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俺とジジイと貧乏生活  作者: Mr.OKB
50/58

part50ミレーの兄

どうも、Mr.OKBです。

異常気象みたいに気温が変動しますが体調を崩していないので今日も書きました。

さて、今回はミレーの兄が登場します。

彼はもともとミレーの代わりに登場させる予定でした。ですので今回だけ登場させ、今回だけ主役をやってもらうことにしました。最終回も近いのにそんなことしていいかって?

良いんです。

そんなわけでいつもとは少し違う物語をお楽しみください。

ではごゆっくり。


「ようこそ、私の部屋へ」

 左の扉を開いて中に入ったミレーを青色で所々に水晶が埋め込まれた服を着た男が出迎えた。

「うわぁぁ!」

 だが、それよりもミレーはその部屋に感動していた。

 その部屋は四百平方メートルはあろうかという広さで、壁、床、天井から青い水晶が生えており、それぞれが淡い光を発し、それが幻想的な空間を作り出している。

「私は水晶細工師をやっている、クリスと申します」

 男は紳士的に一礼をするが、ミレーの視界には入ってきていなかった。

「描かなきゃ、絵を描かなきゃ」

 その幻想的な部屋に心を奪われ、絵を描きたくて居てもたってもいられなくなったのである。

「この部屋の入った限り、あなたは私と戦わなくてはいけません」

「この色はこの絵の具で表現して、この色は・・・」

「ちょっと、聞いてますか?」

 絵を描くための準備をしているミレーにはその声は聞こえない。

「床は少し緑、碧色だね」

「おい!」

 クリスが怒鳴ると、やっとその声が聞こえたのか

「ん?何」

ミレーがクリスの方を向く。

「私と戦いなさい!絵を描くのは後でいいでしょう」

「やだ、今がいい」

「わがままを言うな!」

「じゃあちょっと待ってね。代わりに戦ってもらう人呼ぶから」

 ミレーはリュックサックからスケッチブックを出し、異常な速さで絵を描き始めた。

「代わりの人?」

「黙って、集中できない」

「・・・」

 一分後、絵を描き終わったミレーは描いたページを破り、床に置いた。

「出来た、ピクチャーカミング!」

 ミレーが呪文を唱えると床に置いた紙が発光し、人型の何かが紙の上に出現した。

「だから私の計算ミスでは無かったって言っただろう!最初から・・・」

 誰かに説教するような言葉を吐きながら出て来た男は自分の置かれた状況が理解できず呆然としている。

「久しぶり、鉄お兄ちゃん」

 彼は銀髪のオッドアイ、開いた口から見える歯は銀色、全身を覆うように茶色いコートを着ている。

 ミレーの家族の絵に出て来た男と特徴が一致していた。

「お前なぁ!いつでもどこでも呼び出すんじゃねえよ!こっちは使えない部下を説教している最中なんだ、すぐに帰らせてくれ」

「あの人が戦わないと帰らせてくれないって」

「な・・・ぬ?」

 彼はミレーの指さす方向をゆっくりと振り向きながら見た。

「初めまして、クリスと申します」

 クリスはまた紳士的に頭を下げた。

「私は久川鉄男という者だ、戦わないと帰れないのは本当か?」

「はい、返しません」

「なら、戦うしかないな。ミレー、下がっていなさい」

「はーい、アタシそこでスケッチしてるね」

「安全なところでやりなさい」

「うん」

 ミレーは笑顔で彼の言葉に答え、部屋の端の方へ走っていく。

「微笑ましいですね」

「血は繋がってないがかわいい妹だ。少しは気遣ってやらなきゃいかん」

「では、戦いましょうか。ルールは簡単、どちらかが倒れるまで」

「私と戦ったことを後悔させてやる」

 久川はコートのボタンを外し始めた。

「顕現せよ!我が水晶の剣!」

 クリスは手を合わせ、水晶のように輝く剣を出現させた。

「私の最高傑作であるこの水晶の剣で切り刻んであげます」

「水晶の固さを知ってるか?私の装甲を斬れるとは思わないぞ」

 久川はコートを脱ぎ捨てた。

 隠れていた上半身が露わになる。

「あなた、人間じゃないですね」

 その上半身は胸に紫色の宝石が埋め込まれ、その周りを銀色のプレートで覆ったようなまるでロボットのようであった。。

「改造人間だよ!先手必勝!」

 久川の胸の宝石が光り輝き、そこから太く、紫色のビームが照射される。

「クリスタルウォール」

 クリスはそれを出現させた水晶の壁で防ぐ。

「なんて高威力だ。もう一段階!グレートクリスタルウォール!」

 壁にひびが入り始めたのを見てクリスは更に分厚い壁を出現させて防ぐ。

「ふ、防ぎきれたか・・・・・・ん?この音は!」

 クリスは感じた、何かが走って移動する音を。

「後ろだ、水晶野郎!」

 クリスの背後に手からカッターのような刃を出した久川が迫る。

「甘い!この私に剣術で勝てるものか!」

 水晶の剣と刃をぶつかるが、火花は散らない。

「おかしい、この私が押されている?」

「焦っているな。どうした、私は勝てないんじゃなかったのか?」

 クリスは剣を片手で持ち、後ろに飛んで距離を取ったかと思うと目を閉じて額に指を当てた。

「出現せよ、クリスタルピラー!」

「ぬぐぁ!?」

 久川は足元から出現した水晶の柱に突き上げられた。

「これは、柱?」

「私の能力の紹介がまだでしたね、私の能力は水晶を生み出す能力です。つまり、このようにあなたを串刺しにすることができる!クリスタルニードル!」

 壁から二本の尖った水晶の柱が出現し、久川に迫る。

「計算を間違えたか・・・」

 しかし、すでに落下を始めていた久川のからだには当たらなかった。

「だが、もう一度やれば確実に消せる。クリスタルピラー」

落下地点を狙いクリスは水晶の柱を出現させると、またも久川は空中に打ち上げられる。

「青い水晶を真っ赤な血で美しく染めてください。クリスタルニードル」

バリィィン!

「ふう、びっくりしたーぁ」

 水晶がバラバラに砕け散った。

「あなた、私の水晶を割りましたね」

「久しぶりだよ、これを使ったのは」

 久川の背中から巨大な腕が生えている。

「妻の拳だ。この長さ四メートルの腕の拳の威力は私の拳をも上回る」

「私の大切な水晶を割るなんてとんでもないことをしてくれましたね」

「美しく散ったじゃないか。何が不満だ?」

「許しません。あなたに永遠の芸術になってもらいます」

 クリスは剣を構え、久川に突撃する。

「妻の腕で粉々になるがいい!」

「ぐあぁあ!」

 しかし、圧倒的にリーチが足らず、一撃で吹っ飛ばされる。

「痛い、痛いけど立ち上がれます。私の怒りはこんなものじゃありません」

 クリスは痛みを怒りの感情でかき消し立ち上がる。

 そして剣を頭上に掲げ、叫んだ。

「クリスタルフラッシュ!」

 青い閃光が額から放出され、部屋中の水晶に照射される。

「眩しい!何だこの光は?前が見えない」

 久川の視界を奪ったその光は複雑な光の反射を繰り返し、全ての光が水晶の剣に集中した。

「視界が奪われたようだな。この光を浴びたものは少なくとも数分間目が見えなくなる」

「・・・・・・そうだな、ホントに何も見えない」

 久川は視界を奪われたため、うかつに動けずにいた。

「この光は増幅することで相手を水晶に帰ることができる」

 クリスは剣を構えた。

「この部屋の水晶はさっきの光を何十倍にも増幅させ、この剣に集まった。私がお前を斬る瞬間、お前は水晶の像となる」

 クリスは勝利を確信して走り出した。

「えい」

 ぐさり。

「な・・・」

 クリスの腹から何かが突き出ている。

「予想通りだな」

「アタシの絵を描く邪魔をするなんて、許さないよ」

「お前は、ミレー?」

 クリスは腹から血を滴らせながら後ろを向く。

「私の妹は絵を描く邪魔をする奴を許さないんだ、さっきの閃光が邪魔だったんだろうよ」

「鉄お兄ちゃん消しちゃって」

「かわいい妹の頼みだ。聞かざるを得ないな」

 久川は歩いてクリスに近づき、手から剣を奪い取った。

「貴様、見えていないのに何故?」

「私の目は人間のものじゃないのでな、あんな閃光何ともない」

「鉄お兄ちゃん、早く消して」

「わかったわかった。じゃあなクリスとかいうの」

「や、止めろ私を斬るんじゃない」

「断る」

 両眼を光らせながら久川はクリスに向かって剣を振りおろす。

「あ」

 クリスは水晶の像となった。

 悲鳴を上げる寸前だったようで、その表情はある種の芸術である。

「悪趣味な像だな、悲鳴を上げる寸前みたいで気持ちが悪い」

「これはスケッチしたくないね」

「ミレー、絵は描き終わったのか?」

「うん、見せてあげる」

「これは・・・。またうまくなったな」

 その絵は戦っているクリスと久川を描いたものだった。

「お兄ちゃん嬉しいぞ。お前がこんなにいい絵を描くなんて」

 久川は涙をこらえながらミレーの頭をなでる。

「えへへ、ありがとう鉄お兄ちゃん」

「さてと、こいつを消すとするか。妻の腕!」

 久川の背中に出現した巨大な腕は水晶を容赦なく粉々に叩き割った。

「これで返してくれるのか?」

「やっぱり・・・ばれてた?」

「この私に嘘がつけるとでも?」

「ごめんね、すぐに元の世界に返してあげる」

 ミレーがしっぽで絵筆を持ち、床に絵を描くと空間が歪み、黒い穴が出現する。

「またね、鉄お兄ちゃん」

 久川は穴に入ろうとする寸前で足を止めた。

「おっと、お前に渡したいものがあったんだ」

 久川はコートの内ポケットから綺麗に包まれた箱を取り出し、ミレーに渡した。

「新しいベレー帽だ、気にいるかどうかは知らんが使いなさい」

 そう言って久川は穴に飛び込むと、穴は消えた。

「ありがとう鉄お兄ちゃん」

 包み紙をはがし、中に入っていた緑色のベレー帽をかぶり元の世界へ帰った血のつながりのない兄に礼を言った。

「ここから出たらどうしようかな?」

 誰もいなくなった部屋を歩き回り、出口を見つけたそう言ってミレーは扉を開いた。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

この物語はフィクションです。

この小説は不定期投稿です。

毎日投稿したり、同日投稿したり、一週間に一度しか投稿しないこともあります。

ご了承ください。

評価や感想をくれると私のみが喜びます。

ご意見ご要望等ございましたら連絡してください。

ではまた次回お会いしましょう

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