表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
57/88

紙袋より

遅すぎなバレンタインネタ……です、はい。

平太に春が…………?

 ある日、保育ルームに女子生徒がやってきた──。


平太(へいた)くん──呼ばれてるわよ」


 と初枝(はつえ)が、なにやらニヤニヤしながら平太を呼んだ。

 平太は子どもたちと遊んでいたが、なんですか? ちょっと待ってろな、と子どもたちに言って、初枝のもとに向かった。


「廊下に、女の子がお待ちよ」

「え?」


 平太はちらっと廊下に視線を向け、そこにマフラーを首にした女子生徒がいるのを確認した。


「……」

「早く行ってあげなさいな──」


 ほらほら、と初枝に背中を押され、平太は廊下に出た。


 廊下に出ると、女子生徒は少し頬を赤く染めた。


「あ、あの、ごめんね、伊川(いがわ)くんに訊いたら、保育ルームだって言ってたから」

「あぁ、いいよべつに。そんな謝らなくて」


 と平太は笑う。

 女子生徒は小さな紙袋をもじもじさせてから、意を決したように口を開いた。


「こっ、これ……! よかったら食べてくださいっ! おいしいかわからないけどっ!」


 ずいっと、紙袋を平太に差し出して俯く。マフラーから覗く耳は、少し赤くなっていた。

 平太はそれをおずおず受け取って、お礼を言う。


「あ、ありがとう……わざわざ」

「いや、私が勝手に作って持ってきただけだから、気にしないで!」

「そ、そっか……」

「うん! じゃ、またね──!」


 恥ずかしそうにそう言い残して、女子生徒は駆けていった。


「……貰っちゃった」


 紙袋を見て、平太は少し恥ずかしくなる。


「…………戻ろ」


 と平太は(きびす)を返して、保育ルームに戻った。


 保育ルームに入ると、初枝がにこにこしていた。

 子どもたちは、奥で遊んでいる。


「どうだった?」

「あ、貰いました……」


 にこにこしている初枝に紙袋を見せると、初枝はぱちんっと手を合わせて言った。


「やっぱり? いいわねぇ、青春って感じ!」


 と初枝はなぜか嬉しそうに頷く。


「あれ? 平太がなんかもらってる! おれには?」


 と(たつ)が気づいてやってくる。

 それに続いて、三人も来る。


「平太くん、チョコ貰ったのよ」

「チョコ? いいなー、平太くれー」

「誰がやるか──」


 と手を伸ばしてくる辰の頭を押さえて、紙袋をリュックにしまう。


「平太、ぼくには?」

「言ったろ、(かおる)にもやらん」

「あたしは?」

(あや)にもない」

「わたしは……?」

(あん)にもない──てか、彩と杏はあげる側だろ?」


 と平太は苦笑いする。


「そっか」

「そうだね」


 と彩と杏は顔を見合わせて頷く。

 そこに初枝がお菓子を持ってきて、五人に言った。


「はいはい、皆で食べましょう──チョコケーキ作ってきたの」


 久しぶりに作ったわ。と初枝が笑ってテーブルに置く。


「さあ皆、席に着いて」

『はーい!』


 平太の紙袋への興味が嘘のように、子どもたちは笑って席に着いた。

 

「じゃ、平太くんは飲み物持ってきて」

「はい──」


 平太が飲み物を取りにいっている間に、初枝は手際よくチョコケーキを六等分し、紙皿に分けていく。


「持ってきました」

「ありがと──はい、じゃあ皆手を合わせて」


 平太が飲み物を注ぎ終わってから、初枝が指揮をとる。

 皆で手を合わせ、一緒に言った。


『いただきます──』


 そしてそれぞれチョコケーキを口に運んで、感想を口にする。


「おいしい!」

「薫、口元についてるぞ──」


 と平太は薫の口元を払う。


「うまっ!」


 辰はぽろぽろとカスを落とす。


「辰、食べ終わってから喋れ」

「おいしい〜」

「うんうん!」


 彩と杏は頬に手を当てて笑う。


「うん。おいしいです」


 と平太も笑って言った。

 そんな五人を見て、初枝は満足そうに微笑む。


「ふふ。よかった──」


 そして初枝もケーキを口に運んで、おいし。と呟いた──





チョコの数。

明良「ん? 二つ(マネージャーと女子生徒から)」

平太「二つ……(女子生徒と母親から)」

司書さん「三つ、ですかね(女子生徒から)」

凌平「五つ(女子学生から)」

※ちなみに、前に出てきた男子三人は、ゼロ。校長は妻から一つ。


次回は、ホワイトデーを予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ