手伝いをすることに……
子ども、可愛いです。
「平太」
「平太ーあそべー」
「平太お兄ちゃん……!」
「平太お兄ちゃん!」
「黙れガキども!」
と松城平太は、怪訝な顔をして言う。
「平太ーおれとあそべー」
「嫌だね。一人で遊んでろ」
「んだよー!」
と両の頬をプックリ膨らませたのが、築山保育ルームのリーダー的存在、三柴辰だ。
平太の通う築山高校は、保育ルームが存在する──
「平太、ほん、よんで」
「あ? 一人で読んでろ」
「あ。平太よめないんでしょ」
とバカにしたように言ったのが、どこか大人な餅田薫だ。
「んだ?! 読めるわ」
「じゃあよんでよ」
「その手にハマるかバカ」
「ふたりとも……っ」
と止めに入ったのが、大人しい浅野杏。
「ケンカしちゃダメだよ!」
と注意したのが、元気っ子の山手彩。
「してねえよ──」
「平太あそべー」
「ほん、よんでよー」
「おままごと……!」
「おにごっこー」
「うるせえよ!」
ピシャリと言い放った言葉に、四人が固まる。
「そうだよ。静かにしてれば──」
「ひっ……」
「ふぇ……」
「うっ……」
「うぇ……」
一斉に四人の目がうるうるしてくる。
「え……? ちょっ──」
『びぇーっ、うわあああああっ、うぇーーーっ』
号泣。平太はうろたえる。
「ちょっ、待っ──」
「何ですか! あらまあ!」
「ぜんぜーっ!」
と築山保育ルームの先生、梅田初枝が部屋に戻ってくる。
「……何となく分かりますが、平太くんでしたっけ? ちょっと来なさい──」
「……はい──」
平太は、嫌々ながら初枝の後に続いた──
「……平太くんは、子どもは好き?」
「え?」
思っていたことと聞かれたことが違い、思わず変な声が出る。
「正直に言っていいのよ」
初枝は柔らかく微笑む。
「……俺は──」
子どもが嫌いなんだ、と言おうしたが、言えなかった。
「せんせーっ、平太をおこらないでっ」
「おれらがいうこときかなかったから……っ」
「おねがいっ……」
「せんせー……っ」
といつの間に来ていたのか、四人が涙を堪えながら言った。
「おれ、平太のこと、すきだからっ……」
「ぼくもっ……」
「わたしもっ……」
「あたしもっ……」
「だから……っ──」
『おこらないでえぇぇぇ』
そして泣き出してしまった。
「なんで──!?」
平太は四人をまじまじと見る。
「まあまあ。……平太くん。もう一度聞くわね。子どもは好き?」
平太は四人を見てから、口を開けた。
「子どもは……嫌いです。めんどくさいし、すぐ泣く……。でも、この四人は違うかもしれません──」
「そう……。じゃあ、これからお手伝いよろしくね」
「え……?」
「先生私だけで大変なのよ。皆オムツ卒業してても、やっぱりまだ慣れてないし……それに、あなたのこと皆気に入ってるみたいだから──」
「平太ああ」
「平太ー」
「平太お兄ちゃん」
「平太お兄ちゃーん」
と四人がワッと駆けてくる。
「うおっ!?」
「平太ああ」
「あ、辰鼻水!」
「平太ー」
「薫は涙拭け!」
「平太お兄ちゃんっ……」
「泣くな杏!」
「平太お兄ちゃん!」
「彩も!」
「どうですか?」
初枝が笑って訊ねる。
「……分かりました。お手伝いします──」
「うふふ。よかった。じゃ、これからよろしくね、平太くん──」
平太は和やかに笑う初枝を見てから、四人をなだめ、これからどうなるんだ……と頭を悩ませるのだった──
どうだったでしょうか、
感想批判評価などなど、よろしくお願いします(_ _)
すると喜びます。