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俺とジジイと貧乏生活  作者: Mr.OKB
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part56戦いの終わった世界

どうも、Mr.OKBです。

やっとこの物語も終わります。最終話まで残り二話です。

そんな訳で今回はラスボスを倒した後の話を書きました。

ではごゆっくり。


 一日くらい経った。

 俺達は未知の敵相手に戦ったが少しの被害だけで済み、無事であった。

 さらにその十時間後に灰色だった世界に色が出現した。

 鳥栖の部下の科学者たちが今血眼で原因を究明しているそうだ。

 全員ではない、二人だけ無事ではない人がいる。

「その腕、大丈夫か?」

 半壊したビルの屋上で佇んでいる鳥栖に尋ねた。

「ああ、俺の組織が手に入れたものに比べればどうってことない」

「そう言う問題じゃないんだが・・・」

 鳥栖は腕が見つからず義手になってしまったのだ。

「片腕を失ってもヘリ操縦出来たんだから何の問題もない」

 鉄製の義手をギュイギュイと機械音を立てて動かした鳥栖は平気な顔で答えた。

「お前がそれでいいなら何も言わんがな」

「僕にはあの老人の方が心配だよ」

 もう一人、爺さんだ。

「爺さんがいなければ俺達は間違いなく死んでいた。爺さんは俺達を守ってくれたんだ」

「あの後、いきなり落下して誰も受け止まられなかったのが残念でしかないな」

 爺さんはバラを消し飛ばし、地面に落下してしまい未だ目を覚まさない。

「僕の組織の医学を総結集して治療しているが、なにせ体が異世界の物だからね」

「もう、爺さんは目覚めないのか?」

 俺は鳥栖に背を向けて屋内に向かって歩き出した。

「おい、どこへ行く?」

「決まってる。爺さんの所へ行くんだよ」

「多分起きてないぞ」

「それでも何かできることがあるかもしれないだろ」

「そうか、だったら行くと良い」

 

俺が向かった先の病院には負傷した鳥栖の組織の面々が手当てをしてもらっており、爺さんはその中の一室に眠っていた。

「あ、お兄ちゃん」

 ベッドの上で眠っている爺さんの隣にはミレーが座っていた。

「爺さんは起きないのか?」

「うん、びくともしないよ」

「汗かいてるな」

「お兄ちゃん、タオルあげるよ」

 いつの間にかタオルを持っていたミレーがそれを俺に渡した。

「「うっわ、すっご」」

 爺さんを起き上がらせて服を脱がせ、全身を見た俺とミレーは同時に驚いた。

 爺さんの全身におびただしい数の傷跡があったからだ。

「見て、背中には一個も傷跡がないよ」

 背中を見たミレーが言う通り、背中には全くの傷跡が無かった。

「おじいちゃんは背中の傷は戦士の恥とか言ってたよ」

「それよりも今まで一度も背中に傷を負わないっていうのがすごいな」

「今まで何度もピンチになったのかな」

 俺達は体を拭きながら爺さんの体の凄さに驚嘆した。

「あれ、これって爺さんの百科事典じゃないか」

 拭いていると布団の中に黒い表紙の百科事典があることに気が付いた。

「なんでこんなところに?」

 取り出して開いてみると葬式のやり方が書いてあった。

 爺さんはもう死んだも同然だから葬式の準備でもしろという事か、なんて不謹慎な百科事典だろう。

「俺がやりたいのは葬式じゃないんだ、爺さんを起こしたいんだよ」

 すると、いきなり葬式について書かれていたページが真っ黒に染まり、金色の文字で残り二分と出て来た。

「カウントダウン?」

文字は一秒ごとにゼロ分へと近づいていく。

「何だろう?」

「さっぱりわからないな」

「何してるんだい?」

 二人でカウントダウンし続けている文字を見ているとダシュトが入って来た。

「爺さんを起こしたいと言ったらこんなのが出て来たんだ」

 ダシュトに百科事典を見せる。

「それはね、起きるまでの時間だよ。セガンは魔拳族で、魔拳族の人間は一度寝たら中々起きないんだ」

「じゃあ死ぬことは無いんだな?」

「うん、この僕が断言するよ」

 ダシュトは百科事典を俺に返した。

「なんて人騒がせな爺さんだ。散々心配したんだぞ」

 眠る爺さんを見ながら呟くと、爺さんは目を開いた

 その場の空気が凍りつく。

「人騒がせで悪かったのう」

 むくりと起き上がり俺の方をみる。

「いつの間に起きたんだ?」

「今じゃ、お前が人騒がせだと言った時じゃよ」

「おじいちゃん、大丈夫?」

「ミレー、わしなら大丈夫じゃよ。ちょっと疲れただけじゃ」

 爺さんはミレーの頭をなでる。

「本当、本当?良かったぁ」

「孫よ、よく頑張ったのう」

「見ててくれたのか?」

「見てはおらん、じゃが鳥栖の父親がいなければ勝てていなかったじゃろう」

「でも、全然目立ってないし」

 結局活躍したのは鳥栖の父親だ、俺は翼だったのでほとんど目立っていない。

「目立つことだけが全てではないんじゃよ、それを下から支えたお前にこそ価値がある、そして頑張ったといえるのではないか?」

 爺さんは俺の頭を掴み、ぐわしぐわしと力強く撫でた。

「あの翼になる技は僕が教えたんだ。すごいだろ」

「そうじゃな。ダシュト、お主には感謝しとるんじゃ。わしの義理の孫をここまで強くしてくれたことには本当に感謝しとる」

「えっ?その反応は予想してなかったなぁ。てっきり邪魔をするなと言われるとばかり」

「ダシュト、お主は凄いぞ。ほら、来るがいい」

 爺さんは手招きをして、ダシュトを近くまで来させ、

「ちょっと!僕はもう大人だよ、そんなのいらないって」

俺のよりも力強く、豪快に頭を撫でた。

「ぐわっはっはっは!遠慮するんじゃない!」

 数十秒後、ダシュトを撫でまわすのに飽きた爺さんの部屋に一人の男が尋ねて来た。

「お主は・・・誰じゃったかのう?」

「私は苫木です。体調の方は大丈夫でしょうか?」

 丁寧にお辞儀をする男の顔には見覚えがあった。

「あー、鳥栖の部下のか?」

「はい、露手様から独田様を呼ぶように仰せつかって参りました」

「俺?さっき会って来たばかりけど?」

「改めてお話したいことがあるそうで。来ていただけますか?」

「わかった、すぐに行こう。爺さん、また後でな」

「うむ、行って来い」


 爺さんたちと別れ、苫木に案内されて俺はヘリポートに来ていた。

「おう、来てくれたか」

 輸送用と思われるヘリの横で鳥栖は手を挙げる。

「用があるならさっき会った時に話してくれれば良かったんだが」

「まあ、乗ってくれ。話は空でしよう」

 ヘリに乗ると、ヘリは上昇を始めた。

「話というのはな、この世界についてだ」

「この世界?」

「この世界は僕と君が見つけたものだ。つまり、この世界を世間に公表し、権利を名乗ればこの広大な土地は全て僕とお前のものだ。わかるか?」

「わかる」

「お前は以前から貧乏に悩んでいたな。この世界を売れば莫大な」

 次に鳥栖の言う言葉が予想できる気がした。

 莫大な金額が手に入り、一生遊んで暮らせるという事が彼は言いたいのだろう。

「いらねえよ」

 だが、俺は即座に却下した。

「自分の言っていることが分かっているのか?」

「ああ、わかっているとも。苦労しないで手に入れる金なんてロクなものじゃないという事も俺は知っている」

「でもお前は」

「やるよ、この世界を」

 俺は鳥栖の言葉を遮った。

「・・・・・・?!」

「俺はこれまで通り苦労しながら生きていく。たとえ貧乏な生活でも構わない。苦労して手に入れた金にこそ価値があるんだ」

 これは俺の本心だ。

 これまで年中バイトの生活をして苦労しながら生きて来たが、その分金のありがたみは知っている。

 苦労して働いて金を手にしなければ俺は喜べないのだ。

「この世界はお前が組織の拠点にでも何でもするといい」

「本当に・・・良いのか?」

「ああ、何の問題もない」

「そうか、変な奴だなお前は」

「テロリストのお前だけには言われたくない」

 俺は悪魔化し、ヘリの扉を開けた。

「じゃあな、爺さんの所に戻らせてもらうぞ」

 そして、漆黒の羽を広げて飛び降りた。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

この物語はフィクションです。

この小説は不定期投稿です。

毎日投稿したり、同日投稿したり、一週間に一度しか投稿しないこともあります。

ご了承ください。

評価や感想をくれると私のみが喜びます。

ご意見ご要望等ございましたら連絡してください。


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