アイスを買いに
お久しぶりです、
コンビニへ
平太たちは今、道路を歩いていた。
コンビニに向かって……。
なぜ平太たちがコンビニに向かっているのかというと、それは保育ルームでの会話に遡る──。
*
平太が保育ルームに行くと、初枝と子どもたちが話していた。
「何かアイスが食べたいわね」
初枝の発言に、子どもたちが目を輝かせて反応する。
『たべたい!』
「じゃあ、買いに行ってもらおうかしら。平太くんも来たことだし──」
初枝ににこりと微笑みかけられ、平太は少し顔をひきつらせながらも、わかりました……と頷いた。
子どもたちもわいわいとその場ではしゃいで、平太を囲む。
「じゃ平太くん、気をつけて皆と行って来てね」
「はい、行ってきます……」
そして平太は、子どもたちと一緒に保育ルームを後にするのだった。
*
そして今、平太は引き受けたことに後悔しながら、コンビニに向かっている。
辰と彩は平太の前を歩き、薫と杏は平太の横を歩いていた。
「わかってると思うけど、店の中走るなよ? 迷惑になるから」
「わかってるよ、まかせとけって──」
と辰が胸を張る。
一番不安なのだが、本人が自信満々に言うので、平太は黙っておいた。
「そういえば、皆でどっか行くの初めてじゃないか?」
ふと平太は今までを思い返しながら、四人に言った。
今まで保育ルームの外に出たとしても、校庭や高校の敷地内だった。
一回、初枝と子どもたちが家に来たことがあるが、その時は帰るのを見送っただけで、こうやってどこかに行ったことはない。
「はじめてだね」
と薫が平太を見上げて頷いた。
杏も頷いて、平太を見上げる。
「わたし、ほかのところにも平太お兄ちゃんといきたい」
「あたしも!」
杏の発言に彩も振り返って言った。
辰も振り返り、薫と同じようにうんうんと頷いて見せる。
「……そうだな、他のとこも行きたいな」
と平太は四人からそう言われ、嬉しく思った。
ふと前を見ると、コンビニが見えてきていた。
「おれいちばーん!」
と辰が走っていく。
おい!と平太が止めるより早く、辰はスタタタとコンビニに入っていってしまった。
「あのバカ……!」
平太は三人にちょっと急ぐぞと言って、辰の後を追うようにコンビニに入る。
コンビニに入ると、冷房が効いていて涼しかった。
「いらっしゃいませー」
と営業スマイルを浮かべる店員に軽く頭を下げ、平太と三人は辰の所に向かう。
辰はアイス売り場で、アイスをじっと見ていた。
「初枝さんも食べるから、箱のやつ買って帰るんだぞ」
「うん──」
そう頷きつつも、辰の視線は袋のアイスに向いている。
ふと平太が他の三人に目を向けると、三人も袋のアイスを見つめていた。
「…………。いいよ、一人一つ買ってやる。薫カゴ持ってこい」
「いいの?」
「男に二言はない!」
平太は確認してきた薫に言って、財布の中を確認する。
幸い、最近は買い物をしていないので、全員分のアイスを買う余裕はあった。
「平太、もってきた」
「おう。よし、入れろ。一人一つな」
薫からカゴを受け取り、平太はカゴを広げる。
四人は嬉しそうに笑って、思い思いのアイスをカゴに入れた。
平太は初枝が食べそうな箱のアイスをカゴに入れ、自分用に一番安い棒アイスをカゴに入れる。
「よし、会計して帰るぞ」
平太はレジに持って行き、会計を済ませる。
子どもたちは平太の後ろに囲むように並んでいた。
「ありがとうございましたー」
店員から袋を受け取り、平太は四人を先に歩かせながら店を出る。
「平太、アイスアイス!」
という辰の発言で、他の三人も平太をキラキラとした目で見上げた。
「ほんとは歩きながら食べちゃいけないんだけど、アイス溶けちゃうしな、仕方ない──」
と平太は渡していく。
袋をコンビニの前のゴミ箱に捨てて、五人は歩きだした。
「んー、夏はアイスだな」
アイスを口に運びながら平太が言うと、四人も頷く。
「うまい!」と辰。
「うん!」と薫。
「おいしい!」と彩。
「おいしい……!」と杏。
平太は買って良かったと思いながら、四人を見た。
すると四人は顔を見合わせてから、にかっと笑って言う。
『平太、ありがとう!』
「ぉ、おぉ、今日だけだぞ──」
少し気恥ずかしくなりながら答えてから、こう笑顔でお礼を言われるとまた買っちゃいそうだな、と平太は思うのだった。
*
そして保育ルームに戻り、平太が初枝にアイスを渡すと、笑顔でお礼を言われアイスを渡された。
「平太くんありがとね、これはお礼です──」
「あ、ありがとうございます。……でも、さっき食べて帰ってきたんですよ」
「あら、そうなの?」
と初枝は平太と四人を見てから、少し寂しそうに言う。
「なら一緒に行けばよかったわ……」
私も皆と食べたかった、と初枝がしょんぼりするので、平太は少し焦りながら初枝に言った。
「皆で食べましょうよ、まだお腹入りますし、な、入るだろ?」
と四人に確認すると、四人も大きく頷いた。
「はいるぞ!」と辰。
「うん、だいじょうぶ」と薫。
「あたしも!」と彩。
「わたしも……!」と杏。
初枝は気遣ってくれた平太と子どもたちを見て、うふふと笑う。
「ありがとう──じゃあ、もう少ししたら皆で食べましょう」
「はい」
『うん!』
と平太と子どもたちが頷くので、初枝も嬉しく思いながら、微笑むのだった──
初枝「皆で食べるとおいしいわね(微笑む)」




