表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エイプリルフール短編 in 2016

エイプリルフールなのでナニカしようと思った結果、こうなりました。

反省はしていません。

「佐良山くん。エイプリルフールだし、なんか面白い事やれって。神が」

「神って何だ神って。唐突すぎるだろ」


 佐良山と呼ばれた少女(?)が顔を上げる。


「というか、間に合うの!? 間に合わせられるの!?」

「どうした!? 落ち着け宮備! お前テンションおかしいぞ!」

「ふふふ……ここは神の法則によって作られた異界……私のテンションも、うなぎのぼり……」


 何もない真っ白な場所で、まるで張り付けられた絵のように二人の人間が会話をしている。


「はいはいそういう設定ね」

「設定言うな!」

「で、ホントのところは何なのさこの空間。新手の固有結界か?」


 佐良山は軽く手足を動かしてみる。浮遊感もなければ、足の裏に地面のような感触がある。周囲には、特に障害になりそうな場所もないようだった。


「佐良山くん。いきなり専門用語で話しても読者は誰もついてこれないわ」

「オレはお前の話に付いていけない」

「ふふふ、どうしたものかしらね……」


 宮備と呼ばれた少女の言葉には、この状況に対する不安などは欠片もない。


「変なポーズ決めつつ話を停滞させるのはやめろよ」

「でもね、事実なの。ここは神によって作られた時空。私たちの本来の世界とは別次元よ」

「……ハハ、まさか」


 宮備は早口に進めた。


「というわけで始めるわよ! 今新たな啓示が示されたわ! お題は『嘘』よ!」

「いきなり話し進めんなよ!」

「とにかく嘘をつくの! これが今回の趣旨よ!」

「わかった! わかったから落ち着け! 今日のお前こえーよ!」

「ふふふ、でもいくらぶっつけ企画と言っても私たちのことが分からないままじゃ読者に不親切よね?」

「まずはオレに親切にしてくれ頼むから」

「まず私たちのことを説明す……説明しようッ!」

「何故言い直した」

「私の名前は宮備玲奈。とある事情で不思議な力を持っているのだけれど、普段は普通の女の子よ」

「ここまでで普通じゃないってことはよくわかったが」

「容姿については口頭ではいいわね? 神が地の文に書くって言ってるから大丈夫よ!」


 大きな赤いリボンが特徴的なロングポニーテールの女の子。その大きなリボンが幼さを引き出しているように見えるが、体つきはしっかりと大人である。ややつり目気味の目からは力強さを感じる。


「だから何だよ神って!」

「そしてこっちにいるのが佐良山潤。とある事情で不思議な力を持っているのだけれど、普段は普通の女の子よ」

「オイコラちょっと待てや、さらっと嘘ついたな! しかも説明お前と一緒じゃねぇか!」


 サラサラとした髪質のショートカットに整った顔立ち。背も高くスレンダーな体格で、女性誌の表紙を飾っていそうな格好いい女性という印象を受けるのが、佐良山潤その人である。


「仕方ないじゃない。これが今回の趣旨だし?」

「オラ神ツラ貸せやああああああ!!!」


 ひいいいいい!


「あ、今地の文が怯えていたわ」

「わかんねぇよ!! あとオレは男だからな!」


 そう、いくら見た目が女でも、佐良山潤は男である。


「あ、神が何か言ってる……『脱線してるので、軌道修正おなしゃす』……だって」

「カミ、コロス」

「! 佐良山くん……ついに神殺しを……胸熱ね!」

「だあああもう! 『嘘』だろ『嘘』! もうさっきのでいいじゃねぇかよ! 早く終われよ!」

「女の子扱いされてキレて、投げやりになった佐良山くんを写メって妹に送る楽しさ」

「だあああらっしゃああああああ!!」


 佐良山はいつの間にか宮備の手にあったスマホを投げた。


「ああああ!!? 私のスマホが!!」

「とりあえずこの固有結界の主を探して、とっちめてやる!」

「『怖いのでそろそろ解放したいけど、もう一押し何かない? バーイ神』。あら、大きなため息ね佐良山くん」

「勘弁してくれ」

「そうね……やっぱりここは後に語られるかもしれない私たちの物語についての宣伝をするのはどうかしら?」

「それ嘘になるじゃん!!」

「そこは良くも悪くもエイプリールフールと言ったところかしら」

「なにその、やるとやらないを同時に言うレベルの宣伝活動」

「大丈夫よ! こんなの読む人いないからやりたい放題よ!」

「何の話だ!」

「と、言うわけで私と佐良山くんが活躍するお話が近日公開されるかもしれないわ!」

「いや、お話って。まるで俺たちが登場人物の小説か何かみたいな言い回しだな」

「ふ、浅いわね佐良山くん。私たちが知らないだけで、私たちの現実は誰かが見ているお話かもしれないのよ」

「はいはい、そういうのいいから」

「魔法、そしてそれを使う少女たち。私と佐良山くんは、その少女たちに関わっていくことになるわ」

「…………えっ、それだけ?」

「それだけ」

「いや、嘘は言ってないけど……いやいや嘘つけよ!」

「違うわ佐良山くん。私は嘘を付くという嘘を付いたわ」

「じゃあ今までのは一体なんだったんだよ!!」

「ほら、佐良山くん。世界がほどけていくわ」


 白だけだった世界が揺らめき始める。水面に起きた波紋のように、白い世界が形を崩していく。


「えっ、終わり!?」

「この世界は役目を果たしたのね……」

「お前宣伝してないじゃん!」

「『おつかれさまでした。バーイ神』」

「絶対お前が仕組んでただろ宮備ぃぃぃぃぃ!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  二人のやり取りが、漫才みたいで面白くなんとなく最後まで読んでしまいました。  私の読解力がないせいだとは思いますが、オチというか話の趣旨がよくわからなかったです。エイプリルフールとなんのつ…
2016/04/01 16:18 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ