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俺とジジイと貧乏生活  作者: Mr.OKB
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part3貧乏生活と強盗犯

 家に帰って来た俺は買ってきた餅をオーブンの中に入れて焼き、できた餅を醤油につけて食べた。

 俺の家のアパートには娯楽用品が全く無い。

 テレビ代の無駄なのでテレビは無い、電気代の無駄なのでスマホもない、本代が無駄なので本もない。

 だから食事をしながら出来ることと言えば金の計算くらいだった。

「もうすぐ給料日だが、それまで金は持つだろうか?」

 かなりの貧乏生活をしている以上、金の計算は欠かせない。

 餅一つにはご飯一杯分のエネルギーがあるそうだが、それを二個食えばご飯二杯分のエネルギーになる。

 明日は十二時間近く働くのでエネルギーは多い方がよいと思い、三個の餅を焼いて食った。

 毎日バイトを入れるのは半分賄い目当てである。

 バイトに行き、賄いで夕食を済ませるだけで毎日の夕食費は浮く、昼飯はおにぎり二つ、朝食は毎日変わるが、基本的に安く作れるもの限定だ。

 金の計算をしながら夕食を済ませ、シャワーを浴びる。

 風呂には親が死んでから一度も入っていないので寒いこの季節になると風呂が恋しい。

「後は宿題して寝るだけか」

 毎日バイトを入れ、十時に帰ってくる人間に勉強の二文字は無い。

 授業を受け、その時に出来るだけ覚えておくが記憶力のあまり良くない俺の脳みそは覚えてくれず、テスト勉強など休み時間と自習時間にやるしかテスト対策などできないのだ。

 しかし宿題をやらなければ成績が悪くなり、居残りなどをくらえばバイトに遅刻してしまう。

 だからこの風呂を済ませた暇な時間に宿題をやるわけだ。

「あ、昨日から冬休みだから急ぎの宿題は無いのか」

 俺が歯を磨こうと流しに向かったその時ドアが音を立てて破壊された。

「は?」

「わし、降臨」

 ドア、破壊・・・・・・弁償。

「お前!ドアを弁償しやがれ!」

「わしが誰かって?わしの名は・・・って何?」

「だから!その破壊したドアを弁償しろと言っているんだ」

 ドアを壊した男をよく見ると俺の復讐を邪魔した老人だった。

「ああ、そのすみません」

 老人は懐から財布を出し、数枚の紙を俺に渡した。

「何だコレは」

 その紙は野口さんや諭吉さんではなく、見覚えのない男が印刷されたものだった。 

 老人の容姿は誰がどう見ても日本人ではないので外国人だと推測できる。

 恐らくこれはこの老人の母国の金か何かだろう。

 しかし俺にとって諭吉さんや野口さん以外何の価値もない。

「いるかこんなもの!」

 俺は迷わず紙幣らしきものを破り捨てた。

「何てことするんじゃ!わしの世界では五万円ほどの価値があるのに!」

「知るか!ここで使える金を持ってこい!」

「わかった。五分待っているんじゃ」

 老人は走って出て行ってしまった。

「何だったんだ今のは・・・片付けるか」

 俺は謎の老人が蹴り倒したドアを元に戻そうとドアに近づくと外から争うような声が聞こえて来た。

 嫌な予感がするので外を見ると、老人がすごい速さで走って来た。

「よし、逃げ切れたようじゃな」

 老人が五万円を握りしめにやりと笑っている。

「ほら、弁償代じゃ」

 老人は五万円を差し出して来たのを見た俺は固定電話の受話器を持ち上げ、あるところに電話をかけた。

「もしもし警察ですか」

「はい、どうしましたか?」

「うちの近くで起きた強盗事件の犯人が家にいます」

「やめるんじゃ」

 老人が受話器を俺から取り上げて元のところに戻した。

「てめえ!せっかく人が通報してあげてるんだから邪魔するんじゃねえよ」

「お前!わしがせっかく五万円を持って来たんじゃから受け取れ!」

 駄目だ、話が通じない。

 でも五万円には興味があるので老人から受け取った。

「さて、落ち着いて茶でも飲むか?」

「ああ、飲むとしよう」

 俺は煎茶を淹れ、老人に出した。

「それで、お前は誰だ」

「やっと聞いてくれたな」

 老人は立ち上がり、着ていた服に付属していたマントをひるがえしながら自己紹介をした。

「わしの名は、セガン・F・プリズン!異世界からやって来たエージェントじゃ!」

「おー」

「決まったのじゃ・・・練習した甲斐があったのじゃ」

 俺が拍手したのがうれしかったのかセガンはうれしそうな顔で笑った。

「練習してたのか」

「さて、わしが自己紹介したのじゃから次はお前の番じゃ」

「俺はお前みたいにカッコ良さそうなものは持っていないのだが・・・俺は独田孤軍どくだこぐんだ。東部結合とうぶゆいごう高校に通っている」

「孤軍、わしの家族にならんか」

 セガンはいきなりとんでもないことを言い出した。


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