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俺とお前と7不思議  作者: 桑島 龍太郎
第1章 学校の7不思議
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第1章 ベリアル

 どうでもいい事だが俺は剣闘部に所属している。

 剣道部ではない、剣“闘”部だ。

 

 武器は竹刀では無く、実際の刀と同じ重さの木刀が使用される。

 それも普通の木刀では無く、鞘付きという変わり種。

 世界広しと言え、こんな部活があるのはウチの学校くらいのもんだろう。


 顧問の先生いわく「我が剣術は古来より剣に頼らず、己の体も武器とする事が真髄」らしい。

 ようはサムライの真似事で、刀で切りあい鞘は盾、拳や足も武器扱い。何でも有りのお侍さんだ。


 古式龍功殿流刀術(こしきりゅうこうでんりゅうとうじゅつ)と言う柔術と刀術を組み合わせた流派らしい。


 で、今はその先生に今日は休む、と伝えに来たのだが当の本人も病欠で不在だった。

 強制練習等の名目にしてくれればナイアスに付き合わずに済むと思ったのだが……

 人生そこまで甘くは無い、か。


 しょぼくれながら教室に戻ると一瞬教室が静まり返り視線が俺に集中する。

 ……いつもの光景、母親が行方不明、友達も少ない、口数も少ない、おまけにナイアスに言わせれば目付きも悪い、らしい。


 それで俺はクラスの腫れ物扱いだ、うんざりする。

 クラスのやつらを一瞥し、窓際の一番後ろの席へと座る。


 普段と同じ授業、クラスメイトの同じような会話、昼食を終え放課後まで惰眠をむさぼる。

 それがいつもの俺の日常なのだ。


 午前の授業が終わり、購買で買ったパンと牛乳をぱくついた後、いつもの就寝モードへと移行する俺。

「一体何の用があって俺なんだか……」


 ナイアスの言葉の真意を測りながら俺は眠りに落ちていった。


「絶対あんた友達いないよね、認めなさいよ。昔からコミュニケーション能力低いのは知ってるんだよ?」

 頭が教科書でペシペシと叩かれる感覚で俺は目を覚ました。


 見上げるとそこにはキャンパスノートと俺を叩いたのであろう教科書を持ったナイアスが立っていた。

「コミュニケーション能力が無いわけじゃ無いさ。俺の日常にあいつらは必要無いだけだ、向こうだってそう思ってるから話しかけようともしないんだろ?」

「そういうのがよくないって言うのよ、自分で壁作ってたら出来るもんも出来ないわよ。それに……放課後まで寝てるくせに成績優秀とは恐れ入るわね。あんたの頭はどうなってるんだか」

 

 ガタガタと向かいの机を俺の机に寄せながらナイアスは言った。


 そう、こう見えても俺は頭脳明晰、運動神経バツグンのイカした男なのだ。

「能あるワシのトウガラシってやつだ、あんまり目立つとよけい孤立するからな」

「それを言うなら能ある鷹の爪隠し、でしょ。そもそも使い方が間違ってるわ、隠さないで絶賛放映中じゃないの。て言うか今自分が友達居ないの認めたわね」

「そう言う事じゃない。ただ孤立するのは寂しいだろう? そういう事だ」

「私からすれば一緒よ、まったく」


 見苦しい言い訳だな、俺ってヤツはどうも素直になるのが苦手らしい。

「それで、放課後まで残って何を話してくれるんだ? ナイアス君?」

「まぁいいわ。話って言うのはね……ベリアルは学校の7不思議って知ってる?」

「知ってる。クラスの女子共が話してるのをたまに聞くからな」

「それなら話は早いわ、私はその7不思議を追うつもりなの。協力して」

「……はぃ? お前何をいぢぇっ!」


 びっくりだった、びっくりすぎて声が裏返って舌まで噛んでしまった。

 口中に血の味が広がる、くそう、案外強く噛んじまったみたいだ。


「変な声出さないで。この学校にもよくある7不思議が存在するんだ、で、私はそれを確かめたい、ベリアルはそういう怪談話を信じてない=(イコール)怖くない、平気。これ以上の相方はいないと思ったわけよ、どう? 納得した?」


「分かった、つまり合気道の師範代でありモテモテのナイアスちゃんは7不思議に挑戦したいけど怖いから頭脳明晰でハンサムで男らしいベリアル様に助けて欲しいという事ですね」


 ふざけんな、俺だって本当に起きたら怖いから信じて無いだけだ。 

 それなのに俺という男は……


「いいだろう! その話乗ってやる。幼馴染のナイアスの一生のお願いだなんて頼んでも聞けなさそうだからな! これは貸しだぜ?」

「なっ何よその言い方! 私はベリアルが暇で友達が居なくてつまらないだろうと思ってこうやって声をかけてあげたの! 怖くも無いし! むしろ感謝して欲しいくらいだわ!」


 やっちまった……だがナイアスも顔を真っ赤にして反論する所を見ると案外ひねくれ者なのかも知れない。

「さて、話を戻そう。ソロモン高校の7不思議ってのを詳しく教えてくれたまへ」

「むかつくなぁ、ノリノリなあんたってのも珍しいけど……7不思議とは言うけど他の学校で伝えられている事と大差ないよ」


 ナイアスは手にしていたキャンパスノートを広げながら説明を始めた。

「随分と本格的じゃないか、全部自分で調べたのか?」

 ノートを見ると切り抜いた記事やらそれに対する書き込み等が書かれていた。


 熱心な事だな、ナイアスの意外な一面て所か。

「そうだよ、インターネットとか人伝いに聞いたりしたのをこれに書き留めてるの。でもねー同じ話なのにいくつもバリエーションが有ったり、知らない話とか出て来てさ、全部書いてたら7不思議超えちゃうからマイナーな話は省いて有名な話だけまとめてみたんだ」

 片手でペンをクルクルと回しながらナイアスは続けた。

「ナイアス……お前……」

「な……何よ……?」

 俺はナイアスの吸い込まれそうな大きな瞳をじっと見つめ、

「暇人なんだな……」

 

 次の瞬間、華麗なヘッドバッドが俺の額に決まった。

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