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4話 秘密の部屋の扉
夕暮れ時、美咲は影と一緒に家の奥の物置部屋へ向かった。
「ここにあるはず…秘密の部屋…」
物置の奥の壁に、古びた扉を見つけた。扉には鍵穴があるが、鍵はどこにもない。美咲は箱の中にあった小さな鍵を思い出し、恐る恐る差し込む。
「カチッ…」
鍵はぴったりはまり、扉がゆっくり開いた。中には、薄暗く、ほこりっぽい部屋があった。家具も少なく、棚には古い絵本や人形が並んでいる。
影はヒラリと部屋の中に入り、美咲を誘うように動いた。
「わあ…小さな宝物みたい…」美咲の目は輝く。
そのとき、棚の奥から小さな声が聞こえた。
「やっと来てくれた…」
美咲は振り向く。そこには、薄暗い中に小さな影の姿が現れ、まるで待っていたかのように手を差し伸べた。影は、ずっとこの部屋でひとりで遊び相手を待っていた精霊だったのだ。
「一緒に遊ぼう」
影の声は優しく、美咲は少し怖さを感じながらも、手を伸ばす。
こうして、美咲の夏休みの冒険は、秘密の部屋で新しい友だちと過ごす時間へと進む――。