表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/87

メリーゴーランドハイパー

保育ルームに行くのが、日課になってきた平太。

今回は、彩のお話。

「ん?」


 保育ルームに入って、平太(へいた)は首を傾げた。

 初枝(はつえ)が居ないのだ。


梅田(うめだ)さんは?」

「きゅうようだって」

「かいぎ」

「まっててって」

「そっか。何する?」

「なんでもいいぞ!」

「ぼくも」

「わたしも」

「そっか……(あや)は?」

「おひめさまごっこ!」


 と彩が笑って言う。


「おひめさまー? 彩が?」

「なによー!」

「にあわねー」


 と(たつ)が笑う。


「おんなのこはみんなおひめさまだって、せんせーいってたもん!!」

「それはおせちだな!」

「お世辞な」


 と平太。


「彩ちゃんかわいいよ!」


 (あん)が目を輝かせてうなずく。

 きっと、頭の中でドレスアップした彩を想像したのだろう。


「杏ちゃんのがもっとかわいいよ!」


 彩も目を輝かせてうなずく。


「じゃあお姫さまごっこやるか」

「おれらはー?」

「王子だろ? 辰王子と(かおる)王子」


 と平太は笑う。

 辰は執事に迷惑をかけ、薫は読書好きの大人な王子だなと平太は思った。


「平太はひつじか?」

「執事な」

「平太お兄ちゃんはしつじね! あたしの!」


 と彩がクルリと回る。


「え? マジで?!」

「うん!」

「平太お兄ちゃんカッコいい!!」


 と杏が目をキラキラさせる。

 それに負けて、平太は渋々、


「わかったよ……やってやるよ。完璧な執事をな!!」


 と開き直った──


      *


 まず、オシャレしなきゃね! という彩の提案で、厚紙を使って辰と薫の冠を作る。


「よし。お前らはそれで終わりな」

「おうかんか?」

「おう。辰は赤な。薫は黄色」

「レッド! おれつえーから!」

「いや、戦うわけじゃないからな?」

「に、にあうかな?」


 と薫が黄色の冠を頭に乗せる。


「似合う似合う」

「……はは//」


 照れたように笑って、背を向ける。


「平太お兄ちゃん、スカートにかざりつけたい」

「お嬢様。そのようなことは私にお任せください──」


 と彩が持っていた折り紙の花を、スカートに貼る。 

 そして、作っておいた折り紙のかんざしを頭に飾る。


「どうでしょうか?」

「ふふ。にあう?」

「もちろんでございます」

「……////」


 彩は平太を見て、顔を赤くする。


「どうした? 俺の執事カッコよかったか?」


 と笑って冗談を言うと、


「うん//」


 とうなずく。

 平太は予想外の返答に、少し照れる。


「ははっ、マジか//あ、杏もやってやるからちょっと来い──」


 と杏にもやってあげる。


「ありがとう!」

「どういたしまして。さて、準備も出来たことだし。パーティーやるか」

「ダンスパーティーだね!!」

「さすが彩だな」

「ふふ//」

「おれおどれねー」

「ぼくも」

「わたしも」

「どうする? 彩」

「……平太お兄ちゃんと、おどる」

「へ?」


 平太は間抜けな声を出す。

 彩はちょっとだけモジモジする。


「おどって、くれる?」

「……めちゃくちゃなリードしか出来ないぞ? それでもいいのか?」

「うん//」

「じゃ、失礼して──」


 平太は彩を軽々と持ち上げると、たかいたかいのまま、グルグル回り始める。


「えっ?!」

「メリーゴーランド〜ハイパー!!」

「ふ、ぁぁぁあああぁぁぁ──」


 彩が悲鳴に近い声を出したので、平太は止まった。


「大丈夫か?」


 と彩を下ろす。


「ばかぁ」

「ダメだったか。大丈夫かと思ったんだけどな」

「もういいっ! おひめさまごっこやめる!」


 と彩は飾りを取る。

 淡い想いは、平太の『メリーゴーランドハイパー』によって、消え去った──



どうだったでしょうか、

感想批判評価などなど、よろしくお願いします(_ _)

すると喜びます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ