part13嫌な思い出と新メンバー
この小説は不定期投稿です。
毎日更新したり、一週間に一度投稿するときもあるのでご了承ください。
作者がまだ中学生の為、文章がおかしいことがあるかもしれません。
感想や評価等をしてくれるととても嬉しいのでお願いします
「孫、何か音が鳴ってるぞ」
中に戻ると、珍しく電話が鳴っていた。
俺にかかって来る電話など仕事関係しかないじゃないか。
「ありがとう爺さん。もしもし」
爺さんが受話器を持って来たので礼を言い、応答した。
すると、店長の声が聞こえて来た。
「独田君、今日少し早く来れるかな。新しいバイトの件で会議をしたいんだ」
「わかりました。でも早く来るかわりにちゃんとバイト代をもらいますよ」
「いいよ、ちゃんと払うから来てくれ」
店長は快く承諾し、電話を切った。
あれ?おかしいな。
今年の夏に俺を呼び出したときがあったが、その時は給料を払えと言っても払わなかった。
「爺さん、俺は少し早く出なくてはならない。だから速く食うぞ」
取り出したばかりの餅を皿に乗せ、卓袱台に置いた。
「いただきます!」
「いただくのじゃ」
俺は餅を小さくちぎって口に放り込む・・・??!!
「ぎゃぁぁあっぁあっついあっついあつい」
熱い、とても熱い、舌と喉が熱い。
「どうしたんじゃ?」
「舌がっ喉がっ」
俺は熱さで床をのたうち回っていた。
「火傷したのか?」
全力で首を縦に振った。
「待ってろ。今回復魔法をかけてやる」
爺さんが俺の顔に手を当て、何かしら呪文を唱えると、すっーと痛みが消えていく。
まるでゼリーが喉を流れていくような、冷たいマフラーを首に巻いているような感覚だ。
「ゲホゲホ、しまった。熱い餅を何故一気に食べようなんて思ったんだ俺は」
「大丈夫か?」
「大丈夫だ。しかし魔法ってすごいな」
「魔法なんて才能があれば誰だって使えるんじゃ。まあお前は体内に魔力が無いから無理じゃが。ファイア」
爺さんは手の中から炎を出し、消した
「爺さんは便利だな。これではコンロとかがいらないじゃないか」
「確かに便利じゃ。でもな使い方を間違えると大変なことになる。魔法の威力が強ければ強い程な。わしの元の世界での全力の魔法だと」
爺さんは立ち、窓の外を見た。
「ここら辺一帯は燃やし尽くせるじゃろう」
その声はいつもの温厚な口ぶりではなく、まるで燃やし尽くしたことのあるような口ぶりに俺はゾッとした。
しかし、窓の外を見る爺さんの背中は昔の事を思い出しているような感じがした。
「だからって燃やすなよ」
そう言うのが精一杯だった。
「やらんよ」
そう言ってセガンは手を握る音が聞こえるくらい強く握りしめた。
爺さんに昔何があったのかは知らないが、聞いてはいけないような気がした。
「すまんな。気分を悪くしたなら謝ろう。つい昔の事を思い出してしまった」
爺さんはその巨体を九十度に追って頭を下げた。
「何故謝るんだ?男なら嫌な思い出の一つや二つあるだろうよ。別に話せとは言わないぞ」
「すまんな」
「もういいからさっさと食え。早く片づけたいんだ」
俺達は残り二つずつしかない餅を食べ、出かける準備をしていると、爺さんも出かける支度をしていた。
俺はふと思った。
何故夜勤の爺さんが出かける支度をしているんだ?
「爺さん、どこへ行くつもりだ?」
「昨日、わしの警備中に泥棒がやって来たんじゃ。それでその時の状況を警察に話さなきゃいけないらしい」
警備初日に泥棒が来るとかありえないだろ。
「爺さん、一つだけ約束してくれ」
「何じゃ?」
「絶対に自分が異世界から来たとか魔法が使えるとか言わない事。理由はこの世界には魔法が無くて、使ったりするとかなりめんどくさいことになるからだ。だから聞かれてもごまかせ」
「わかった。そうするとしよう」
本当に爺さんは聞き分けがよくて助かるな、死んだ妹はすごく聞き分けが悪くて困ったものだ・・・あれ?
死んだ妹の事を考えていたら涙が出てきてしまった。
「孫よ、お前何故泣いているんじゃ?」
「お前と同じだよ、妹の事を思い出したんだ」
ハンカチなんて持っていない俺は服の袖で涙をぬぐった。
「それがお前の嫌な思い出なのか?」
「いや、いい思い出だったな。でも今は思い出したくないんだ」
妹が、家族がまだ生きていた時の思い出はとてもいい時間だった。
しかし、家族が死んでからと言うものその楽しかった日々を思い出すと悲しくなるのだ。
「わからなくは無いな、わしにはそんな思い出はないが」
「そうか、そうだよな。俺みたいな思い出を持っている奴の方が珍しいんだろう」
爺さんは少し考えるように腕を組み、十秒後に奇妙なことを言った。
「よし、今日の夕飯はわしらの嫌な思い出を語るとしよう」
「爺さん良いのか?普通嫌な思い出は人に話さないぞ」
「わしらは家族じゃ。家族っていうのは嫌なことを共有し、そのつらさを軽減するものじゃろう。だから話す」
「そうだな。俺も嫌な思い出を話す。家族だからな」
「じゃあ約束じゃ」
爺さんが差し出した手を握り返す
「約束だ」
爺さんと約束をした後、俺は満員電車に乗り新宿駅に向かった。
「次は~終点。新宿、新宿」
俺の最寄り駅は始発駅なので満員電車でも座って通勤することが出来るのはとても便利だ。
電車から降り、改札へ進もうとするが、ここで毎日頭にくることがある。
「邪魔だ、どいてくれ」
小声でつぶやいた。
この路線は一両目に女性専用車両があるせいでどうしても前に女が歩いている。
俺は急いでいる→女は歩くのが遅い→さらに歩きスマホをしている→さらに遅くなる→邪魔でしかない。
何で改札が一両目の車両の近くにあるんだろう。
「おはよう、いつもより早く来てくれたね」
いつも着ている調理服ではなく、白いシャツに緑色のネクタイをし、緑のベストを着た店長が店の前の少し残った雪をどかしていた。
「おはようございます。店長その格好どうしたんですか?」
「今朝六時からバイトの面接をしてたんだよ。それでいつもの調理服だとカッコ悪いから家から持って来たんだ」
この店長は髪が緑色の上、目も緑なので緑系の服がとても似合う。
「朝六時からとか馬鹿なんですか?そんな時間に人来るわけないでしょう」
「人来たよ。五人も」
「朝六時なのになんで来るんだよ。しかも五人も。でも店長、なんでそんなに早く面接をしたんですか」
「何故か?朝から面接に来るなんて余程の暇人で、大人しかいないだろう。今回は大人が欲しかったんだ」
「確かに俺達が学校行くと店長一人になって平日の昼間は飯は美味いが接客は最悪だとよく言われているな」
この店は数回雑誌等で紹介されているが、全ての雑誌で行くなら休日か平日の夜がいいと言われている。
「今さらに学生を増やすとまた言われるからね。だから学生とかが来ない朝にしたんだ」
今は俺達がいるから客はかなり多いが、新学期の始まりと共に客はかなり減る。
「なるほど、大人を平日の昼間に働かせれば儲かるというわけだな」
「そういうことだよ。そろそろ店に入ろうか」
店に入ると鳥栖と天涯さんがコーヒーを飲んでいた。
「おかえり、お父さん」
「そろそろ話してもらおうか。なぜこんなに俺達を呼び出したか」
「まあまあ、全員揃ったから今話すよ」
店長はポケットから五枚の写真を取り出し、テーブルの上に並べた。
「今朝の面接に来た人たちの写真だ。二人雇おうと思うんだが、誰がいい?」
「この二人の女がいい」
鳥栖が二枚の女の写真を指さした。
「奇遇だな鳥栖、俺もだ」
五枚の内、三枚が男で、二枚が女だった。
「「えっ?即答?」」
店長と天涯さんが驚く。
「露手君、一応理由を聞かせてくれない?」
「理由?美人だから」
「こー君は?」
「この店は男女比のバランスが悪い。だからここは女を入れてバランスを良くすべきだと声高に主張する」
「うっわ。これはひどい」
天涯さん、そんな目でこっちを見ないでくれ。
「確かに、男女比のバランスは悪いね」
「そうだけど、それだけで決めていいの?」
「問題ない、じゃあ今から呼ぶから」
「呼ぶ?今いるのか?」
「そうだよ鳥栖君。店員控室に五人待たせてあるんだ。じゃ、ちょっと待っててね」
店長は控室の方へ行き、二人の女性を連れて来た。




