幸せの時間
雨の日。滅多に歩かない道。その先で響くブレーキと金属がゆがむ鈍い音。不遇な出来事というものに慣れてしまったのか、驚くことなく足は進み、倒れてる少女に視線を向ける。数分の沈黙が流れ、出た言葉は
「君も…いなくなるんだね………」
2019年 4月25日
新学期が始まってしばらくたつ今日、まだ春だというのに強い日差しでつい目を閉じてしまう。風もないせいか夏かと思うほど暑く感じてしまった。僕のいるこの中学では、もうじき行われるイベントの話でいっぱいだ。そんな学校の窓際の席に座る俺、水瀬昌は空を眺め、考えに耽っていた。
「昌‼何してんだ行くぞ」
僕の背中をたたきながらそんなこと言うこいつは赤井海斗、幼馴染という奴だ。僕は何も言うことなく微笑みながら机から立ち上がり、彼に連れられて校舎を後にする。
校門に出ると二人の人影があった
「遅いよー!なにしてたの!」
強気な口調で言う少女はアリア
「どうせ晶くんが教室でボーッとしてたんでしょw」
嘲笑うように咲星零が会話に混ざる
アリアはカタカナで名前を書くのに外国人ではなく、さらに彼女は姓(苗字)がないという類をみない人だ。
「そーなんだよ、毎日何眺めてるんだかさー」
いや、君がアイス買ってくるから待っててって言ったんだろうが
「へーそーなんだ、で? もちろん私の分もあるんでしょうね?」
アイスを買いに行ったことを知ったアリアは海斗によりながら聞く
「買わなかったら文句言うだろおまえ」
「もちのろんよ」
海斗の皮肉に対して軽い返事をし
「晶んちでゲームしてこーぜ」
僕の家かぁ
「今日はまずいの」
零がまるで僕の心の声が聞こえてるかのように質問してくる。僕は基本しゃべらないが、彼らとなら会話ができている。表情を読んだと考える人もいるが、実際は本当に心が読めているのだ。
僕はコミュ症と言うやつで幼い頃から他人と話そうとすると声が出ないのだ。小学2年のころ、そんな僕が教室の隅で本を読んでいると、あるグループがマ◯クラの話をしていた。帰ったら僕もマ◯クラしようかなぁー、とか考えてかいると
「晶もマ◯クラやってんの?」
グループの中にいた海斗が不意に僕へ向けた質問に驚いて
「うん!やってる!」
と返そうと思ったけど、僕には声がない。これじゃあ彼に伝わらない。そう思っていると
「まじ?!じゃあさ俺らのワールドに晶もこいよ」
周りは一人で声を上げる海斗に不思議そうに見ていたが、僕はそんなの気にする余裕はなく、声がなくても会話ができる彼に心の底から喜んでいた。
それから彼のような人がいるのではないかと、昼休みに心の中で強く言葉を思いながら校舎をまわっていると
「ねえ!うるさいんだけど!」
教室のドアから二人の男女がこちらを睨んでいた
一人は高橋伊吹もう一人は風林輝夜だ。
それから零とアリナを見つけ僕らは一緒に行動するようになり、僕らは「願いの六星」と称した。今年でで中学2年になる。
僕の家には今日は厳しい父がいるということを伝え、後から輝夜と伊吹が合流したため、輝夜の家に行くことになった。輝夜の家は驚く余裕もないくらい大きく
「ほぁぁぁぁぁ……… 何度見てもでかいなぁー」
心配するほど上を見上げているアリナと海斗を横目に
- ところでなにするの?-
「勉強?」
多分彼女もなにをするか考えてなかったんだろう
「いやいや、学校終わってからも勉強したくないよ」
「じゃあみんなでマ◯オパーティしましょうか」
伊吹の言葉に対して、さっきとは真逆の返事が輝夜から帰ってきた。ん?マ〇オパーティー?
-コントローラー……たりる…?-
一同『あっ』 海斗&アリナ『くびがぁぁ』
終わってんなこのメンツ