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9年ぶりにコードギアスを見た感受性豊かすぎる感想

作者: James N

ネタバレありです。

 このアニメは、歴史に残る。

 僕がコードギアスを初めて見たのは第二期放送当時の九年前、中学生の時だった。

当時から家にいる時間はほとんどアニメを見ていた僕はアニメ通の自覚があった。中学生でソルティレイやシュヴァリエ、DTBに目をつけていたのだ、今の僕から見ても褒めてやりたいくらいお目が高い。

 そんな当時の僕がコードギアスを見ていた時、あまり楽しんでいなかったと思う。ロロの死亡シーンはお涙頂戴に思えたし、ニーナは最後まで嫌いだった。中国での展開は冗長で飽きていたようにも思う。

 とんでもない、馬鹿だ。

今の僕は、こんな素晴らしいアニメは他に存在しないと言い切りたくなってしまっている。残念ながらすべてのアニメを視聴しているわけではないので言えないし、今は熱に浮かされているから大目に見てほしい。

しかし、誤解を恐れずに言えば、平和を扱った作品でここまで納得できる構成の作品を、今後僕が作れるか自信がなくなってしまった。僕という一人の人間ではコードギアスのスタッフ全員の力を超える作品を作れない、そんな気がする。

もちろんクリエイターとして負けたくない。作り続ける気概もある。だから今の僕の気持ちを端的に言えば、白兜を前にした黒の騎士団一般隊員という感じだ。正直、委縮している。打ちのめされた。

 今だからこそ凄さが理解できたということだろう。

中学時代に飽きていた理由の答えは出ている。

それは週に一度のペースで見ていたからだ。

改めて一通り一気に見てそれが分かった。一話ごとの情報量が非常に多い。様々なキャラクターの心理描写が少しずつ入り乱れ、もつれあいながら波のように横這いで前進していく。一週間たてば先週の内容はほとんど忘れて、関心があるのはルルーシュとスザクの因縁の行方くらいに削ぎ落されている。あとは戦闘シーン、毎週楽しみにしていたのはそれくらいだったと思う。

ソルティレイで大泣き出来てギアスでは、ラストはかなり泣いた記憶はあるけど途中の過程では泣かなかった。その事実が、ルルーシュにしか関心を払っていなかった証拠だ。

今回、僕は泣いた回数を数えていない。数えきれなかった。子供みたいに泣き過ぎ。そんな自分が好きだけど。

それは置いておいて感想を――

書こうとして、何も書けないことに気づいた。

 文章では何を言っても陳腐になる。仕方がないので隣の部屋でゼルダの伝説をやっている兄に言いたいことを言ってきた。

 そのうえで兄にぶちまけた内容を少しピックアップすると。

 まず、ロロとニーナの印象が完全に塗り替わった。

 九年前、彼らは僕にとって嫌なキャラというイメージしかなかった。そして今日までそのイメージで固定されていた。しかし改めて彼らの内面を想像したとき、感動を禁じ得ない。

 教団で殺人マシーンとして扱われていたロロが、唯一信頼できる兄としてルルーシュを慕った。しかし利用されていたと知って、それでも、嘘でも兄弟として振舞ってくれたルルーシュに感謝しながら死んでいった。命令ではなく、人として、自分の意志で兄を助け死んだ。

 この手の話には弱い。アゼル・パンツァードラグーンでも、人に似せられて作られた化物のアゼルが徐々に人間らしくなっていき、自分に心を残した科学者の思惑が分からずに困惑しているとき、主人公のエッジに「君は人間になったんだよ」といわれるシーンがとても好きだ。

 やはり九年前に冷めていたのは、一話放送からロロが死ぬ十九話までにギアスに対する好奇心が減っていたからだろう。

 ロロの死に方は、というより生き方の見せ方は完ぺきだった。

 ニーナの話。最初は日本人をイレブンとして偏見を持っていた。最後までそこは変わらなかったかもしれない。でも、放送当時彼女がファンたちにウザがられ、オナニーナとまで呼ばれていたことを、今の僕は心苦しく思う。

 ニーナの成長の見せ方、彼女の立ち位置の効果的さには目を見張る。現実の核を模したフレイヤという兵器を開発してゼロを殺すことに執着していた彼女は、その兵器で自国民を大量に殺してしまったことで分岐点に立つ。自分の行っていることを自覚し、ゼロと同じ景色を見たとき、ゼロを許しはしないが、理解もしただろう。

 そして、フレイヤを無効化する手段を、フレイヤを作ったニーナが、フレイヤを撃ったスザクと撃たれたルルーシュに託して共同作業でピンチを乗り越えるという構図、痺れた。泣いた。泣きすぎ。

 書きたいことが多すぎる。カレンとCCとシャーリーとか女性陣に関してはもう書き出したら指が追い付かない感じだから割愛して、今度会う予定のオタク仲間(たぶん倍くらい歳違うお方)に叩きつけるとしよう。

 どのキャラが欠けても物語が成立しない。精緻に作られたガラス細工のようなアニメだった。ほんのわずかな登場回数しかない黒の騎士団の団員、一期ラストで扇の負傷をゼロに訴えた名前も思い出せない彼。黒の騎士団のゼロに対する不信感を象徴する団員として描写されていた。そんな風にキャラ達が矛盾なく編み込まれた物語、作ってみたいものだ。

 やっと落ち着いてきた。しばらくはシーンのフラッシュバックとOP曲の幻聴に悩まされることだろう。今書いている渾身の作品に影響しないように気を付けなければ……。

 もし見ていない人がこれを読んでしまったら、すまない。

 しかし断言しよう、このアニメはネタバレされても楽しめる。

 二週目でこれだけ楽しんだ僕が言うのだから、信じてもらいたい。

 以上、コードギアスよ、永遠なれ。



そもそも二週目を見始めるきっかけは、友人に勧めたことからでした。

最近のアニメと2000年代のアニメの違いを見ようということで、二人でエロマンガ先生とコードギアスを一話ずつ見て批評しました。

友人の感想は、「ギアス、アバンの段階でさっきのやつの一話の情報量超えてる」

そこから止まらなくなり、執筆そっちのけで数日漬物に。

これがギアス、恐るべし。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 他の人が作った作品を通して、自分の考えの変化に気付く過程がまとめられています。その上で、今後の作品作りに活かそうという意気込みも感じられました。 [一言] 私がコードギアスを見始めたのは小…
[一言]  コードギアスはねぇ、良いよねぇ。私も当時、泣きながら見ていたもの。  ルルーシュがシスコン過ぎる気もしていたけれど、ナナリーがあんなに(心が)綺麗で可愛かったら、そりゃシスコンにもなるよ。…
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