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俺とジジイと貧乏生活  作者: Mr.OKB
21/58

part21新学期

この小説は不定期投稿です。

毎日更新したり、同日更新したり、一週間に一回更新したりしますが、ご了承ください。

感想や評価等をくれるととても嬉しいのでお願いします。


 一月三日冬休み最終日の朝。

「孫、一体何をしているんじゃ?」

「明日の準備だよ。明日から学校だからな」

 俺が明日持っていく物の確認しながら答えると、爺さんはまた百科事典片手にこちらにやって来た。

 なぜ今しているかと言うとバイトに行くと疲れて忘れる可能性があるからだ。

「高校じゃろ、わしは知ってるぞ」

「勉強したんだな」

「なあなあ、高校って面白いのか?」

「いや、つまらない。でも待て、俺がつまらないと思っているだけで爺さんにとっては面白いかもしれないから何とも言えないな」

 いつも俺は仕事で金を稼ぐ事しか考えていなかったので金を稼げない高校と言うものに興味がなかったのだ。

 俺にとって興味があるものは金だけ、だから俺以外の物はつまらないとしか思えなかった。

「そうか、ならば・・・。孫、お前どこの高校に通ってるんじゃ」

 爺さんは少し考え込むようなそぶりを見せ、質問した。

「東部結合高校と言う場所だ」

「どこにあるんじゃ?」

「ここから南にしばらく行くとやたらでかい建物がある。それだ」

「わかった。ちょっとわし行って来る」

「ちょ、どこへ行くつもりだ」

「お前の学校じゃ」

 爺さんはドアを開け、すごい速さで飛んで行った。

「いったい何をする気だ?」

 その日爺さんに会う事は無かった。

 次の日も爺さんは帰って来ず、俺は爺さんの分の飯も食べて学校に行く事にした。

「はあ、爺さんは一体どこへ行ったんだ」

 電車に揺られながら俺はため息をついた。

「よう、独田」

「ん?お前か」

 顔をあげると目の前には制服を着た鳥栖が立っていた。

「どうしたんだ、そんな顔して」

「実はうちの爺さんがいなくなっちまったんだよ」

「何、今流行の認知症か?」

「いや、俺達の学校に行くと言ったきり、帰って来ないんだよ」

「なら今から行けば見つかるんじゃないか?」

「そう思うんだけどね」

「次は~旧広川~旧広川~」

 荷物を持ち、降りる準備をする。

「あれ、お前その傷どうした?」

 鳥栖の顔に切り傷がある。

「これ?これはちょっと角にぶつけただけだよ」

「そうか、なら良かった」

 旧広川に着き、ドアが開いたので降りようとする。

「びぃゃあああああああああ!」

 その時、大きな鳴き声が聞こえた。

「何事だ?」

 悲鳴の聞こえた方向を見ると、小さな子が電車とホームの間にはまっている。

「誰かうちの子を!助けてください!」

 女性が大声をあげるが、周囲の声にかき消されてしまっている。

 大量の人が降りたため、車内に人は少なく、誰も気づかない。

「独田、助けるぞ」

「断りたいが、非常事態だ。助けよう」

 俺は女性に近づくが、鳥栖は別方向に向かった。

「大丈夫ですか?」

「はい、でも子供が・・・」

 ビッーーーーーー。

 大きなブザー音が響く。

「鳥栖、どこに行ってた?」

「非常停止ボタンを押してきた」

「それはもういい!一気に引っ張るぞ」

「OK!」

 子供の腹を持ち、一気に引っ張ると子供がスポンと電車とホームの間から飛び出た。

「よし、これで一安心だ」

「お客様、大丈夫ですか!」

 やっと駅員が駆け寄って来る。

「はい、こちらの方たちが助けてくれました」

 女性が俺達の方を指さすが、俺達はそれどころでは無く、改札に向かって走っていた。

「まずい、今ので学校に遅刻してしまうかもしれない」

「僕もスクールバスに乗り遅れてしまう」

 何故俺達がこんなにも慌てているかと言うとうちの学校は遅刻にやたら厳しいのだ。

 遅刻した瞬間に放課後に残され、一時間雑用をしなくてはならない。

 そんなことをしていたらバイトに遅刻してしまう。

「ああ!ちょっと待ってくれ、頼む!」

 全力で走ったが、バスは行ってしまった。

「どうしようか。俺達の遅刻はほぼ確定したぞ」

「待つんだ独田。もしかしたら間に合うかもしれない」

「どういうことだ?」

「とりあえず着いて来てくれ」

 俺の問いを無視し、鳥栖は走って行った。

 俺も走って後を追う。

「ふぅ、ここまでくればいいかな」

 ある程度走ると、鳥栖は歩き出した。

「実はね、学校までは歩くことが出来るんだよ」

「いつもバスに乗ってるじゃないか」

「今は八時二分、バスの朝の最終便は八時。バスでは学校まで八分かかる。だけどこの道を歩いて行けば三十分で着くんだよ」

「そんなの知らなかったぞ」

「当然だよ、だって君いつも早い電車に乗ってたから遅刻とは無縁なんだよ。だからこの道を通る必要はない。だから知らない」

「確かに今日はいつもより遅い電車に乗ったな」

 今思えばいつも早く行くように心がけているので鳥栖に会ったこと自体異例の事なのだ。

 今日は爺さんが帰って来なかったので少し遅かったのである。

「本当に着いてしまった」

 現在八時三十分。校門前である。

「な、僕の言ったとおりだろ」

「貴様らぁ!早く教室へ行けぇ!」

 校門前に居た生活指導の教師が怒鳴っている。

「さ、早く行くぞ」

 やたらでかい学校を歩き、HR棟に向かう。

 この学校はHR棟、特別棟、教師棟、部室棟、体育館、陸上競技専用グラウンド、通常グラウンド、野球場、テニスコート、大講堂、屋内プール、森、池などがあり、かなり大きい。

「おっはよーこー君、露手君」

 HR棟一階の一―四教室に入ると天涯さんがあいさつをしながら近づいてくる。

「おはよう、天涯さん」

「よう天涯、朝からご機嫌だな」

 鳥栖がそういうと、天涯さんの声のトーンがいきなり下がった

「実は全然ご機嫌じゃないんだ。ねえ聞いてよ二人とも、私初詣行けなかったの」

「何でだ?店長ならそういうイベントごとは絶対に行くだろう」

「それがねこー君、私達、年越しそばを食べて寝たのよ、それで起きたら今朝でね。初詣に行けなかったの」

「それで昨日と一昨日はいなかったのか」

 昨日と一昨日は店長はいたが、天涯さんがいなかったので銀さんと二人で接客をした。

「そうなの、それにお父さんったら起こしてくれなくてね。おかげで初詣に行けなかったの」

「あー天涯、初詣は新年に初めて神社などに参拝する事であって、必ずしも一月一日に行かなければいけないというわけではないぞ」

「もう、露手君はわかってない!一月一日に行かない初詣なんて初詣じゃないんだよ!」

 天涯さんは頬を膨らませ、自分の席へ戻っていった。

「なあ独田、俺わかってないらしいぞ」

 鳥栖は少し落ち込んだ顔をする。

「お前の言ったことは間違ってないぞ」

 鳥栖の肩をポンと叩き、自分の席に荷物を置いていると校内放送が流れた。

「ごっぉっほんごほん。校長です。生徒は始業式をするから今すぐ大講堂に集まるように。集まらなければお前らの命は無い。以上、校長からの連絡でした」

 人格を疑うような連絡がされた。

 疑うかもしれないがあれがこの学校の校長である。

 俺はいつものように一人で大講堂に向かうことにしたが、その前に鳥栖がこちらにやって来た。

「独田、あれを見ろ」

 鳥栖が指さした方向は中庭だった。

「なんであの木折れてるんだ?」

 中庭に立っていた木がトラックに追突されたように折れており、急ブレーキをかけたような跡があった。

「まるでトラックでも激突したかのような折れ方だろ。不思議じゃないか?」

「はっ。あ、ああそうだな」

「何でだろうな?」

 俺達は大講堂へ向かったのだが、この時すでに原因が分かっていた。

 ①中庭はトラックが入れるほどの入り口が存在しない。

 ②急ブレーキをかけたような跡があるが、タイヤの跡がない。

 ③トラック並みのパワーを持つ男を俺は知っている。

 ④その男は昨日ここに行くと宣言していた。

 絶対に爺さんだ。

「どうした?そんな青い顔して」

「いや、ちょっと嫌な予感がしたんだ」

 大講堂でクラスごとに並び、始業式が始まるのを待つ。

「えー、只今より東部結合高校三学期始業式を始めます。後都広ごとひろし校長、お願いします」

 教頭が校長を呼ぶ。

「ごほん。貴様らは今日から三学期だが、三年生はもうすぐ受験だ、必ず受かってくるように。受からなかったら三年生の命は無いかもしれん。そして、三月の文化祭を楽しめ」

 この学校は校長の人格に問題があるから変わっていて文化祭が三月にある。

「二年生、てめえらは来年の受験に備え、勉強しろ。そして三月の文化祭を素晴らしい物にしろ。さもなくばてめえらの命は無い」

 この校長は口が悪く、話している対象が変わるごとにどんどん悪くなっていく。

「一年生のガキども、ガキどもは来年度は先輩になる自覚を持って生活しろ。来年からは受験に向けて更に大変になるから、今のうちに一年で学んだことを頭に入れとけ。さもなくばガキどもの命は無い」

 この校長は何故だか知らんがすぐに殺害予告をしてくる。

「話は終わりだ」

「次に転入生の紹介です。後都広校長、お願いします」

 生徒が驚いてざわつき、俺もかなり驚いていた。

 三学期に転入してくる生徒は珍しいからだ。

「黙れ貴様ら。今日は新しい生徒を紹介する。まず一人目」

 校長がスーツの懐から紙を取り出し、読み上げようとするがうなりだした。

「ん?むむむむ?読めん。俺も老眼かな?教頭!」

「は、はい!」

 すぐさま教頭が校長に耳打ちする。

 どうやら老眼で字が読めないらしい。

「ふむ。よし一人目は七色周子さん。前に出てきなさい」

 校長が名を呼ぶと真っ赤な髪の女が出て来た。

「ほれ、なんか言え」

 校長が七色という名の生徒にマイクを渡す。

「ありがとうございます校長先生。私は七色周子。今日から皆さんよろしくお願いします!」

「なかなかかわいい子じゃないか」

 後ろで鳥栖が呟いた。

 小柄な体に真っ赤な髪の毛と目の七色さんは確かにかわいい子だ。

 結構舞台に近いのでよく見える。

「それだけでいいのか?」

「はい、校長先生」

「あっそう。じゃあ二人目・・・はぁ」

 読み上げようとした校長の顔が一気に嫌な顔になった。

「独田・・・セガンくん。前に出てきてくれ」

 はい?独田セガンだぁ?

「おい独田、これはどういうことだ?」

「知らん」

 なぜ今まで気付かなかったんだ!

 あいつは高校の話を聞いて少し考えるようなそぶりを見せていた。

 洞察力には自信があるが高校に行きたがっていたとは気が付けなかった。

「どうも、独田セガンと申します。本日からこの学校でお世話になります。よろしくお願いします」

 この学校の制服に身を包んだ男・・・もとい独田セガンもとい爺さんは丁寧なあいさつをして丁寧に頭を下げた。

 白髪は黒くなり、髭は無くなり、背が低くなった上、筋肉も衰えていてまるで若返ったようだ。

「あーこれで転入生の紹介は終わりだ。生徒は教室に戻るように」

 いきなり始業式が終わり、俺は教室に帰ったわけだが

「独田、これはいったいどういう事なんだ?」

「こー君、説明してよ」

 二人の同僚に質問攻めにされていた

「だから知らんと言っているだろう」

 本当は知っているが、流石に話すわけには行かない。

「私も説明して欲しいわ」

 眼鏡をかけ、大人びた印象を受ける女生徒が俺の机の前に立つ。

「委員長さん、何故あんたが聞きに来る?」

「あそこに二つ席が増えてる。二人の転校生がここに来るってことよ。委員長として新しい生徒の事は出来るだけ知っとくべきだと思うの」

 あんたは委員長だというだけで生徒の事を知り尽くすつもりか。

「あなた前に親族はいないって言ってたわよね」

「多分同じ苗字ってだけだろう」

「独田なんて珍しい苗字が他にあるわけないでしょ」

 天涯さんが反論する。

「はーい皆さん、席に座ってください」

 担任の早良先生が教室に入って来た。

 柔らかな笑顔を浮かべているこの人は「あの女」と裏では呼ばれている。

「では銀杏さん、号令を」

 生徒が席に座ったことを確認した先生は委員長に号令をかけるように言った。

「起立、礼。おはようございます」 

 委員長の号令と共に生徒が朝の挨拶をする。

「はい、おはようございます。まずは、転入生の紹介をします」

 先生が扉を開けると、七色さんと爺さんが入って来た。

「じゃあまず独田・・・これだとうちの独田くんね。そうセガン君、セガン君よ。セガン君自己紹介をしてくれるかしら?」

「どうも、今日からこのクラスでお世話になる独田セガンと申します。よろしくお願いします」

 爺さんは始業式と同じ挨拶をした。

「次は七色さん。自己紹介してくれる?」

「はい、七色周子です。長野から来ました。この学校の事はよく知らないのでご迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いします」

「転校生について何か質問はあるかしら?」

「はい!」

「どうぞ、天涯さん」

 先生が質問を聞こうとすると、真っ先に天涯さんが手を挙げた。

「こー君とどういう関係ですか?」

 おいやめろ、その聞き方だと俺と爺さんが変な関係のようじゃないか。

 実際変な関係だが。

「こー君って誰だ?」

「俺の事だよ」

 思わず自分から発言した。

「なんだお前の事か。私はお前のいとこだろう」

 爺さんめ、いつの間に俺のいとこになったんだ。

 というかその姿の時一人称私なんだ。

「どうやらそういう事らしいぞ、天涯さん。多分遠い親戚だろう」

「そう言う事だったのね」

 かなり無理があるが、納得したらしい。

「他にはないかしら?」

 誰も手を挙げない

「あら?そうなの。じゃあ二人とも後ろの空いた席に座ってね」

 何故手を挙げないか?

 クラス全体の前で聞くことは無いからだろう。

 休み時間に本人に直接聞けばいいからこのような質問タイムは必要ないのだ。

「それで今日の予定なんだけど、この後宿題を提出してもらってその後は掃除をしてお終いです。それじゃ、今日も頑張っていきましょう!号令!」

「起立、礼。ありがとうございました」

 先生が教室を去ると、クラスのほとんどが七色さんの席の周りに集まって質問攻めにしていた。

 だが、俺はそれを無視し、爺さんを屋上に引っ張り出した。

「爺さん、この状況を説明してくれ」

「おいおい、いとこを爺さんとはどういうことだ?」

「わかった。セガン・F・プリズン、これはどういうことだ?」

「わしが隠しとったのにいきなり見抜かれるとは、流石わしの孫じゃ」

 爺さんは空中で一回転し、いつもの姿に戻った。

「お前から高校の事を聞いて無性に通ってみたくなってのう」

 爺さんは服の中から百科事典を取り出し、俺に見せた。

「なになに?百科事典を読んで知識を蓄えることは良いことです。でも、知識を蓄えるだけではなく、実際に体験してみることも良い事です」

「ま、そう言う事じゃ」

「実際に体験ねぇ。まあ高校に行きたいという事の察しはついてたけど」

「今日は帰れなくてすまんかった。でもいろいろとやることがあってな」

「どうやって入学した?」

「操りの魔法じゃ。それで校長を操って無理矢理入学した」


最後まで読んでくれてありがとうございました。

ところで、登場人物紹介を作った方がよいでしょうか?

作った方がいいと思う方は言って下さい。

他にも、ご意見ご要望等ありましたら言って下さい。


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