1週間のたのしい?イベント
雨の日。滅多に歩かない道。その先で響くブレーキと金属がゆがむ鈍い音。不遇な出来事というものに慣れてしまったのか、驚くことなく足は進み、倒れてる少女に視線を向ける。数分の沈黙が流れ、出た言葉は
「君も…いなくなるんだね………
2019年5月7日
今日から1週間、授業をせずイベントの準備をする。クラスごとに出し物を出して地域の人も呼ぶらしい。文化祭かよ…
クラスで話し合った結果。演劇したい派が謎に多かった。
-ワァ、メンドクセェ-
「ゔっ!」
僕の心を読んた海斗が肘打ちしてきた。溝内狙うんじゃねぇよこのやろう。
数日後
僕ら6人は、教室の端で座っていた。
演劇やりたい派が多かったから役者はあっさり決まり、うちのクラスは美術部が多かったから背景のセットが一瞬で完成し、僕らはやることがなくクラスメイトの練習を眺めていた………。
寝落ちしそうなとき零が耳打ちしてきた
(ちょっと海斗に声かけてくれない?)
一番端に零その隣に僕、海斗は反対の端に座っていた。
-えぇ~ねむいよぉ-
僕の心の声は読もうと思えば距離は関係ないらしく、学校にはスマホが持ち込めないから時々連絡役にさせられている。
(SSRのレアアイテム持ってr…)
-かいとくーん!、れなちゃんが呼んでるよぉ!-
(チョロいなこいつ。あとれな"ちゃん"やめい)
買い出しに行くらしく一人で行きたくないから海斗を誘ったらしい。
息吹は折り紙してるし、輝夜とアリナは空見てるし、ん?ヨダレたれてね??タヒんだかこいつら?
-お昼まで時間あるなぁ-
時計を見ながらそんなことを考え
「お?昌も折り紙するか!」
よし、寝よう
「あれ、おーいあきらー?」
2時間近く経った頃
そろそろお昼かと思って目を覚ますと同時にクラスで拍手が起こった。なにかと思って見てみるとクラスメイトの演技がとても良くクラス中が虜になっていたらしい。
-うわぁ見逃した、あんま興味ないけど-
「お?昌起きたかー、じゃ折り紙を…」
「昌くん、海斗くんと零さんが買い出しから戻って来ないんだ、」「あの…おりがみを…」「ちょっと見てきてくれないか〇〇店なんだけど」「おーい…?」
息吹の言葉を遮るように先生がやってきて僕は先生の問いに対して親指を立て教室をあとにした
-悪いな。あとで、大きな紙やるから許せ-
息吹が喜ぶ声が聞こえた気がする、そんな紙持ってないけど。
10分ほと歩いただろうか、そろそろ店が見えてくるはずなんだが……あ、いたいた
信号を挟んで向こうで2人が店から出てきた。
-おい、遅いぞ何してんだ-
僕がそう心で言うと、海斗が袋を指さしていた
-時間かかったの?-
ドン引きするくらい首を縦に振っていた
あいつ首に骨あんのか?
信号で渡らずに待っていると信号が青になったタイミングで二人が駆け出した。
-転べ転べ転べころb、ん?-
2人に対して怨念を飛ばしていると、やけに大きなエンジンの音と風を切る音が聞こえた。その方向に顔を向けると、軽トラが猛スピードで走っていた。
-⁈ とまれ!車が来てる!-
彼らに強く念じたが海斗たちは止まることなく走り続けてる。
-止めないと-
そう思っても声が出ない、だめだ、助けないと!
でも、体が動いてくれなかった。声もでず、体は動かず、何もできず、ただ彼らが車に轢かれるのを見ていた。
そこからはよく覚えていない。淡々と物事が進み、気づくと病院にいて。気づくと家にいて。また気づくと二人の墓の前にいた。
今日は土曜日。学校は門を開きイベントを行なっている。でも僕は彼らの墓の前で声が、涙が枯れてもお腹がすいても、日を跨いでも、声をあげて泣き続けた。
日曜の夜に家族が迎えに来て腕を掴まれ引きずられ車に入れられた。足に力が入らず抵抗ができなかった。
登校する時、信号待ちでふと左を見ると例の交差点が見えた。無意識に足を運び道路を眺めていた
反対の道路を見ると倒れる二人組の隣で、膝から崩れ落ちている少年が目に入った。
-あれは、数日前の僕ら?-
なんど見返してもあれは海斗と零と僕だった。
「おれさ、世界選手になりたかったんだよね」
「お母さんに料理褒めて欲しかったな」
距離があるのに海斗と零の声がハッキリ聞こえた
-幻覚?違う、これは、-
これは、確実に例の日の僕らだ。そして視界が暗転した。
知らない天井、体を起こすとそこは病室だった
看護師がやってきて僕を見た瞬間、血相を変えて走っていった。数分して医者がやってきて、色々説明してくれた。墓の帰りの車で眠りにつき、そのまま目覚めず病院で数日ねていたそうだ。医者がいなくなって空を眺めていると、どうしてもあの二人が頭に浮かぶ
でも、何も感じなかった………