6話 夜の秘密の部屋
夜、家の中は静まり返り、月明かりだけが部屋を照らしている。美咲は懐中電灯を手に、影と一緒に秘密の部屋へ向かった。
「今日、あのメモの秘密がわかるかな…?」
部屋に入ると、棚の奥で箱がまた小さく揺れた。美咲は息を飲みながら箱を開ける。中には、古い写真と小さな鍵が入っていた。写真には、子どもたちがこの家で遊んでいる様子が写っていて、どこか影のようなものが混ざっている。
影は嬉しそうにヒラリと跳ね、美咲を導くように窓の外を指さした。
「ここに秘密があるの?」
美咲が鍵を手に持つと、壁の向こうの小さな扉がわずかに光を反射した。鍵を差し込むと、カチッと音がして扉が開く。中には、小さな隠し部屋があり、そこには昔、遊び相手を失った子どものおもちゃや絵本がたくさん置かれていた。
「この子…ずっとひとりで遊びたかったんだね」
美咲は影の正体が、遊びたがりの小さな精霊だと理解した。影は嬉しそうに跳ねて、美咲の肩にちょこんと乗った。
「これからは一緒に遊べるね!」
美咲は笑顔で言い、影もピョンと跳ねて応えた。夜の秘密の部屋は、怖さではなく、ワクワクと優しい気持ちで満ちていた。
こうして、美咲と影の夏休みの冒険は、少しずつ心温まるものになっていく――。