part29セガンの出張依頼
どうも、Mr.OKBです。
今回は独田の義理の祖父のセガンがいつものビル警備からどこかへ警備に行くというお話を書きたかったのですが、サイドストーリーがかなり多くなってしまいました。
では、どうぞお読み下さい。
校長が学校警備の為に策を練っている時、独田はいつものように接客をしていた。
「銀さん、三番テーブルにオムライスとナポリタンを運んでくれ」
俺は銀さんに指示を出した。
「はーい。今行きます」
最近また客が増えた気がする。
銀さんが入ったことによりサービスが向上したからだろう。
「どうぞ、ご注文のパフェです」
「ありがとう。うっわーすごい美味しそう」
一人の客に注文のパフェを渡し、また厨房へと戻る。
「鳥栖、料理は出来たか?」
「ああ、六番テーブルのサンドウィッチセットだ。受け取れ」
「はいよ」
鳥栖からサンドウィッチセットを受け取ると六番に持って行く。
「これで最後だな」
すべてのテーブルに料理が行き渡り、少し休憩を取れる。
「店員さん、お会計」
二人の若い客がレジ付近に立って俺を呼んだ。
「はい、伝票をお預かりします。ナポリタン二つとコーヒー二杯で千八十円です」
「一万円しかないや、いいかい?」
「もちろんです」
一万円を受け取り、レジからお釣りを出す。
「ではお先に八千円と、九百二十円です。ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
客が出て行ったので一度客の使っていたテーブルを確認すると、天涯さんがテーブルを拭いて、銀さんが食器を厨房に持って行った。
天涯さんが拭き終わるのを確認し、次の客を呼ぶ。
「次のお客様、どうぞ」
「こんにちは」
次の客はいつもよりも声が低い紳士だった。
恐らくさっきの駅で降ろされたため、機嫌が悪いのだろう。
なんか紳士の後ろに赤いオーラが見える。
「お客様、こちらへどうぞ」
俺が案内しようとすると、銀さんが先に案内していた。
「た・・・・・・三・・・・・・か・・・・・・コ・・・・・・む」
席に座った紳士が注文をするが、声が低すぎて聞き取れない。
「はい?もう一度お願いできますか」
銀さんが聞き返す。
「卵サンドを三つと唐揚げとコーヒーを頼むと言ってるんだ!」
「ひぃっ」
「もういい、お前じゃ話にならん。独田を呼べ」
紳士は俺を呼んだ。
「お客様、どうされましたか?」
「何だこの新人は?話にならん。注文を聞き返すとは失礼だ」
「しかし、あまりにも声が低すぎて私にも聞き取れませんでしたが」
「何?声が低すぎるって?それは私が悪いな。すまないお嬢さん」
紳士は帽子を取って銀さんに謝った。
いつもは店内でも帽子を目深にかぶっているので素顔を見た事が無かったので、どんな顔か知りたかったが、銀さんの方を向いていたので見えなかった。
「は、はひい」
「銀さん、鳥栖に注文を伝えてきてくれ」
銀さんが行くと、俺は水を紳士のテーブルに置きに行った。
「すみません、彼女、新人なんです」
「いい、こちらに落ち度があったのは事実だ。水が無かったのはそちらが悪いがな」
また紳士は帽子を目深にかぶったので素顔が分からなくなっている。
「大丈夫でしたか?さっき電車から降ろされましたよね」
「おっと。君、見ていたのか」
紳士は驚いたのかグラスを落としそうになった。
「ええ、偶然同じ電車に乗ってたんですよ」
「大丈夫だったよ。暴力団の人間と間違われて警察に連絡されたけど」
それを大丈夫とは言わない。
「私は健全な中学三年生だ。暴力団なわけがない」
「見た目は完全におっさんじゃないですか」
しまった、客に対してこの言葉づかいはいけない。
「はっはっは。いつも母親に言われるからな」
「すいません、お会計」
客が俺を呼んでいる。
「すいません。じゃ、俺行きますんで」
「ああ、頑張れ」
会計を終えると、銀さんに呼ばれた。
「独田さん、大丈夫でしたか?」
「何が?」
「あのおっさん、怖かったので」
銀さんは怯えた表情をしている。
「あれおっさんじゃないよ。中学生だ」
「え?」
「そういえば紳士の顔見たんだろ、どんな顔だった?」
「さあ?よく覚えていません。混乱していたので」
「そうか、残念だな」
「ちょっと二人とも!またお客さんが大量に来たから働いて!」
そこへ天涯さんが入って来た。
「はあ、今日も疲れたなあ」
バイトが終わった午後九時半。
俺は誰もいない新宿中央公園にいた。
「でも、これが成功すれば交通費が必要なくなるな」
誰もいないことを確認し、悪魔化する。
「感謝するぞハレス。飛び方の感覚はつかめている」
翼を広げ、魔力を込めて一気にはばたかせると体が宙に浮く。
先の戦いでハレスに体を乗っ取られたことで、空を飛ぶ感覚をつかんだのだ。
「これだ。安定しているからこのまま移動しよう」
ある程度の高度まで上昇し、飛行を始める。
帰り道の方向は知っているので一気に全速力で飛び出した。
「速いな、待て、これだと滑空した方が良くないか?」
翼をピンと張って滑空できないか試す。
「うん、これである程度は魔力を節約できそうだ」
空をすべるようにして少しづつ下降していく。
そして人に見つかりそうな高度になったらまた上昇するのだ。
これで飛び上がる分の魔力だけで済むから長距離を飛行できる。
ハンググライダーに似た技術だ。
上昇と下降を繰り返し、自分の家の場所を発見した。
「あそこに降りればいいかな」
俺の家の隣には公園があるのでそこに降りるつもりだ。
ゆっくりと上空を旋回し、ふわりと公園に着地した。
「初めてにしては俺上手いかもしれないな」
家のドアを開けると、爺さんはおらず、ダシュトしかいなかった。
「お帰り独田君」
「爺さんはどうした?」
「何か電話?とかいうのがかかってきて出かけちゃったよ」
爺さんに電話なんて珍しいな。
「そうか、ならダシュト、夕食を食わせてやる」
「夕食?なにくれるの?」
俺はいつものように餅を出した。
「え、これだけ?」
「爺さんから聞いてるかもしれないが、うちは貧乏だ。これくらいしか食えん」
「はあ、セガンは何で君の所に来たんだろうね」
二人が少ない夕食を食べている頃、爺さんは他の警備員と共に警備長から明日の警備について話されていた。
「諸君、我々は明日東部結合高校の警備を依頼された。そこで今日シフト以外の全員で向かうことにする。それに伴い、行けない人は言ってくれ」
あれ、東部結合高校はわしが通ってる高校じゃったような気がするのう。
どうしたものか?わしとしては学校に行きたいが、警備もしたい。
そうじゃ、ダシュトを身代わりにしてわしは学校に行けばいいんじゃ。
待て、それは師匠としてはどうじゃろうか?弟子に社会勉強をさせるために学校に行かせるべきではないじゃろうか?
「どうしたセガン?」
「あ、いいえ何でもないです」
そうじゃな、師匠として弟子に社会勉強をさせてやろう。
「では、明日東部結合高校正門前に集合してください。解散!」
他の警備員達が帰っているので帰ろうとすると、警備長がセガンを呼び止めた。
「何でしょうか?」
「明日は頼むよ、何でもお偉い議員さんが来るそうだから。じゃ、帰りな」
「わかりました」
セガンは警備員の待機所を出ると、テレポートで家に戻った。
「何?明日僕に高校に行って欲しい?」
「そうじゃダシュト、わしは明日高校の警備をしなければいかん。だからわしに化けて高校に行け」
爺さんは夕食の餅を食べながら、変身する。
「それセガンの若い時の姿じゃん。ま、出来るけど」
ダシュトも変身し、若い爺さんが二人になった。
「爺さん、良いのか?高校生活楽しみだったんだろ」
「そうじゃが、わしは師匠じゃからのう、弟子に社会勉強をさせなければいかん」
「そうか、でもダシュト、問題起こすなよ」
「どういうことだ?」
元の姿に戻ったダシュトが尋ねる。
「言っておくが、爺さんは今まで強盗、器物崩壊、食い逃げをやっている。だからそんなことするな」
「この僕がそんなことするわけがないだろう」
数十分後、寝る段階になり、俺はあることに気づいた。
「狭いのう」
「狭いな」
「狭いね」
三人で寝ると、この部屋はかなり狭いのである。
「独田君、僕寒いんだけど」
「我慢しろ、お前の分の布団など存在しない」
俺は布団があるが、金が無いので二人の分など買えるわけがない。
「そうじゃぞ、わしを見習え」
爺さんは茶色いコートを体にかけて寝ている。
「君達、僕の状況を見てよくそんなこと言えるね」
ダシュトは半裸である。
因みに今は一月だ。
「なら、服着ろよ」
「だって君の服ぶかぶかなんだもん」
ダシュトは筋肉質だが、見たところ百六十センチと小柄だ。
身長百七十一の俺の服はぶかぶかだ。
「そうじゃ、ダシュトは元の姿に戻ればいいんじゃないか」
「セガン、良い案だね」
ダシュトは元の姿に戻った。
「これでわしの上着のポケットに入れとけばよいじゃろう」
「そうだな」
数分後、俺は眠りについた。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
この物語はフィクションです。
この小説は不定期投稿です。
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