風邪引いた……
ご無沙汰してました。
今回は、風邪を引いた平太と平太不在の保育ルームのお話。
朝起きると、身体がダルかった。
「起きろー。……何?」
「……ダルい……ゲホッ」
平太の顔は赤く、火照っていた。
「仕方ない。連絡しとくから、今日は休めよ。母さんにお粥作ってもらうか」
「ありがと、兄ちゃん……」
兄の凌平に礼を言って、目をつむる。
「珍しいな。ま、何かあったら電話かメールしろよ」
「うん……」
目をつむったまま、返事をする。
少しして、ドアが閉まる音がした。
「あ……明良に電話……」
手探りで、携帯を掴む。
アドレス帳から名前を探し、プッシュする。
数回のコール音がして、明良が出た。
『もしもし──』
「明良?」
『おう。どうした? 声何か変じゃね?』
「うん……風邪引いたっぽい……だからさ、ゲホッゴホッ……保育ルーム代わりに行ってくんね?」
『あー……悪い。俺部活で行けないわ』
「マジか……じゃあ梅田さんにすいませんって言っといて……あと、俺の電話番号渡してくれ……」
『わかった。大事にな』
「ああ、頼んだ──」
携帯を切って、横に置く。
「はあ……」
平太はぼんやり天井を見つめた──
*
朝、学校に着いた明良は職員室に来ていた。
「梅田先生いらっしゃいますか?」
「明良くん──」
と初枝が出てくる。
「先生じゃなくていいから。梅田さんって呼んでね」
「わかりました──えっと、平太が風邪引いたらしくて、今日は来れないそうです」
「あら。そうなの? 早く治るといいわね……」
と初枝は不安げに手を頬にあてがう。
「あと、平太からこれを。すいませんって言ってました」
と平太の電話番号が書かれた紙を渡す。
「まあ。ありがとう。登録するわね」
「はい。それじゃ、俺はこれで。俺が行けたらよかったんですけど……」
「いいのよ。部活でしょ? 校庭でサッカーしてるものね」
「はい。よくわかりますね」
「保育ルームから見えるのよ。頑張ってね」
「はい。じゃあまた──」
軽く手を振る初枝に頭を下げて、明良は職員室を後にした──
*
「はぁ……つまんねー」
部屋でお粥を食べて、ベッドの上でボーッとしている。
熱は下がったが、大人しくしてなさいと母に言われたので、ぼんやりしている。
「……暇だ──」
ふと携帯を見ると、明良からメールが来ていた。
寝てる間に来たのだろう。
「渡したぞ……か。サンキューっと──」
返信して、携帯を置く。
「寝るか──」
平太は、もう一度目を閉じた──
*
平太が二度目の睡眠に入った頃、保育ルームでは、辰が騒いでいた。
「平太は?」
「風邪で来れないの」
「だいじょうぶ?」
薫が初枝に聞く。
「大丈夫よ。きっとすぐよくなるわ」
「平太お兄ちゃん……」
「だいじょうぶ! 明日には来るよ!」
としょんぼりする杏に彩が言う。
「そうね。今日は……」
ふと携帯が視界に入った。
「そうだ──」
*
「ん……ん?」
枕元で、携帯が鳴っている。
ぼんやりした頭で、携帯を耳に当てた。
「はぃ……」
『もしもし? 平太くん?』
「……梅田さん?」
『そう。大丈夫? 調子は』
「はい。大丈夫です。すいません、ほんとに」
と平太は謝る。
『大丈夫よ。治したら来てね』
「はい……皆は……」
『ああ。居るわよ。代わる? 平太くんと話したい人──』
携帯の向こう側はガヤガヤしている。
おれおれ! とはしゃいでいる辰。
ぼくはべつに……でも、平太が話したいなら……といつも通りの薫。
だいじょうぶなら……と遠慮がちの杏。
話す! と元気そうな彩。
そんなざわめきを聞いて、平太はフッと笑みがこぼれた。
「梅田さん──」
『あ、ごめんね。誰が出るのか今……』
「明日、行きますんで。皆によろしく伝えてください」
『え……そう?』
「はい。それじゃ──」
と平太は電話を切り、凌平に電話をかける。
「あ、兄ちゃん?」
『ん。どうした?』
「お菓子の詰め合わせ買ってきて」
『は? あぁ、わかった』
「よろしく──」
平太は笑って携帯を切った。
「喜ぶかな──」
そして、一人呟くのだった──
*
「せんせー、かわって」
「ごめんね、切れちゃった。皆によろしくだって」
「なんだよ〜平太のおたんこなす〜」
「ふふ。明日来るって。楽しみね──」
と初枝は携帯を置いた。
「あしたか……」
と薫が呟く。
「え、かいてあげる! で、げんきになってもらおう!」
と彩が紙とクレヨンを持ち出す。
「そうだね!」
「ぼくも──!」
「おれも──」
と皆で描き始める。
それを見て初枝は、平太くんは幸せ者ね、と微笑んだ──
*
その日、初枝から明良に渡された四枚の紙は、無事明良から平太に渡った。
そしてそれを見た平太が、思わずニヤついたのは言うまでもない。
ついでに言うと、平太はその四枚の紙を大事に机にしまった──
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