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俺とお前と7不思議  作者: 桑島 龍太郎
第3章 異郷の戦場
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団長と大隊長

「お? この人は?」

 目の前にいるフローに気付き俺に問いかけるリブロ。


「名乗り遅れて申し訳ない、俺は第1特殊機動師団長 フロインシャフトだ、フローと呼んでくれて構わない、それと敬語も無しにしてくれよ?」

「はっ! は、はぁ……? 師団長っていったらかなりお偉いさんじゃねぇか、なんだってそんな人と酒交わしてんだ?」

「俺はそこの副団長補佐になったんだよ、フローは少し変り者でな、友達を増やしたいんだと、だからリブロも友達になっておくといい」


 少しだけ優越感を感じた、師団長をかなりのお偉いさんと言う事はリブロはそれなりの所に配属されたのだろう。


「リブロはどこの所属にされたんだ?」

「俺かぁ? 俺は第4機甲師団第2機械化歩兵大隊長だぜ!」

 意外だ、大隊長だったらかなり大物扱いじゃないか、これは失礼かもしれないがそんなに強かったのか……


「ほう、第4機甲師団と言えば気性の荒いやつらが多いそうじゃないか、そこの大隊長とは貴公も中々の実力者と見る」

 フローが感嘆の声を上げた、機械化歩兵ってのがよく分からないが、なんだか強そうな名前だ。


「それでは再び乾杯といこうじゃないか」

「おう! フローも良い事言うじゃねぇか!」

 リブロがガタガタと隣の席に座りながらフローの言葉に賛同する。

「そうだな! それぞれの戦果とこれからに!」

「「「乾杯っ!!」」」


 そこからは3人の飲めや歌えやの宴会になった、突然リブロは歌いだし、周りから何事かと視線を浴びながらも俺達は宴会を止める事は無く食堂が閉まる時間までそれは続いたのだった。


 閉まった食堂の前でフローが俺に声をかけた。


「明日からは実戦訓練も交えて行くからしっかり頼むぞ?」

「あぁ、任せろ! それじゃあおやすみ」


 俺は酔っ払って呂律の回っていないリブロとフローと別れ、自室へと戻って行ったのだった。

 自室にもどり、俺は寝巻に着替える事もせずそのままベッドへと倒れ込んだ、全身が沈むこの感覚は素晴らしい、マシュマロに包まれているようだ、酔いも回っていたため俺はその柔らかさを堪能しながら眠りへと落ちて行ったのだった。


 そして俺は夢を見た、母さんが行方不明になる当日の家に居た、目の前では母さんが買い物に行く準備をしている、場面が切り替わり、元気を無くした親父の姿、それを黙って見ている幼い自分、何度も見た夢だった、だがその後に続きがあった。

 青い顔をさらに青くして親父が学校の職員室にいる、警察も来ていた、狼狽する教師達と泣きながら話をしている親父、その親父と目が合った気がしたが、そこで夢は終わってしまった。


「どうして……こんな夢を……」


 うっすらと目を開けながら、見ていた夢を反芻する、大丈夫だ、きっと帰れる、そうしたら真っ先に親父に謝ろう、だからそれまでは死ねない。


 俺がそんな事を考えているとまたしてもコンコンと扉を鳴らす音、そして涼やかな声、副師団長補佐がこれだけの待遇とは、まるで自分が王族になった気分だった。


 どうぞ、と声をかけるといつもの使用人が入って来た、俺は気になっていた事を尋ねてみる事にした。


「なぁ……ちょっと聞いていいか? 軍の上層部の部屋はどこもこんな豪華なのか?」

「まさか! この部屋は師団長から上のクラスの方のみです、ベリアル様はそれだけ期待されているという事だと思いますよ?」

 ぽっと出の旅人をこんな高待遇してもいいのだろうか、だが与えてくれる物を拒むほど落ちぶれちゃいない、ならありがたく堪能させてもらおう。


「そうだったのか……ありがとう。それじゃあ行ってきます」

「いってらっしゃいませ」

 準備を終えた俺は、柔らかな笑顔を崩さぬままの使用人を部屋に残し、訓練所へと向かって行った。


 正直な話、俺に訓練なんて必要無いんだよなぁ、昨日だって本気でやって無かったし……みんな動きが遅すぎる、あれじゃ避けてくれって言ってるようなモンだよ。


 それに銃なんて使う必要は無い、俺の武器は自分の肉体と剣だ。


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