソンというサブキャラクター。登場時にライヴ会場でPAという仕事をしていて、ストレートにものを伝えすぎて中学生の女の子を泣かせることもあるけれど、認めた相手への協力や投資は惜しまない人です。私はこのキャラクターが好きすぎて偶に登場するたびにテンションが上がっていました。
ストーリーもきっちりと作られていて、終わり方も読み手にモヤモヤを残すようなものではなく、きっちりとハッピーエンドで締めつつ、読み切った時に終わってしまったという喪失感を与えられ、心の底から読めて良かったと思えた作品でした。
後日談として、実はこの後、この作品の作者でもある竹野さんとはDMでプロットの相談をしたりするくらいの仲になりまして、電撃大賞の作品を読んで感想を言いあったりして、とても楽しいです。こうやって、良い人と巡り合えるのも、この活動をしていてすごく良かったと思える部分で、これからも続けていこうと思う原動力になっています。本当にありがとうございます!
最後に、作者である竹野こきのこさんからこの作品の見どころについてのコメントをいただきましたのでそちらを載せようと思います。
俺の音楽ここにあります!【以降俺音】は、誰にでもある"頑張ってきた事"をテーマにつくりました。
インディーズバンドで頑張っていた太郎が、ギター人生が終わる。そのタイミングで3年前の中学生の女の子と入れ替わってしまうという話です。
俺音の見どころとしては、周りから見れば天才だけど、実は長い間頑張ってきた経験を使った秀才という所ですね。
(ギター以外にもそんな人沢山いる?)
昨今では、成功する事や成功した地位を得ている状態が幸せと捉えられがちに思います。この作品はどちらかと言うと、それまでのプロセスの魅力を出来るだけリアリティを意識して作っています。
(もちろん面白くする様にも考えました!)
何かを始めたい、挑戦したいとか思っている方には何かしら刺さってくれるんじゃないかな……?そんな風に思います!
今回この様な形で紹介頂いたメモリアさん。新しいサービス【レジェンドだと思ってます】を通じて作家活動にも変化が有りました!
世の中なにが有るのか分からないですが、こういった出会いが何か人生を変えるかも知れません。
だから……だからですよ?
これを読まれている方は、多分読んでもらったり評価してもらいたいと考えている人が多いのではないかなと思います。
この機会に一歩踏み出して見ませんか?
きっと人生のスパイスになると思います!
竹野こきのこ
いや、めっちゃ私褒められてるじゃん。作者がこの作品の見て欲しいところをコメントで欲しいとお願いしたらめっちゃ褒められてる。
は ず か し い
ただ、こういったことを言ってもらえるのって純粋に嬉しくて、竹野さんも書いてありますが、本当に出会いに感謝です。今回は、お忙しいなか、コメントを頂けて、本当にありがとうございました!
後書きに竹野さんの作品のURLを貼りますので、是非読んでください!
今回はここまで。またね。
俺の音楽ここにあります! 作品URL https://ncode.syosetu.com/n2745ev/
私の評価シートにある指摘点は、必ずこれを修正するのが正解という訳ではなく、あくまで可能性の提示に過ぎません。なので、最終的に修正するのか、修正するにしてもどの方向性で行くのかという判断は全て作者様に委ねております。