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理不尽ファンタジー

01 異世界に行きたい【完】

作者: 蔑鬥 凉湶

 テレビアニメやマンガ、小説でお馴染みの『異世界転移』に憧れていた子供時分――

 その影響で自分は前世はどこどこ世界の何々だ。世界を救う――または強大な能力を持つ何かだと信じていた時代があった。

 しかし、それは杞憂――どころか妄想の類だ。


 ガンッ!


 このようにトラックにぶつかっても全然景色が変わらない。

 致死に至っていないのが原因かと疑っているくらいだ。

 交通量の多い都会では比較的チャンスが多いもの。それを利用しているのだが、未だに成功した事は無い。

 年間の交通事故死亡者は増えているというのに、誠に残念な結果としか言いようがない。もちろん、個人的な感想だ。

 死亡している連中は今頃異世界ハーレム真っ最中なんだろうな。そんな妬みも一度や二度ではない。

 それとも名前が奇抜だから駄目なのか。

 冴えない主人公要素が少しでもあれば俺にもチャンスが巡ってくる、とか――

 鈴木(すずき)(さとる)佐藤(さとう)一郎(いちろう)田中(たなか)(はじめ)高橋(たかはし)恵理(えり)――などなど。

 しかし、自分の名前は残念ながら『キラキラネーム』に類するものだからどうしようもない。

 珍名ではある。――たぶんだけど。

 赤の他人の名前などに興味は無いと思うので割愛するが――しかし、それでも聞きたいならば――いや、そんな事より目下の目的は異世界だ。

 本当に存在するものなのか知りたい。

 創作の中での話しというのならば――俺、魔法は使えるよ、と言ったら信じるか。それとも単なる妄想野郎と見るか。


     § § § § §


 七度目の追突事故でも未だに変化無し。――内、乗用車は五。

 当たり屋気分だが金は要求していない。ただひたすらに、異世界に連れて行け、と言っているだけだ。

 空想生物が跳梁跋扈する森妖精(エルフ)とか居る世界に行ってみたい。

 地球の宇宙開発は遅々として進まないし、行くだけで膨大な金を消費する。それと未だに火星に人間が到着していない。


 月に宇宙船があるじゃないか。


 と言いたい所だが()()()()なのでもどかしい限りだ。

 ――宇宙はどうでもいい。

 中世ヨーロッパ風の異世界のことを言っている。

 剣と魔法の世界で殺し合いがしたいわけじゃない。

 妄想だと思っていても現実から逃げたい衝動は誰にでもあると思う。無い奴は知らん。

 生き残った人間は惨めに現代社会を満喫するしかない。そうだとしても頭は世界に旅行中だ。

 多くのクソみたいなコミュ障の冴えない主人公共はうまくやっているよな。


     § § § § §


 もしかして、俺がトラックを異世界に送り込んでいるパターンもあるのかも――

 全然死なない身体。不死身という訳ではない。当たれば痛いし、血が出ている。

 痛覚に問題は無い。

 ――問題があるとすれば一般人より強靭な肉体か。それとも自分は既に死んでいるオチか――

 だとすればトラックにはもう当たらない筈だ。霊体なら素通りする。

 いやまて、と。

 霊体のトラックかもしれんぞ。

 でも、景色は一向に変化していない。これはどう説明する。

 量子論や確率の問題なら専攻していないので理解は出来ない。


 ゴッ!


 いっそ金髪巨乳の森妖精(エルフ)が運転するトラックにぶつけられた方がマシではないのか。そもそもで言えば宇宙人が住んでいるくらいだ。

 広義の意味では俺もそうだったりする。――詳しくは分からないが、何代か前の親が月に停泊する世界から来たとかなんとか――

 どうでもいいか。昔の事だ。

 しかし、地球からしか異世界に行けないものなのか。もっと効率の良い方法があれば良いのに。

 ケガの治療の為に病院に向かいつつ俺は溜息を付く。

 そういえば異世界に現代的な病院が無いよな、普通――

 現代は何かと便利すぎる。――だからこそ生きていられるのだが――

 ――命を粗末にしてはいけない。これは割り合い真理ではなかろうか。

 後何度交通事故に遭えば異世界に行けるのか。むしろ異世界の方から地球に来てくれてもいいじゃん、と思いはすれど――単に舞台が地球だと面白くないというか――

 その前に――


 死にたいわけではないので『転生』は堅くお断りします。


   『終幕』


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