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俺とお前と7不思議  作者: 桑島 龍太郎
第1章 学校の7不思議
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第1章 来訪者

「うっさいわねー、絶対に誰にも言わないでよね? 変な噂立ったら1番にベリアルの首絞めるからね!」

「へいへい、わかってますよー。女番長様のそんな可愛らしい一面が知れたらもっとモテちゃうからねーあーいやだいやだ」

「そういう意味じゃないよ! 他の男共に人気があっても私は嬉しくないもん……」


 校門の前でそんな会話をした後、俺とナイアスはそれぞれの帰路についたのだった。

 どうしてあいつは俺と一緒に帰らないのだろうか、家は隣なのに……


 嫌われているわけでは無い、何故だ、どう考えても分からない。

 ナイアス7不思議でも作ってみようか……


 そんな事を考えていたら家に着いていた、しまった、缶コーヒー買いたかったのに。

 今から戻るのも面倒なので、俺はそのままベッドに潜り込む事にしたのだった。

 そして次の日の放課後。


 いつものように惰眠を貪っていた俺の肩を誰かに叩かれた。

目を開けるとクラスメイトが教室の扉を指さし、お客さんだぞ、とだけ告げて行ってしまった。

 扉に目をやるとぬいぐるみを抱いたスレンダー無表情少女、ミトラが俺を訪ねて来ていた。


 ナイアスのように頭を叩くわけでもなく、クラメイトに俺は居るかと聞いたらしい。

 久しぶりにクラスメイトに肩を叩かれた、ちょっと嬉しいぞ。


「入ってこいよ、そこじゃ話も出来ないだろ。もうすぐナイアスも来るはずだ」

「………………」

 俺の言葉を聞き、無言で教室に入って来るミトラ。


 教室にいるクラスメイトの視線が集中するのが分かる、いや……他のクラスの奴らもいるだろこれ……

 ミトラの後ろ、すなわち廊下から覗き込むようにこちらを見る男子生徒が数人、どうしてそんなに注目するんだ。


 ははぁ……分かったぞ……試しに反応見てみるか。


「ミトラー昨日の夜はすまなかったな! ほら、お兄ちゃんの膝の上に乗るがいい!」

「…………」


 ……なんてこった……昨日のミトラだと暴言の一つも吐きそうなのに大人しく俺の膝の上に乗りやがった。


「すまん、冗談だ。椅子に座ってくれ」

「分かってるですよ、貴様バカじゃねぇですか」

 よかった、昨日のミトラだ、そんなやり取りをしながら横目で廊下の男子共を見ると、やはり、悔しそうな顔をする者、あの野郎! と怒る者、様々な反応をしていた。


「ミトラって案外ファン多いんだな」

 視線を戻し、ミトラに話しかける、相変わらず無表情だ、こいつには感情が無いのだろうか。

 他人事だが少し気になる。

「ファンかどうかは知らねぇですよ、毎日色んな男共が声をかけてくるだけ、ウチは興味ねぇですから、無視しても話しかけてくるのは理解出来ねぇですが」


 ミトラはいわゆるロリっ子だ、その手の男に人気があるのだろう。

「ごめんごめん、おまたせー」

 廊下の男共の間をすり抜けてナイアスの登場だ。

 心なしかギャラリーが増えている気がするが放っておこう。


「で、今日はどうすんだ? 昨日と同じ時間でいいのか?」

「そうだね。ミトラちゃんも今日の19時半に校門の前来れる?」

「ウチは何時でもかまわねぇですよ、夜が更ければ更けるほどウチの力は強まりますが」

「じゃあそれで。ベリアルは昨日みたいに武器持って行くんでしょ? 忘れないでね」


 ちくしょう、バレてやがる、一夜開けてあの暗闇を思い出すとやはり不安になる、備えあれば憂いなしだ。


「目的は昨日聞いた通りでいいと思うんですが、ウチに残りの怪談を教えやがれ、その話によっては対処出来るかも知れねぇですから」

 暴言敬語を吐きながらミトラが言った。

 その言葉を受けたナイアスが残りの怪談の説明をしてくれたのだった。


「旧校舎のカギはウチが持ってますので、侵入経路は問題ねぇです。なぜ持ってるのかは教えねぇですけど」

「そしたら問題は体育館だね、ここの校舎は昨日と同じやり方で入るとして。あそこは校舎から独立してるから難しいよね……どうしよう」


「あぁ、それなら問題無い、体育館裏に面した窓があってな、そこから入れる」

「鍵掛かって無いの?」

「大丈夫だ、そこの窓は鍵をかけても少し窓をガタガタやりゃあすぐ開いちまうんだ、これは剣闘部に口伝でのみ伝わる裏ワザなのだよ」


 誇らしげに言ってみるが、何の事は無い、数か月前に俺が壊してしまっただけの話だ。


「よし! なら今日も問題なく正体解明に乗り出せるね!」

「ウチの力を解放する事件があればいいのですがね……」

「ほんなら解散だな。俺はちょっと寄る所があるから先に帰っててくれ」


 その言葉と共に散り散りになるギャラリーと女二人、時計を見ればまだ16時だった。


 先ほどの言葉通り帰り道にあるコンビニへ寄り、カップラーメンとおにぎり、昨日買えなかった缶コーヒーと漫画を買い、のんびりと夏の夕暮れを楽しみながら家路に着いたのだった。


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