3話 古い日記の秘密
次の日、美咲は影と一緒に家の中を探検していた。廊下を抜け、二階の物置部屋に向かうと、去年見つけた古い箱が置いてある。
「何か手がかりがあるかも…」
美咲は箱をそっと開ける。中には、祖母が昔書いた日記や手紙、写真がぎっしり入っていた。影はヒラリと箱の上で跳ね、美咲の指先を導くように動く。
美咲が古い日記のページをめくると、数十年前の文字でこう書かれていた。
「この家には、遊び相手をなくしてしまった子どもがいる。影のようにひっそりと、でも誰かを求めている」
美咲は息をのむ。
「…影って、ひとりじゃないの?」
さらにページをめくると、小さな絵とともに“もうひとりの子ども”の名前が書かれていた。写真に写る子どもと、さっき見た影の雰囲気が似ている。美咲の胸はドキドキし、影は肩で小さく揺れて警戒している。
「どうしよう…?」
美咲は考える。去年遊んだ影は優しい友だち。でも、この家にはまだ、寂しさに囚われた影がいる。
夕方、美咲は桜の木の下で影を見つめる。
「きっと、私が助けなきゃ…」
心の中で決意する美咲。影は嬉しそうに跳ね、まるで「頼んだよ」と言っているかのようだった。
こうして、美咲の夏休みの冒険は、影たちの過去と秘密に踏み込む、新しいステージへ進む――。