part30ダシュトとの登校日
どうも、Mr.OKBです。
今回は警備の仕事で学校に行けなくなったセガンの代わりにダシュトが高校に登校するお話です。
part28で校長の計画しようとしていた警備はどうなっているのでしょうか?
では、ごゆっくりお読みください。
次の日俺が起きた時には爺さんはおらず、ダシュトが寒そうに体を丸めて寝ていた。
卓袱台の上には爺さんが着ていた制服が置いてある。
俺はお湯を沸かし、餅をオーブンに入れた。
餅が出来るまでに顔を洗って制服に着替える。
「起きろ、朝だ」
「あるへぇ?朝?ぶふぇっくしゅっ」
ダシュトは大きなくしゃみをして起きた。
「ほら、早く顔洗ってこい。もうすぐ朝飯が出来るから」
ダシュトが顔を洗っている間に俺は餅を皿に乗せて卓袱台に並べた。
「えー?またもちぃ?他の物は無いの?カツ丼とか」
ダシュトは餅を見て文句を言う。
お前は朝からカツ丼なんてものを食うつもりか?
「昨日も言ったがうちは貧乏なんだ。朝と晩は餅、昼飯はおにぎりだ。できるだけ節約しなきゃならないんだよ」
実はあの百科事典を買ったせいで少し金欠だという事は言えない。
「わかったよ。醤油頂戴」
「ほら、醤油だ」
爺さんはもう醤油を教えたのか。
「うーん、醤油万能説と書いてあったが本当だったな」
醤油につけた餅を食べながらダシュトは呟く。
「どこに書いてあったんだ?」
「セガンの持ってた百科事典。あれ何でも載ってるんだ」
「は?」
本当に何なんだあの百科事典は?
「独田君、寒いんだけど」
未だに半裸のダシュトが文句を言う。
「そこに爺さんの制服がある。着ればいいだろ」
数分後、身支度を整えた俺とダシュトは公園に来ていた。
「ダシュト、行くぞ」
「はいよ」
同時に悪魔化し、空へ飛び立つ。
ある程度の高度までくればさほど一目にはつかないだろう。
「君、それで空飛ぶの?魔力持つのかい?」
「それはこっちのセリフだ。よく翼も無しに飛べるな」
「こっちは君とは年季が違うんだよ。聞けば君は昨日悪魔になったばかりだそうじゃないか」
「こっちには知識があるんだ。魔力が少し少なくても飛べるんだよ」
「知識ねえ、ところで君は何故少しずつ下降しているんだい?」
「あんたは滑空という技術を知らないのか?これで魔力を節約できるんだよ」
「流石に知らないな。明日セガンにでも聞いてみるよ」
あともう少しでバス乗り場だ。
どこか目立たない場所は・・・あの森林がいいな。
「ダシュト、あの森林に急降下するぞ」
「何言ってんの?僕は余裕だけど君はきついでしょ」
俺は自分の翼で全身を包んだ。
「じゃ、俺先行くから」
「あっ待て」
次の瞬間、俺の体は自然落下を始める。
俺の作戦はこうだ、木の最高地点でまた翼を広げ、羽ばたかせて落下を無理矢理止める。
考えているうちにもう木が見えて来た。
「今だ」
作戦通り翼を広げ、羽ばたかせる。
グシャ!バキバキ!メリメリメリ!ドサッ。
スピードが落ちきる前に低木にぶつかったようだ。
「ほら、言わんこっちゃない」
俺とは違い、ピタリと止まったダシュトが呆れた目で俺を見る。
「君、もう少し飛び方練習した方がいいよ」
「あいたたた。あんたの言う通りだな」
元の姿に戻り、土を払う。
「ダシュト、爺さんの姿になってくれ」
「OK」
黒光りする悪魔の姿をしていたダシュトが制服姿のセガンになる。
「じゃ、行くか」
俺達はスクールバスの発着場に向かった。
「何じゃありゃ」
「高校とやらはあんなに騒然としているのかい?」
駅の改札からスクールバスの発着場まで黒い服を着たガタイのいい男たちが二列となって壁を作り、その間に生徒を通し、生徒から話を聞こうとするマスコミから生徒を守っているのだ。
「いいか、生徒以外を一人として通すな!」
「ちょっと、どいてくださいよ」
「駄目です」
マスコミがどくように言うが、ガタイのいい男たちは通さない。
「すみません、お話を」
ボイスレコーダーを持った新聞記者のような男がこちらに近づいてくる。
「孤軍、ちょっとあっち向いててくれるか」
「えっ?うん」
指示通り明後日の方向を向く。
「キシャア」
「ひいぃっ、ば、バケモノォ!」
新聞記者は走ってどこかへ行ってしまった。
「もういいぞ」
「お前何をした?」
「ちょっと口を開けただけだが」
口を開けただけでそんなに驚くわけがない。
「お、生徒の方ですねこちらの道を通ってください」
人の壁の近くで中に生徒以外が入らないように見張っている男が俺達を誘導する。
「あ、どうも」
「高校とは毎日こんなことやってるのか?」
「違うと断言できる」
壁の先にあるスクールバスは、窓には中が見えないように黒布が貼られている。
「おい、外が見えないんだが」
「黙れ」
いったいどうなってるんだ?生徒をマスコミから守るためとはいえここまでするか?
学校に着くとさらにその防衛のレベルは上がっていた。
「大量の警察官が何故ここに?」
正門の前にはまるで機動隊のような男たちが並び、マスコミを一切近づけないようにしている。
誰がどう見ても普通の高校ではない。
「おはよう」
校長とすれ違う。
「おはようございます、校長先生ってええ?」
校長にはガードマンがついていた。
「おう、孤軍」
そのガードマンは前に言っていた帽子をかぶった爺さんだったのである。
「どうした?お前の知り合いか?」
校長が爺さんに聞く。
「はい、私の古い友人です」
「そうか、早くマスコミ連中の様子を見に行きたい。ついて来い」
校長は爺さんと共に校門まで歩いて行った。
「おはよう、独田とセガン」
教室に入ると、鳥栖が話しかけてくる。
「お、鳥栖。今日は早いな」
いつも遅刻ギリギリな鳥栖が珍しく早く来ていた。
「ちょっと用があってな」
その時、携帯の音が鳴った。
「おっと、ちょっと失礼。あーもしもし僕だ。あ?それ?そうでいい。わかった。じゃ」
鳥栖は電話を切った。
「どうしたんだ?」
「友人からだ。ちょっと質問があるんだと」
「しかし、今日のあれには驚いたな。あそこまでするとは」
「私も驚いたよ。今まで見た事ないぞ、あんな変なの」
「まあすぐに収まると思うよ。マスコミも一つの事ばかりに構っているわけには行かないだろうしね」
鳥栖は目をきらりと輝かせ、笑った。
「おっはよー。こー君、露手君。後、セー君」
雑談をしていると、登校して来た天涯さんが元気なあいさつをする。
「セー君って私の事か?」
「そう、セガン君だからセー君」
「天涯さん、朝から元気なのは良いけれど座ってくれるかしら」
天涯さんの後ろから早良先生が入って来る。
時計を見ると、八時四五分で、八時四十分のHRの時間を過ぎていた。
「では、銀杏さん号令を」
「起立、礼。おはようございます」
生徒が一斉に礼をする。
「はい、おはようございます。今日は残念ながら平常授業です。先日の事件から一夜明けましたが、今日からは普通に授業を受けて下さい」
先生はため息をつき、話をつづけた。
「後、校長先生から連絡です。五分後の八時四十五分に放送をするので静かに聞け、とのことです」
「先生、もう八時四十五分ですけど」
一人の生徒が発言する。
「あら?何で放送されないのかしら。まあいいわ、どうせいつものようにとんでもないことを言うつもりでしょうし」
「何で放送されないんだ、俺は時間を守らない奴が嫌いなんだ!」
先生が呟くと、スピーカーからノイズ音が聞こえ、校長の怒鳴り声が聞こえた。
「あー、あー、よし。生徒諸君、先日新学期早々三人の大馬鹿者が殺されたが、追悼などしなくても良い」
またとんでもないことを・・・。
「何じゃと?!お主正気か?」
スピーカーから爺さんの声が聞こえる。
「何だ?ガードマンが口を挟むんじゃない」
「どけ、わしが話す」
「うわっ何をする!」
スピーカーから争うような音が聞こえる。
何やらかしているんだ爺さん。
「オホン、生徒の諸君。校長の代理だ。校長の代わりにわしから生徒諸君に話すことがある」
「どうしたのかしら?おじいさんの声が聞こえるけど」
教室内がざわつく。
「わしは殺された三人の事は良く知らんが、聞いた話じゃとたくさんの悪事をしていたらしいのう。彼ら、を恨んでいたものもいるかもしれん。しかし、殺された三人の冥福を祈らなくてもいいという事は無い!いくら恨んでいたとはいえ、彼らはわしらと同じ人間じゃ。知り合いの人間が死んだならばせめて冥福を祈るというものが筋じゃないじゃろうか」
爺さんはマイク越しに熱い思いを伝える。
「なるほどな、いいだろう。お前の考えは気に入った。生徒諸君、黙とうしろ!さもなくばどうなってもしらんぞ」
なん、だと?あの校長が考えを改めた?
「教職員!早く黙とうをさせるんだ!じゃないとクビにするぞ」
「は、はい。皆さん、黙とう」
ざわついていた教室が静まり返る。
「黙とうをやめろ。俺からの放送は以上だ」
「えーとりあえず一限の授業の準備してくださいね。多分今から職員会議なんで」
先生は大急ぎで教室から出て行った。
さっきの放送についての会議に違いない。
先生がいなくなると、教室は大騒ぎになる。
「へぇー師匠やるじゃん」
騒ぎの中でダシュトは呟いた。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
この物語はフィクションです。
この小説は不定期投稿です。
毎日投稿したり、同日投稿したり、一週間に一度しか投稿しないこともあります。
ご了承ください。
評価や感想をくれると私のみが喜びます。
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では次の登場人物紹介その二でお会いしましょう。




