part34テロリストの正体
どうも、Mr.OKBです。
今回は前回に引き続きセガンとテロリストが戦うお話ですが、今回はボス戦です。
仮面の男の正体もここで明らかになります。
ではゆっくりとお読みください。
「よくぞここまで来た、と言いたいところだが全然来て欲しいとなんて思ってない」
進んだ先にはあの仮面をかぶった男が安楽椅子に座ってパチ、パチ、パチと拍手をしている。
仮面の男は背が高く、大き目のベストを着用していた。
「同感です、何でここに来たんでしょうかね」
隣にいる小柄な男はパソコンをいじり、パタンと閉じた。
「見たところお主がボスのようじゃな」
「いかにも僕がテログループ政府批判の会のリーダーだ」
「そして私が側近の苫木です」
安楽椅子にふんぞり返った仮面の男と苫木が自己紹介する。
「わしはセガン・F・プリズン。お前らを叩き潰すために来た」
「セガン?偶然だな、僕の友人にもセガンという人がいるんだ。まあいい、何故僕らが叩き潰されなければいけないんだい?」
仮面の男は首をかしげ、襲撃の理由を問う。
「わしは孫と江ノ島に行く予定じゃった。しかしお前らがわしの雇い主に脅迫状なんか出すから休めなくなったじゃないか」
「苫木、どういう事だ?」
「我々が北夏議員に脅迫状を出したので休暇が取れず、怒っているようです」
苫木は自分の主人にセガンの言ったことを要約して伝える。
「わしは孫との時間を二度もお前らに邪魔された。許すわけには行かん」
「僕は戦わなければいけないみたいだ」
仮面の男は後ろの扉に親指で逃げろと指示する。
「いいえ、私も戦います」
「駄目だ」
仮面の男は安楽椅子から立ち上がり、苫木に手話で何かを命じた。
「わかりました。ご武運を」
手話の意味を理解した苫木はパソコンを持って逃げていく。
「へっ、時代劇かよ」
「部下を逃がすとは、いい上司じゃな」
「次のボスはあいつだ。万一僕が死んでもこの組織は残さなくちゃならない」
仮面の男は壁にかけてある二・五メートルほどの長さの棒を取った。
「突然だが五分以内に警察がやって来る」
「だからどうしたんじゃ?」
「僕は今まで一人も殺していないんだが、警察に捕まるぐらいならここを爆破し、警察もろとも死ぬのも悪くない」
仮面の男はベストのポケットからスマホを取り出し、操作して投げ捨てた。
「ぴったり五分後にこの家は爆発する。それまでに逃げなければお前も死ぬだろう」
「正気か?上にいるお前の部下はどうなる?」
「ここまでアジトがボロボロにされたのも、お前がここにいるのも僕の責任だ。さっき全員逃がすようにと苫木に命令した」
仮面の男は棒を構える。
「自分の責任は自分でとるのはいい心がけじゃ」
対抗するようにセガンも拳を構える。
「残り数分の命だ、最後にいい汗を流させてくれよ!」
仮面の男は棒を上に投げ、その間に懐から拳銃を二丁取り出し瞬時に発砲し、また懐にしまって棒を取ってセガンに向かって地面を蹴った。
「またそれか!」
セガンは避けようとするが避けきれずに体に二、三発が命中した。
「まだまだぁ!」
ひるんだセガンを仮面の男は棒で数回殴る。
「むう、魔法無しではまだきついな。そりゃあ!」
セガンが反撃するが、仮面の男は後ろ飛びで避け、また懐から拳銃を取り出して発砲する。
「どうした?上で使った魔法を使ってみろよ」
「魔法は甘えじゃ、わしは自らの肉体で勝負する」
セガンは気付いたのだ、自分は今まであまり避けていなかったことに。
魔法で強化した肉体で攻撃を避けも防御もせずに攻撃を無効化していたので素の身体能力が衰えてしまったのだ。
それで魔法を使わずに戦闘をする口実としてフェアプレイ精神を持ちだしたのだ。
「そうかよ、おりゃあ!」
銃弾を避けたセガンに一気に近づいて棒で殴りつけた。
その瞬間、バチバチバチと棒の先端が光った。
「な、これは電撃か?」
「そうだ、化学班に作らせたスタンガン付き折り畳み式変形型鉄棒の威力はどうだ?」
後ろに飛び、棒を三等分して中から鎖を取り出し、連結させた。
「これでヌンチャクの完成だ」
仮面の男はヌンチャクと化した鉄棒をぶんぶんと振り回す
「見た事あるが、自ら喰らいたくないのう」
「喰らわしてやるよ!」
また一気に距離を詰めた仮面の男はヌンチャクを振りかぶる。
「ここじゃ!」
振りかぶった一瞬のスキを突き、セガンは仮面の男の顔面を殴った。
「ぐはっ!?」
仮面が異常な威力の拳によって割られ、仮面の男の素顔があらわになる。
「くそっ」
ヌンチャクを元の鉄棒に戻し、拳銃を連射する。
「その技はぬがっ・・・。お主、予想して撃っとるな」
また避けるが、やはり避けきれずに今度は全ての銃弾が命中する。
「正解だ、僕はお前がさっき会った彼女と違って一秒に十発発射することが出来る。避けようとしても無駄だ」
「さっきの二倍の速さか、そりゃ避けれんはずじゃ」
「大体な、何で頭に当たってるのに生きてるんだよ」
セガンは頭に二発、腹に三発、足に四発命中しているが、血を少し流すくらいで済んでいる。
「わしの体は丈夫にできとるんじゃ。行くぞ!」
今度はセガンが攻撃を仕掛ける。
「動きは素早いが、動きは直線的で避けやすいぞ」
攻撃は全て避けられ、壁や、天井、床に至るまでどんどんひびが入っていく。
「まだじゃ、まだいけるぞ」
「だから避けやすいってうわっ!」
避けた場所に瓦礫が落ちてくる。
「これが狙いか!」
セガンの拳の一発は鐘を叩いて異常な音量が出るほどのものだ。
それが何発も壁や天井にぶつかれば当然部屋は壊れていく。
「イグザクトリィじゃ」
瓦礫はセガンがぶつかる度にどんどん増えていく。
「がはっ」
瓦礫のせいで避けられなくなった仮面の男についに攻撃が命中した。
「今までのお返しじゃ!」
さらに数発殴られ、仮面の男は動けなくなった。
「ふう、どうやって帰るか」
男を肩に乗せて部屋を出ようとするが、瓦礫に阻まれ、出ることが出来ない。
「爆発まで、残り一分です」
突然アナウンスが流れる。
「へっ、お前も、俺も終わりだ。ついでに警察もな」
セガンが耳を澄ますと、パトカーが近づいてくる音が聞こえた。
「悪いが、お主の死はまだ先じゃ」
セガンは仮面の男の素顔を確認してから言った。
「お前が死ぬとわしの孫が悲しむからのう」
「何?」
「バーニングフィストエクストラ!」
セガンはいきなり拳にいつもより強い魔力をため、いつものようにバーニングフィストを放つ。
「テレポート」
二人が消えると半壊している家は炎に包まれ、大爆発した。
「ふぅ、ただいま」
「爺さん、土足で部屋に上がるな」
俺がゆっくりとダシュトとお茶を飲んでいると、人を背負った爺さんがいきなり現れた。
「セガン、半裸で血だらけなんてなにがあったのさ」
ダシュトの言う通り爺さんはいつものコートと下に来ていた服を持っておらず、上裸で頭や腹から血が出ている。
「わし、テロリスト捕まえた」
爺さんは背負った人を床に置く。
「テロリストを捕まえた?」
眠っている人の顔を覗き込むと、その顔には見覚えがあった。
「鳥栖、こんなにぼろぼろになって何があったんだ」
鳥栖は変な棒のようなものを背中に付けており、殴られた跡がいくつもあった。
「わしも驚いた、顔を見たら鳥栖なんじゃもん」
「とりあえず手当てしてやってくれ」
「断る、こいつはわしとお前の休日を邪魔したんじゃ」
爺さんはきっぱりと断る。
「そうさ、僕の手当てなどする必要はない」
今まで何も言わずに眠っていた鳥栖がむくりと起き上がった。
「何という頑丈さじゃ、魔法無しの全力で殴ったのにもう意識を取り戻しとる」
「鳥栖、お前がテロリストなんて嘘だろ」
はっきり言って信じたくない。
友人が犯罪者なんて気持ちいいものではない。
「本当だ、僕はテログループ政府批判の会のリーダー、鳥栖露手だよ」
「まだ高校生だろ、なんでテロリストになったんだ?」
「世の中には高校生探偵がいるそうだ。高校生探偵がいるなら高校生テロリストがいたっていいだろ」
鳥栖は俺に向けて拳銃を向け、窓の方へと移動する。
「わしの孫を殺してみろ、わしが今度は魔法を使ってお主を殺す」
「こう見えても僕は飯をくれた孤軍の事は嫌いじゃないんだ、僕も黙ってないよ」
二人が俺をかばうように立ちはだかり、鳥栖を睨みつける。
「待つんだ爺さん、ダシュト。俺が話す」
俺は二人の前に出た。
「鳥栖、お前はバイトを辞めるつもりか?」
「当然だ、正体が誰かに知られてしまった以上、この国にいるわけには行かない」
「それは困る、お前がいなくなると休日が大変なことになる」
休日は人が大量に来るので調理担当の鳥栖がいなくなるととても困る。
「知ったことか」
「俺はお前を警察に通報するつもりはないぞ」
俺はテロリストがどうなろうが、国家が転覆しようが、知ったことではない。
そして俺は家に犯罪者を抱える身としてなるべき警察と関わりたくない。
「しかし、お前がどうしても出るというなら警察に通報する」
「それでも僕はこの国を出るぞ、警察や空港には俺の部下が何人も潜んでる。警察に通報しようが国を出ることなんか簡単だ」
警察に通報するという脅しは通用しないようだ。
「ならば俺と勝負しろ。俺が勝ったらお前は日本に残れ。お前が勝ったらどうしようとかまわない」
「何を言ってるんじゃ?わしが魔法使わないで少し苦戦したんじゃ。やめとけ死んでしまうぞ」
爺さんは俺に警告をする。
「この狂った爺さんとは違ってお前は常人だ。僕に勝てるわけがない」
鳥栖は俺に余裕な笑みを見せた。
「それはどうかな」
腕組みをしたダシュトが口を挟む。
「なんじゃとダシュト?」
「セガンも知っての通り孤軍はこの僕がみっちりと一か月間修行を受けさせた。そう簡単には負けないと思うよ」
ダシュトはそう言って俺の肩を叩いた。
「だ、そうだぞ。やるか?」
「いいだろう、お前の祖父を苦戦させた僕と戦ったことを公開させてやる」
俺と鳥栖の間に火花が散った。
※今回のネタバレが含まれています。本文を読んでから読んでください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
評価や感想をくれると、私だけが喜びます。
この小説は不定期投稿です。
前から微妙に伏線があったのですが、テロリストは鳥栖君でした。
勘が鋭い方ならもう予想していたかもしれません。
今回明らかになった鳥栖君のプロフィールを次回は出す予定です。
では、「part34.5」でお会いしましょう。




