〜ヲ大会の舞〜
俺は、千里達にメールで【先に帰ってr】打ってしまったがまぁいいか。明日すげー言われそうだけど。
『それで先輩、閃光ジャックナイフの話なんですが…』
『スミマセ〜ン。ハンバーグセット追加で』
『…』
ゆっくり話したいと言うことでファミレスに入ったのが間違えだった。
『先輩聞いてますか!?』
『っあ?ああ、聞いてる聞いてる。あ、ハンバーグセット追…』
『何皿頼むんだよ!』
『えっ?頼み方が違う?じゃあ
ハンバァァァァァァァグゥゥゥ!』
『師匠を呼ぶな!』
『わるかったな。腹減っててね』
先輩は苦笑いした。
(この量は、まだ食べ終わらないな…)
『……わかりました。食べ終わってから話しを聞きましょう』
『翡翠誠殿。サンクス!』
『早くして』
『ハイ』
キャラ崩壊乙。
そこから小一時間待った。
『ふぅー。腹一杯』
『よし、では、話しを…』
『さてと。お勘定…』
『……はぁ?』
『嘘ですすいませんすいません…』
仕切り直して、ドリンクバーを持ってきた。
『閃光ジャックナイフについては、誠も知っているな』
『ハイ、でも最近動画でもあげてないですよね?』
すると先輩は突然悲しそうな顔して、
『誠。お前知らないのか?』
『何をですか?』
『閃光ジャックナイフは、5年前に活動をやめたんだぞ』
『え!えっ、マジかよ』
活動をやめていた?5年前に?バカな、だってあの日確かに……。
『だから、今回の大会がレアなのだよ。それに噂だが
ジャックナイフが見れるらしい』
誠はうなづいたがあまり頭が正常に働いてなかった。
『ジャック……ナイフ?』
『は?知らないのか?』
『いえ噂には聞いていますが……確か……』
先輩は俺が言い終わる前に言った。
『閃光ジャックナイフにしかできない、伝説の技だ』
やはりか……
『だが、彼は、自分の動画もチャンネルも全部消してしまったんだ。だから、今のところ
ジャックナイフを舞える人間は……』
『誰もいない、と』
最後の台詞を奪った。
『くっ、我も一度でいいから見たかった……
生きた伝説、ジャックナイフを……』
誠は考えていた。
(何かおかしい、俺があの面の男を見たのはたしか……)
『先輩、朗報ですよ』
悔しがっていた先輩を呼び止めた。
『なんだ、翡翠誠』
『俺は、4年前にアキバで、閃光ジャックナイフに会いました』
『そうか…はぁぁぁぁぁぁ?マジか?』
『マジです』
先輩は目を見開いていた。
『なぜ彼と言い切れるのだ?』
誠は続けた。
『彼は自分のことを、閃光ジャックナイフと名乗りました。さらに彼のトレードマークである
紫色の閃光ブレードを持っていました』
紫色の閃ブレは、普通はない。だが、彼だけが持っていると言うのは、ヲタリスト(笑)たちの間では必要知識だ。
そしてあの時やっていた美しい舞……
それが…多分……
『そうか……』
先輩はうなだれた。
『翡翠誠』
『なんすか』
『お前とは、うまくできそうだわ』
『同感です』
そこの会話には、何のボケもツッコミもなく
ただひたすらに
美しかった。(Homo的な意味でもない)