part18俺とジジイと大晦日
この小説は不定期投稿です。
毎日更新したり、一週間に一度投稿するときもあるのでご了承ください。
作者がまだ中学生の為、文章がおかしいことがあるかもしれません。
感想や評価等をしてくれるととても嬉しいのでお願いします
そのまま雑談をしていると時間がいくらあっても足りないため、俺達は町に出かけることにした。
「せ、せまい」
俺と爺さんは渋谷に向かっていた。
「仕方ないだろ、爺さんでかいんだから」
満員電車で爺さんは客に潰されていた。
何故渋谷に行くのか?爺さんに東京を案内するためだ。
少し金がかかるが、休みが多かったおかげで収入が多いのでこのくらいの贅沢はしてよいだろう。
「次は~渋谷、渋谷」
車内アナウンスが次の駅を知らせる。
「しかしこの電車とやらは便利じゃのう。体がなまってしまう」
「生活が便利になると、体力が落ちていくらしいぞ」
その時、キキィーと音を立てて電車が急停止した。
「な、なんじゃ?いきなり止まったぞ」
「皆様にお知らせします。ただいま線路が破壊されたため、緊急停止しました」
車内がざわつく。
「どこの誰じゃ!線路を破壊した大馬鹿者は!」
「テロリストだよ」
「何じゃそりゃ」
「やたらめったら物を破壊する奴だ。二、三年前から増え始めてな」
今現在日本ではテロ組織が増加している。
原因は不明だ。
「ぬぅぅぅぅ。頭にくる!ちょっと探してくるのじゃ」
そう言うと爺さんは扉に向かって拳を振り上げた。
「おいやめろ、シャレにならない」
「何故止めるのじゃ!」
「破壊するな!真面目にシャレにならないから」
自分の爺さんが器物損壊で逮捕されようもんなら社会的にシャレにならない。
「そうか、わしはどうすればいいじゃろう」
「黙ってゆっくりと待ってればいい。電車会社の対応を待つんだ」
「むぅ。いつかテロリストを見つけたら叩き潰してやる」
一時間後、電車から徒歩で渋谷駅まで行った。
「爺さん、見てみろ。これがテレビだ」
俺は爺さんを電気屋に連れて行った。
「何でこのテレビだけアニメやってんだ」
他のテレビではテロのニュースが流れているが、今見ているテレビでは、アニメが放送されている。
「これ見た事があるぞ、絵が動く箱じゃ。警備長はモニターとか言ってたな」
「モニターとテレビは正確には違うんらしいぞ。よく知らないが」
「そうなのか」
後で百科事典を買ってやって自分で調べさせた方が良さそうだな。
ここに来た目的は新しい電池を買うためなのでテレビ売り場を後にしようとすると、いきなりテレビの画面が一斉に切り替わった。
「ワレワレハ、政府批判の会、デアル、本日、センロヲバクハシタノハ、我々である」
テレビ画面には半分が赤紫色でとげとげしていて、半分が白く、翼の生えた仮面をつけた人が映り、ボイスチェンジャーを通したような声が聞こえて来た。
「ワレワレハ、国民の税金を、ムダヅカイシタ、林達学園と内閣に、イカリヲオボエ、線路を爆破した。ナイカクハ、国民に謝罪する意思を見せなければ、コレカラモバクハハツヅクダロウ」
画面は戻り、またニュースが流れ始めた。
「臨時ニュースをお伝えします。たった今テロ組織政府批判の会より犯行声明が・・・」
テロ組織政府批判の会とは、日本三大テロ組織の一つである。
「先程からお伝えしていましたが、線路が爆破されましたが、幸いにも死傷者がおらず・・・」
政府批判の会が起こすテロは何故だか知らんが、死傷者が出ないというのが特徴だ。
「さて、電池買いに行くか」
まあテロで政府が転覆しようが何だろうが俺にとってはどうでもいい。
「そうじゃな。わしテロリストは見つけるまで放置すると決めたんじゃ」
俺は電池を買い、書店で爺さんに百科事典を買い与え、昼食を取るためにラーメン屋に来ていた。
「爺さん、これがラーメンだ」
「おおぉ!何と言う美味そうな匂いじゃ、これがラーメンか」
爺さんは百科事典を読みながら感動していた。
「爺さん、百科事典を読むのを止めろ、汚れるから」
「しかし、少しでもこちらの情報を熟知しなくてはいかんのじゃ」
中古だったから安かったものの、八万円もしたので汚れると困る。
「ならば味わいながら早く食えばいいだろうが」
「名案じゃな。では」
爺さんは器用に箸を使い、約三分でラーメンを完食した。
あれ?こいつは箸使うの初めてじゃなかっただろうか。
爺さんの世界にはナイフとフォークなどの西洋の食器はあるようだが、日本のような食器は無いらしい。
爺さんは普通に仕事したり、このように箸を普通に使ったりと適用力がかなり高い。
「さて、帰るとするか」
「爺さん、帰りはテレポートを頼む、少しでも電車代を節約したい」
「わかったぞ。テレポート」
セガンがいつものように呪文を唱えると、足元に白い魔法陣が現れ、二人の姿は消えると、隣でラーメンを食べている男は驚いて箸を落とした。
「おい爺さん、誰がすぐに使えと言った?」
俺は家に戻って来た。
いきなり店から消える・・・明らかに無銭飲食である。
「駄目じゃったか?」
「駄目に決まってんだろうが!」
今更だが、爺さんは器物損壊と強盗を平気でしている。
「いいか、百科事典のま行から無銭飲食と調べてみろ」
爺さんは百科事典を開いた。
「なになに?無銭飲食とは金を払わずに・・・」
爺さんの顔が青ざめていく。
「な、悪い事だろ」
「何てことじゃ。わしは悪いことをしてしまったんじゃな」
「次からはやるなよ」
俺がこの時ラーメン代を節約できて逆に良かったと思っていたことは秘密だ。
時が過ぎ、除夜の鐘が聞こえ始めた。
おもむろに時計を見ると、十一時三十五分になっていた。
「爺さん、寺に行かないか」
「除夜の鐘か?」
早くも除夜の鐘を覚えたようだ。
「ああ、うちの近くの寺では一般人でも叩かせてくれるそうだぞ」
「何?そうなのか。見た時から叩きたいと思ったんじゃ」
爺さんは俺に百科事典の除夜の鐘のページを見せた。
「これ写真付きだったのか。そんなことより行くぞ」
俺は爺さんが書店で気に入った物を買ってやったから百科事典の内容をよく知らない。
二人して近所の寺に行くと人々が初詣に訪れていた。
「今年はいつもより人が多いな」
「そうか?渋谷に比べればまだましだと思うぞ」
「当然だ、あんな大都会とここじゃあ人の数が桁違いだからな」
確か大晦日は渋谷のスクランブル交差点がすごいことになるらしい。
「孫よ、見ろ!鐘じゃ」
爺さんが鐘楼を指さし、はしゃいでいる。
「見りゃわかるよ、早く並ぶぞ」
俺達は列に並び、自分たちの番が来るのを待った。
「はい次の人、百七回目」
俺は鐘に向かって合掌した。
「じゃあ、それっ!」
そして住職に撞木という鐘楼につるされている木の棒を持ち、鐘を衝いた。
ゴーンと、鐘の音が夜空に響く。
「次の人、あっ、ちょっと待ってね」
住職は時計を確認した
「どうしたんじゃ?」
「君は外国人かい?」
住職は爺さんに質問した。
「そうじゃが、それがどうかしたのかのう」
「なら知らないかもしれないけど除夜の鐘は」
「知っておるぞ、新年になってから打つんじゃろう。なにせ勉強したからな」
爺さんは威張るようにさっき仕入れたばかりの知識を披露する。
「知ってるんならよかった。後十五秒で新年だから十五秒経ったら撞いた」
後十五秒で新年か・・・早いものだな・・・時が過ぎるのは・・・来年はどんな年になるだろう・・・来年こそは復讐を果たすか?それとも・・・。
「十!」
「いや、考えるのは止めよう」
「九!」
人々のカウントダウンが聞こえてくる。
「八!」
「七!」
「六!」
はあ、後五秒で今年も終わりだ。
「五!」
ん?唐突に嫌な予感がして爺さんの方を見た。
「四!」
爺さんは今まさに鐘を撞こうとしているが、俺とは少し違った。
何と拳で撞こうとしていたのだ。
「三」
爺さんの腕力は異常なまでに強いのだ、あの力が鐘に当たったら間違いなく鐘は壊れるだろう。
「爺さん!手加減しろ!」
「二!」
駄目だ、聞こえていない。
「一!」
やばい、頼む、頼むから壊さないでくれ。
「ぜ」
ゴ~ッン~~。
人々の声をかき消すほど大きな鐘の音だった。
「良かった、鐘は壊れていない」
人々は思い思いに新年の喜びを分かち合っている。
「孫!」
鐘楼から爺さんが飛び降りて来た。
「爺さん・・・」
「「あけましておめでとう!」」
怒るつもりだったが、止めてがっちりと握手をしていた。
何故なら、俺はこれほどまでにいい鐘の音を聞いたことが無かったからだ。
「流石爺さん!いい鐘の音だった」
「そうじゃろうそうじゃろう。しかしめでたいのう、新しい年じゃ」
「そうだな、新年を一人で過ごさなくて良くて良かったぞ」
俺は爺さんと共に新年の訪れを心から祝い、寺を後にした。




