表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
73/88

アイスを買いに

お久しぶりです、

コンビニへ

 平太(へいた)たちは今、道路を歩いていた。

 コンビニに向かって……。

 なぜ平太たちがコンビニに向かっているのかというと、それは保育ルームでの会話に(さかのぼ)る──。


            *


 平太が保育ルームに行くと、初枝(はつえ)と子どもたちが話していた。


「何かアイスが食べたいわね」


 初枝の発言に、子どもたちが目を輝かせて反応する。


『たべたい!』

「じゃあ、買いに行ってもらおうかしら。平太くんも来たことだし──」


 初枝ににこりと微笑みかけられ、平太は少し顔をひきつらせながらも、わかりました……と頷いた。

 子どもたちもわいわいとその場ではしゃいで、平太を囲む。


「じゃ平太くん、気をつけて皆と行って来てね」

「はい、行ってきます……」


 そして平太は、子どもたちと一緒に保育ルームを後にするのだった。


             *


 そして今、平太は引き受けたことに後悔しながら、コンビニに向かっている。

 (たつ)(あや)は平太の前を歩き、(かおる)(あん)は平太の横を歩いていた。


「わかってると思うけど、店の中走るなよ? 迷惑になるから」

「わかってるよ、まかせとけって──」


 と辰が胸を張る。

 一番不安なのだが、本人が自信満々に言うので、平太は黙っておいた。


「そういえば、皆でどっか行くの初めてじゃないか?」


 ふと平太は今までを思い返しながら、四人に言った。

 今まで保育ルームの外に出たとしても、校庭や高校の敷地内だった。

 一回、初枝と子どもたちが家に来たことがあるが、その時は帰るのを見送っただけで、こうやってどこかに行ったことはない。


「はじめてだね」


 と薫が平太を見上げて頷いた。

 杏も頷いて、平太を見上げる。


「わたし、ほかのところにも平太お兄ちゃんといきたい」

「あたしも!」


 杏の発言に彩も振り返って言った。

 辰も振り返り、薫と同じようにうんうんと頷いて見せる。


「……そうだな、他のとこも行きたいな」


 と平太は四人からそう言われ、嬉しく思った。

 ふと前を見ると、コンビニが見えてきていた。


「おれいちばーん!」


 と辰が走っていく。

 おい!と平太が止めるより早く、辰はスタタタとコンビニに入っていってしまった。


「あのバカ……!」


 平太は三人にちょっと急ぐぞと言って、辰の後を追うようにコンビニに入る。

 コンビニに入ると、冷房が効いていて涼しかった。


「いらっしゃいませー」


 と営業スマイルを浮かべる店員に軽く頭を下げ、平太と三人は辰の所に向かう。

 辰はアイス売り場で、アイスをじっと見ていた。


「初枝さんも食べるから、箱のやつ買って帰るんだぞ」

「うん──」


 そう頷きつつも、辰の視線は袋のアイスに向いている。

 ふと平太が他の三人に目を向けると、三人も袋のアイスを見つめていた。


「…………。いいよ、一人一つ買ってやる。薫カゴ持ってこい」

「いいの?」

「男に二言はない!」


 平太は確認してきた薫に言って、財布の中を確認する。

 幸い、最近は買い物をしていないので、全員分のアイスを買う余裕はあった。


「平太、もってきた」

「おう。よし、入れろ。一人一つな」


 薫からカゴを受け取り、平太はカゴを広げる。

 四人は嬉しそうに笑って、思い思いのアイスをカゴに入れた。

 平太は初枝が食べそうな箱のアイスをカゴに入れ、自分用に一番安い棒アイスをカゴに入れる。


「よし、会計して帰るぞ」


 平太はレジに持って行き、会計を済ませる。

 子どもたちは平太の後ろに囲むように並んでいた。


「ありがとうございましたー」


 店員から袋を受け取り、平太は四人を先に歩かせながら店を出る。


「平太、アイスアイス!」


 という辰の発言で、他の三人も平太をキラキラとした目で見上げた。


「ほんとは歩きながら食べちゃいけないんだけど、アイス溶けちゃうしな、仕方ない──」


 と平太は渡していく。

 袋をコンビニの前のゴミ箱に捨てて、五人は歩きだした。


「んー、夏はアイスだな」


 アイスを口に運びながら平太が言うと、四人も頷く。


「うまい!」と辰。

「うん!」と薫。

「おいしい!」と彩。

「おいしい……!」と杏。


 平太は買って良かったと思いながら、四人を見た。

 すると四人は顔を見合わせてから、にかっと笑って言う。


『平太、ありがとう!』

「ぉ、おぉ、今日だけだぞ──」


 少し気恥ずかしくなりながら答えてから、こう笑顔でお礼を言われるとまた買っちゃいそうだな、と平太は思うのだった。


             *


 そして保育ルームに戻り、平太が初枝にアイスを渡すと、笑顔でお礼を言われアイスを渡された。


「平太くんありがとね、これはお礼です──」

「あ、ありがとうございます。……でも、さっき食べて帰ってきたんですよ」

「あら、そうなの?」


 と初枝は平太と四人を見てから、少し寂しそうに言う。


「なら一緒に行けばよかったわ……」


 私も皆と食べたかった、と初枝がしょんぼりするので、平太は少し焦りながら初枝に言った。


「皆で食べましょうよ、まだお腹入りますし、な、入るだろ?」


 と四人に確認すると、四人も大きく頷いた。


「はいるぞ!」と辰。

「うん、だいじょうぶ」と薫。

「あたしも!」と彩。

「わたしも……!」と杏。


 初枝は気遣ってくれた平太と子どもたちを見て、うふふと笑う。


「ありがとう──じゃあ、もう少ししたら皆で食べましょう」

「はい」

『うん!』


 と平太と子どもたちが頷くので、初枝も嬉しく思いながら、微笑むのだった──





初枝「皆で食べるとおいしいわね(微笑む)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ