表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺とジジイと貧乏生活  作者: Mr.OKB
1/58

part1殺意を覚えたクリスマス

 今日はクリスマスイブ即ち恋人や家族が仲良く過ごすことの多い日の夜である。

 俺一人ではとある日本一高い塔の展望台にいた。

 俺には家族もいなければ恋人もいない、俗にいうクリぼっちという奴だ。

 そんな男がこんな日にここに来れば周りのけしからんカップル達に奇異の目で見られるのは仕方がないことだ。

 何故俺がここに来ているのか?理由は簡単だった、家族で最後に訪れた場所がここだっただからだ。

 毎日受験勉強で疲れている俺の身を案じて父親が家族で連れてきてくれたのだ。

 その後受験に合格して三月の最後に家族で温泉旅行にでも行く事にした。

 悲劇が起こったのはその旅路でだ。

 高速道路を車で走行中に逆走して来た車と斜めから衝突し前にいた両親は即死、後部座席で寝ていた俺は助かったが妹は無事ではなかった。

 警察によれば父親が避けようとハンドルを切ったからで正面衝突だったら命が無かったそうだ。

 逆走車の運転手は脱法ドラッグというものを使い心神喪失状態だった為、無罪放免となって釈放された。

 そして死にそびれた俺はどうするかというと、時給千円で働き、安いアパートで貧乏生活をするしか無くなってしまった。

 唯一の救いは自分の高校が学費前払い制だという事だ、恐らく態度がひどい生徒がいたら退学させて学費を返さないつもりだろう。

 まあそこそこの成績を取っている俺には関係ない。

 学費を俺の入学前に全て払い終えた俺の父親には感謝しなければならないと思う、この貧乏学生に学費という名の大金を払えなんて不可能だ。

 もうすぐ午後八時、明日は朝九時から午後九時までバイトだ早く帰って寝なければ体を壊してしまう。

「お帰りはこちらになりまーす」

 スタッフの声が俺に帰りのエレベーターの場所を教えてくれる。

 エレベーターの前に立つと、目の前の家族に眼が釘付けになった。

「パパ、もう帰るの?」

「うん、そうだよ」

「えー?まだここにいたいよ」

「まりん、そんなこと言わないの。早く帰らないとサンタさんが来ちゃうわよ」

 仲の良い家族の光景だ、俺の家族を殺した男の。

 一度あの男の姿を見た事があるが結婚指輪をしていなかった。

 今手元を見ると、きらりと光る指輪が目に入った、あの男は人が貧乏生活に苦しんでいるのに結婚をしていたのか。

 俺の頭はあの男に三回目の激しい怒りを覚えた。

 一回目は殺された時、二回目は無罪放免で釈放された時、三回目は幸せな生活を送っている今の光景を見た時だ。

 激しい怒りというものは殺意に変化しやすい、そして俺の奴への怒りはすぐに殺意へと変わった。

 人を三人も殺しておいて罪を償わずにのうのうと生きていていいはずがない、しかも結婚までするとは言語道断だ。

 俺は三人の家族を尾行することに決めた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ