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49 夢の中で

 祐介は眠りの中にいた。また、夢だ。祐介はまた夢を見ているのだ。空間がねじ曲がって、没入してゆく。どこへ没入してゆくのか。上か、下か、右か、左か。そんなものは何もない空間に没入していっているのだ。

 そうして、彼はまた数珠を擦り合わせている巫女を見ていた。また、この夢か。彼女は誰なんだ。祐介には思い出せなかった。こんなものに答えはないのだ。こんなものに答えがあってたまるか。……巫女の顔はやはり見えない。

 祐介は、また町が見渡せるところにいた。祐介の隣で、妹が走る。妹が走る。全て、この前、見た通りの夢だ。こんなつくり話を、夢で描いても仕方あるまい。仕方あるまい。早く覚めてくれ。こんな不毛な夢よ。早く覚めてくれ。

 祐介は夢の中でもがいていた。前回と何も変わらない夢だった。そして、祐介はそれが夢であることを自覚していて、目覚めようともがいていたのだ。


 それとも、自分はこの場所に訪れたことがあるのだろうか。そうして、妹が走っているのも、自分が追いかけていることもまぎれもない事実だったのだろうか。

 しかし、それと数珠を擦り合わせている巫女が、どう関係しているというのだろうか。

 まったく馬鹿げたつくり話だ。祐介は夢の中で己を笑った。そうして、笑っているうちに、なにやら、おかしな気持ちになってきた。

 この巫女の名は、この巫女の名は。もしかしたら、もしかしたら。


 ……ミカナギ……ミカナギ。

 ……ミカナギ?……変わった名前。

 ……君の名前は?

 ……羽黒……祐介。


 そうだ。あの巫女の名は……。

 どこかで自分はその巫女と対面しているのだ。それも妹もその場にいたのだ。それは、いつだ。いつのことなんだ。


 ……お姉さんの名前は?

 ……私は……ミカナギ……ミカナギ……キクナ……。

 ……ミカナギ……?

 ……ミカナギ……キクナ……。

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