1話 夏休みの古い家
夏休みが始まった日、小学生の美咲は、祖母の家に遊びに行くことになった。
「ひとりでお泊まりなんて、ちょっとドキドキする…!」
家は町の外れにある古い木造の家。庭には大きな桜の木があり、日差しの中で風がそよぐと、葉っぱがカサカサ揺れる。美咲は荷物を置くと、早速探検に出かけた。
1階の台所や居間を見て回るうちに、美咲は小さな階段を見つける。2階に続くその階段は、少し傾いていてギシギシ音がする。「わあ…冒険みたい!」美咲は思わず笑顔になる。
夜になり、寝る準備をした美咲は布団に入り、電気を消した。すると…窓の外から、小さな声が聞こえてきた。
「…あそぼう…」
美咲はびっくりして布団をかぶる。「誰もいないはずなのに…風の音かな…?」
でも、次の瞬間、声はもう少しはっきりと聞こえた。
「一緒に遊ぼう…」
美咲は勇気を出して窓をそっと開ける。外には誰もいない。庭の桜の木も、夜の静けさに揺れているだけだった。
「…あれ?」
その夜、美咲は眠れないまま、窓の向こうに小さな影が揺れるのを感じた。
「明日、もう少し探検してみよう…」
こうして、美咲の夏休みの不思議な冒険は、静かに始まった。