変な先生
一部(というか半分ほど)エロいネタがありますのでご注意を
「さァて~ツグィの問題うぉ~安広すぁ~んぬ」
「先生、その腰の振りをやめてください。気持ち悪いです。吐き気がします。反吐が出ます」
教室の最前列の入り口からから3番の席の川中さんが錐のような尖った口調で淡々と言った。
「安心してください、川中さん。地球は常に自転to公転をし続けているんですよぉ。だから気にしないでください」
「気にします。目障りです」
川中さんが鉄仮面で無表情で真顔で言った。
「それと先生、毎回生徒を当てるとき、安広さんだけを当てるのは不公平かと思います。いくら先生が尾谷高校二年ζ組の身長この年にして未だに145センチ、顔は童顔というかロリ顔、髪はショートヘアー、胸は貧乳、性格はシャイのロリっ子美少女安広麻衣さんにマジで恋しちゃってても、それは心の中に止めておくべきです。もし心の中からあふれ出ちゃったらそれは犯罪です。先生は犯罪者です。性犯罪者です。危険人物です。狂人です。
だから先生、今日かぎりで安広さんのストーカーをするのをやめてください。お願いします。お願いしてるんですよ?」
教室の教卓の上で、先生はなおも腰を振っていた。時折、「ヤッホォオー」「ウォッホォオー」とか言いながら。
「川中さん、それは誤解です! 私はどこからどう見てもジェントルメンナイスガイなんですから!」
「証拠なら山ほどあります」川中さんは言った。
「たくさんの生徒から目撃情報を聞いてますから」
「Oh……」先生の腰の振りが若干遅くなった。
「解ぁーりました。川中さん」
先生がそう言うと、先生は教卓からヒョイっと跳び、そしてちょうど教卓の前にある安広さんの席の上に着地した。
「安広さ~ん、ボクといっぱいいけないことしましょお~」
安広さんはその言葉の途中で電光石火のごとく教室を飛び出ていった。
「先生」川中さんが腰を振る先生に向かって言った。
「そろそろ服を着たらどうですか」
放課後。
駅前のゲーム屋にて。
「す、酢、すうぃましぇーん。こ、戸、これうぉくだしゃーい」
唐草模様のネクタイをつけた、両手を腰に当て、腰を振り続ける謎でしかない客がそこにいた。
「先生……」あきれた声でカウンターの店員が言った。
「先生、学校の先生がこんなエロいゲームを買うのはいかがなものかと思われます」
ゲーム屋のバイトこと川中さんが、ロリっ子の高校生ばかり描かれたパッケージのエロゲーを突きだして言った。
「川中さん、ロリっ子は正義ですよ」
「先生はその正義なるロリっ子をしゃぶり尽くす悪魔でしょう」川中さんがぴしゃりと言った。
「ねぇー川中さん」なおも腰を振りながら先生が言った。
「なんですか悪魔、いえ変人、いえ先生でしたね」
「胸をもませてください」先生が満面の笑みで言った。
「先生、私は乳がないですよ」
「貧乳はおっぱいに入ります!」先生が言った。
「それなら……別にいいですけど」
青色の服の上に緑のエプロンをつけたバイトの川中さんが何の恥じらいも躊躇もためらいもなく言った。
川中さんは右手に持っていたゲームを置き、そして直立して黙って先生の方を見据えていた。
そして先生は腰を振りながら川中さんの胸に手を出した。そして川中さんの胸を鷲掴んで揉んだ。
何回も何回も。腰の振りと同じリズムで、同じ周期で揉んでいく。
しかし、当の本人川中さんはそんな先生をただじっと白い眼で見ていた。
「もういいですか」川中さんが言った。
「OK、ゴチソウサマでした」
先生は鷲掴んでいた川中さんの胸から手を離した。先生の腰の振りだけは終わらなかった。
「はぁ……」川中さんはため息をついた。
「先生はホント変態ですねぇ」
腰を振りながらズボンのポケットにある財布を取り出そうとしている先生の姿がそこにあった。
「私……男なのに」
夕方。
帰り道。
「先生、そこの電信柱に隠れているんでしょ?」
川中さんが後ろを振り向いてそう言った。電信柱の陰から先生が出てきた。
「先生、電信柱の陰に隠れていたって腰を振っていたら意味がないじゃないですか。腰が時折はみ出て見えましたよ」
「Oh……不覚だったなぁ。やはり川中さんとGHQには敵わないなぁ」
先生が腰を振りながら川中さんの方へ向かってきた。
「先生、私をストーキングしていたんですか」
「ノンノン、ストーキングじゃないよ。ただの徘徊だよ」
「先生みたいなのが街を徘徊してたら警察か霊媒師が捕まえに来ちゃいますよ」
「安心してください川中さん。ボクは警察の人と仲良しですからね。捕まったりなんかしませんよ」先生は腰を振りながら言った。
「なにせ何度もつかまってるうちに仲良くなっちゃいましたから」
「警察と仲が良くても捕まることだってありますよ。警察と仲が良くて捕まらない悪い人とか団体とかもあるかもしれませんが」
川中さんはそう言って先生を無視して先に行った。
そのあとを妖怪のぺとぺとさんのごとく付いていく先生。
「先生の家はこっちの方向じゃなかったと思うんですが」
「いやぁ、昨日家に隕石が落ちてきて家が壊れちゃって引っ越ししたんだ」
「そうですか」川中さんは先生の方を向かずに言った。
「その隕石が先生の頭にでも直撃していれば……この町の治安は守られたろうに」
先生は川中さんの後ろを腰を振りながら、そして誰のものかわからないアルトリコーダーで『星に願いを』をピーピー吹きながら付いていく。
「ところで先生」川中さんが先生の方へ振り向き言った。
「そろそろ服を着ませんか」
夕刻の住宅街に全裸の先生とその生徒が歩いていた。
自宅。
リビングにて。
「先生は男の人が好きなんですか」
勝手に川中さんの家に入ってきた先生に川中さんは訊いた。
「イヤス! オフカォス! もちろん」先生は即答した。
「幼女も好きなんですよね」川中さんが訊く。
「イヤス! オフカォス! もちろん!」先生は即答した。
「両方好きなんですか」
「ボクはバイなんだよ。りょーとーなんだよ」先生が誇らしげに言った。
「そんなことよりも先生、早く何か着たほうがいいと思いますが……今更だとは思うんですが」
「そーだな。夜になるとコォルドだからなぁ」
先生はそう言うと、ベランダに干してある母親のパンツに手を出した。
「何しようとしてるんですか先生」
「いやぁ、ボクもホモ・サピエンスとして下着ぐらいは着ておこうと思って」
「人の母親の下着を勝手に着ようとしないでください」
先生は不服そうな顔をして腰を振っていた。
「仕方ないなー」そう言って先生は首にかけていた誰のものかわからない黄色い幼稚園かばんよりトランクスを取出した。
「ちょっと待ってください」川中さんが言った。
「それは私のトランクスです」川中さんが先生が持っているトランクスを指差して言った。
「どうしてそれを持っているんですか」
「頑張って昨日獲ったんです」
「ここ10階ですよ」川中さん家はマンションで10階の1010号室にあった。
川中さんはそのトランクスをひったくった。いや、取り返した。
「それで先生、今日は何の用事があって私の家に来たんですか」
「家庭訪問に来たんですよ。川中さんの進路について親御さんとお話ししようと思って」
先生は一見普通なセリフを言った。しかし服装は異常だった。
「先生」
「なんですかー」
「私たち、結婚しましょう」
――――私は先生が、こんな先生が大好きだった。