すっちー
・・・・・・なんだ、これは。
つっこむべきところが多いせいでどこに突っ込めばいいか分からない。
なんで全部平仮名なんだよ。
逆に読みずれぇよ。
見た瞬間何語か理解できなかったわ。
つかなんでゲーム機使えるんだよ。
そしてなんで漢字で書かれてる事が全部おかしいんだよ。
「おお、読み終わったか?返せ」
「・・・・・・はい」
まだ読みたい好奇心があったが、これ以上読むと漢字が使えなくなりそうで怖い。
「感想をどーぞ」
「漢字の素晴らしさを痛感しました」
男は爆笑した。
「でもなぁ、70ページにはもっと恐ろしい事が更に平仮名で書かれてるぞ」
俺の好奇心が『読みたい』と叫んだが、俺の中にある『漢字を忘れる事への恐ろしさ』と『常識を忘れる事への不安』がそれを無理矢理止めた。
「とりあえず、70ページの内容は・・・・・・っと、着いたぞ」
俺がふと窓から見ると、そこには感動と言えるものがそこにはあった。
真ん中に大きなグラウンドがあり、その右に真新しい校舎、その左にはひどく古くボロい大きな校舎があった。
それはまるで廃墟のようである。
まるで人が居れるような環境ではない。
俺は後者に抱く期待を抑えられなかった。
今回の引越しが軍艦島でなかったことへの落胆、廃墟が見つかる事への希望がそれを大きくした。
はやく、あそこへ行きたい。廃墟という名の天国へ、俺を連れて行ってくれ。
車が停まり。乗っていた二人の男は降りた。
「おおっと仮名くんよ、そっちは違うぞ。」
俺は気がつくと廃墟へ光の速さで向かおうとしていたらしい。
この男に少し感謝。
男に連れられて体育館に行くと、そこでは校長と思われる年配の男がステージに上がり、長ったらしい(恐らく)話をする時だった。
「えー、まだ雪が残る中、春の暖かい日差しが中略」
生徒達の間に笑いが起こる。
そのなかで俺だけが笑えなかった。
何を言っているのだ?あの男は?
「皆もさぁ、体育館寒いでしょ。もう居たくないよね。うん居たくない」
何をぶつぶつ言っているのか、あの男は。
「終業式終わりー」
校長、始業式だ。
「・・・・・って滅茶苦茶早ぇな!!」