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俺とジジイと貧乏生活  作者: Mr.OKB
15/58

part15セガンの嫌な思い出

この小説は不定期投稿です。

毎日更新したり、一週間に一度投稿するときもあるのでご了承ください。

作者がまだ中学生の為、文章がおかしいことがあるかもしれません。

感想や評価等をしてくれるととても嬉しいのでお願いします


 その後、いつものように仕事を終え俺は家に戻った。

「お帰り、孫」

「ただいま爺さん」

 家に戻ると、爺さんが中で待っていた。

「警察はどうだった?」

 荷物を置き、夕飯の支度をしながらじいさんに尋ねた。

「食べたことのないものが食えたぞ。名前は確かにカツ丼じゃったな」

「何で警察でカツ丼食ってんだよ」

「警備長が警察に行ってカツ丼をくれと言ったらくれるというんじゃ」

 普通それは容疑者側が言うもので参考人の立場の爺さんが言うものではない。

「そうか、餅より美味かっただろ」

「美味かった。餅より量あるし」

「だろうな、すまん。今日も餅だ」

 俺は皿に四つの餅を置き、卓袱台の上に乗せた。

「いいんじゃ。よくうちの婆さんも言ってたよ。家族と食うものは何より美味いってな」

 だろうな、家族と食うものは何でも美味いのは普通の事だ。

「「いただきます」」

「うむ、しょうゆと言うものは何にでも合うのう」

 爺さんは餅にしょうゆをつけて食べている。

「じゃあ嫌な思い出を語るとするかのう」

 普通のノリで入るところがすごいな。

「あれは丁度二十、いや二十三年前・・・わしが百七十七歳の時に弟子が暴走した話じゃ。奴の名前はダシュト」

 これはセガンの一番弟子ダシュトがセガンを裏切った話。

「ダシュト!お主、何故町を焼いた!」

 セガン百七十七歳は人間の姿のダシュトと対峙していた。

「何故って私に歯向かうからですよ。後力試しで」

 人間の姿をしたダシュトは銀髪で碧眼、筋肉質な体にズボンを履いただけでかなりの美男子だった。

「それはお前が魔王の元に下ったからじゃ」

 彼はセガンが用事で隣町に行った三日前、一人で魔王軍の元に向かい、今朝異形の姿になり一人で降伏を勧めに来たのだ。

「魔王様と呼びなさい!この老いぼれが!」

 彼は民衆から慕われ、自らも討伐軍の将だった。

 その彼が異形の姿になれば民衆たちは裏切られたと思い、剣を手に襲い掛かった。

「わしはお主が魔族に魂を売り渡し、力を得ようと構わん。」

 しかし、元々かなりの強さを持つ上に強大な力を手にした彼には歯すら立たず、返り討ちにあった。

「悪魔化は元の力が強ければ強いほど強さが増すと聞く。お主は厳しいわしの修行よりも手っ取り早く強くなれる方法を使ったんじゃろう」

 彼は反抗したら何をしてもよいと魔王軍の将に言われていたので力試しに町を焼いた。

 その結果、二千人いた町人は全滅、町は今も燃えていた。

「あんたは寿命がかなり長いでしょうが、私は人間です。生きて百年、あなたと同レベルになる頃にはもう死んでますよ」

 セガンは百三十年間修業し、今の力を手に入れていた。

「それが悪魔化するだけでこの力。さらに寿命は千年になります。明らかにあなたの修行より効率が良い」

 彼は一瞬紫色の煙に包まれ、全身がつやのある黒色になり、目は白目、髪は紫色、筋肉質な体とは変わって、細いシャープな体つきになり、背中に銀色に光るトライデントを装備していた。

「じゃろうな。わしは魔拳族、お前は人間。力の出し方が少し違う」

 魔拳族は基本的に自分の拳から魔法を出して攻撃するが、人間は魔法制御グローブが無いと拳から魔法を出すことは出来ない。

「悪魔は全身から魔力を出すことができる。このトライデントからもね」

 トライデントを天に掲げ、空を黒い雲で覆いながら彼は言った。

「悪魔のくせに羽が無い・・・大悪魔か」

 悪魔は小・中級・高級・大悪魔と別れ、大悪魔は羽が無くても飛べるという点が特徴的だった。

「お前があそこの山奥にいる魔王軍に奇襲をかけるために行かせた討伐隊はどうした?」

 三日前、彼は山奥にいるという魔王軍に奇襲をかけろと命じ、町の全軍を山に向かわせていた。

「全滅しましたよ。あそこまで総勢千人の軍勢を行かせるにはどうしても一日かかります」

 彼はセガン直伝のトルネイドフライで約三時間でそこに行き、逆に奇襲をかけ、軍を壊滅させることにしたのだ。

「逆に奇襲をかけられ、死んでいく私の元部下たちを眺めるのは楽しかったです。後、最後に死んだ私の代理が魔王軍とともにいる私を見て絶望した顔をするのもね」

 思い出し笑いをこらえるように彼は言った。

「お主、悪魔になって人の心までも失ったのか?」

「いいえ。悪魔化して変化するのは力だけ、それは良くご存じでしょう」

 セガンは彼を見捨てるような顔をし、もう一つ尋ねた。

「わしがいなくならなければお主はこんなバカなことしなかったか?」

「ええ、あなたは十分脅威ですから。セガン・F・プリズン。肉体派大魔法使い」

「お前はわしの後継者にふさわしいと思っとったんじゃが」

「今すぐなってあげますよ。あなたを超えれば後継者になれますからね」

「いいや、わしの後継者にならせん。ダシュト・I・プリズンなんて名は後世に伝えさせん。プリズンの名は絶対に渡さん。ダシュト・I・カリヨット」

 この世界では自分の後継者には自分の下の名をあげるという風習がある。

「試してみますか?悪魔の力を得た私とあなたの力はどっちが強いか」

 ダシュトは両腕を広げ、魔力を貯めた。

「いいじゃろう、わしにはお主を倒すという師としての義務がある」

 セガンは一瞬で拳に魔力を貯め、ダシュトに殴りかかった。

「バーニングフィスト!」

「デビルズ・クルスファイ」

 セガンよりダシュトの魔法の方が一枚上手だった。

「ぬぅ・・・動けん」

 セガンの体は空中に浮き、紫色の十字架に磔にされていた。

「何回その魔法を見て来たと思ってるんですか。あなたはいつも最初にそれをする。攻撃さえ読めればあなたを倒すことなんて造作もないんですよ」

 ダシュトは銀色の槍を持ち、セガンの心臓に向かって突進した。

「愚か者め。トルネイドフライ」

 セガンの足元に竜巻が現れ、突進してきたダシュトを吹き飛ばした。

 それと同時に磔は消え、セガンは解放される。

「闇系の魔法は威力と引き換えに他の部分が劣化するんじゃ。昔わしは教えたぞ」

 磔魔法は相手の動きを無防備な状態にして止めることが出来るが、威力は手に刺さる釘の部分しかない。

 ダシュトの魔法は釘の威力をあげただけで動きを止める時間が短くなったのである。

「ふん、やはり一筋縄ではいかないか。だが!」

「なぬ?」

 ダシュトは一瞬でセガンの背後に移動し、強烈な蹴りを喰らわせる。

 セガンの巨体が十メートルほど高く飛び上がった

 ダシュトが槍に魔力を貯め、落ちてくるセガンに強烈な一撃を喰らわせた。

「ふぅ。やはり、私の力の前には無駄でしたか」

 地面がえぐれ、砂埃が舞う。

「それはどうじゃろうな?」

 煙の中から腕が現れ、ダシュトを掴もうとするが、つやが出るほど滑らかなダシュトを掴むことは出来なかった。

「スライムみたいにつるつる滑るな」

「感想言ってる場合じゃないですよ。デビルズ・ライトニングビーム」

 セガンの攻撃から逃れたダシュトは指先から黒光りする電撃をビーム上にして放った。

 それは掴むことに失敗し、前のめりになっていたセガンに直撃した。

「もう終わりですか」

 立っているのが精一杯の状態のセガンの前に立った。

「何て強さじゃ。わしを完全に超えている」

「デビルズ・インフェルノボール。あなたに教わった最強の技です」

 ダシュトの手の中に巨大な赤黒い球体が出現する。

「・・・・・・・・・」

 彼は空高く飛び上がり、巨大な球体をセガンに向かって投げた。

「たった今から僕の名は、ダシュト・I・プリズンです!」

 球体はセガンの体に直撃し、また町を燃やした。

「さようなら、私の師匠」

「勝手に死んだことにするんじゃない!この馬鹿弟子が!」

 ダシュトが別れの言葉を言うと、炎の中から黒焦げになったセガンが現れ、彼を蹴り飛ばした。

「まったく、最初から本気でいくべきじゃったな」

地面に叩きつけられたダシュトを空中から落ちて来たセガンが踏みつけた。

「ぐはぁぁっぁぁぁぁ」

 ダシュトを踏みつけ、そのまま蹴り飛ばしたセガンはいきなり笑い出した。

「ふっふっふ、ぐわっはっはっは」

 セガンが笑いながら身震いすると、黒焦げになっていた部分はボロボロと砕け、全身がダイヤモンドのように光り輝くセガンの姿が出て来た。

「何故笑っている。何がおかしい!」

「力が体の底から湧いてくるんじゃ。今のお主を軽くつぶせるぐらいな。笑いたくなるじゃろう」

「私がまだ見た事のないその姿は何だ?」

「お主、お主がわしの元で修行でしてきた十五年間で二回強敵が町にやって来た事を覚えているか?」

「バハムートとゴリアテのことか」

 バハムートは十年前、ゴリアテは六年前に町を襲撃したが、どちらもセガンによって倒されている。

「お前はどっちも気絶しててこの姿見てないんじゃよ」

「今の私はバハムートとゴリアテと同レベルという事か」

「そうじゃ。消費がすごいから使いたくなかったんじゃが、この力が無いとわしがやられてしまう」

 この姿のセガンは防御力と攻撃力が通常時の比ではなくなっている。

「私が今まで感じたことのないほど強い魔力、そして気迫だ。」

 セガンは立って話しているだけなのに異常なまでの魔力を放っている

「さて、インフェルノボールはさらに上があるんじゃ」

 セガンは手を上にあげた。

「上?」

「インフェルノボール」

 セガンの手のひらにダシュトの出したものと同じような球体が出現した。

 ただ違うのはダシュトの物と違い、真っ赤だという事だ。

「わしはどこでお前の育て方を間違ったんじゃろうか?」

 球体はセガンが手を握ると共にどんどん小さくなっていく。

「わからないね」

 セガンの圧倒的な気迫の前に最早ダシュトは戦意を喪失していた。

「地獄でまた会おう。ダシュト・I・カリヨット。インフェルノフィスト」

 セガンの拳と同化した球体はダシュトに当たると共に大爆発し、ダシュトを破片すら残さず燃やし尽くした。

「まったく、一番の愛弟子を自分の手で葬り去るなんてことはしたくないのう」

 セガンはダシュトの灰を見ながら呟いた。

「わしはこれからどうすべきなのじゃろうか」

 そして涙を流しながらその場を後にしようとしたが、たった一つ残ったダシュトの遺品を見つけた。

「さっき蹴り飛ばした時に落ちたのか」

 それはダシュトの持っていた銀色のトライデントだった。

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