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2話 影の正体を探して
次の日の朝、美咲は眠れなかったけれど、目をこすりながら庭に出た。
「昨日の声…夢じゃなかったのかな?」
庭の桜の木の下には、小さな足跡のようなものがついている。細くて小さい、子どものものみたいな足跡だ。
「誰の…?」美咲は思わずつぶやく。
階段を上がって2階の部屋も調べてみる。古い日記や写真が棚に並んでいて、ふと見ると一枚の写真に、にこやかに笑う小さな子どもと、窓の外にうっすら影のような形が写っていた。
「えっ…この影…」
そのとき、窓の外から小さな声がまた聞こえた。
「こっちだよ…」
美咲は心臓がドキドキしながらも、声のする方へ庭を歩いていく。すると、桜の木の下で小さな影がヒラリと動いた。影は消えることもなく、まるで美咲を誘うように揺れている。
「遊びたいの…?」美咲がそっとつぶやくと、影はピョンと跳ね、木の枝に隠れたり、ちらっと現れたりする。
美咲は怖い気持ちと同時に、好奇心も湧いてきた。
「じゃあ…ちょっとだけ、君と遊んでみようかな?」
こうして、美咲は影の正体を探す小さな冒険を始めることになる――。