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10話 闇に誘われる
美咲は冷たい通路の奥深くへ進む。床や壁、天井に映る影は生き物のように揺れ、人の形を帯びて彼女の動きに合わせて追いかけてくる。冷気は全身に染み渡り、息をするたび胸に重くのしかかる。手に抱えた箱の重みは、恐怖と決意の感覚をさらに増幅させた。
足元には古びた手紙や写真、忘れられた道具が散乱し、懐中電灯の光に照らされるたび影が揺れ、囁きが耳元で低く響く。囁きは悲しみ、怒り、恐怖、諦めが混ざり、過去の記憶を呼び覚ますようにささやかれる。
壁に刻まれた文字や模様は微かに光を放ち、影と共鳴して揺れ続ける。床板の軋む音、砂利や落ち葉の細かな音、微かな風のざわめき…すべてが恐怖を増幅させ、心拍を早める。
美咲は手紙や写真を一枚ずつ確認しながら進む。写真の中の微笑みは影に覆われ、囁きと絡み合い、生きているかのように見える。影は床や壁を這い、時折人の形を帯びて迫り、胸の奥に冷たく重い感覚を押し付ける。
通路の角を曲がるたび、影の形は変化し、囁きの声も低く変化する。美咲は震える手で箱を抱き直し、恐怖を押し殺しながら、一歩ずつ奥へ進む。冷気、影、囁き、過去の記憶が絡み合い、深い迷宮の核心へと美咲を導く――。




