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◆3 私は酷い目に遭ってきました。復讐の念は燃え盛る一方だったのです。

【第三話】


 本来、オドル王太子が新王に即位する儀式が、執り行われるはずでした。

 そんなハイプ王国王宮の謁見の間で、爆弾発言が投下されたのです。


 教皇庁特別調査官ジャイナが、ハイプ王国の人々にとって衝撃の事実を伝えたのです。


「たしかに、彼女、エミル嬢は、〈ニセモノの公爵令嬢〉と言って良いかもしれない。

 なぜなら、彼女こそが、プレシオ神聖皇国ペティ教皇のご息女、エミル第三皇女殿下だからだ!

 彼女、エミル嬢と結ばれた者が、ハイプ王国の新王に即位するーーそういう取り決めではないか。

 この国の人々は、何を勘違いされたか!」


 まさに爆弾発言でした。


 じつはハイプ王国は、各地に教会を置いているプレシオ神聖皇国の属国だったのです。

 そして、「神聖皇国の皇女と結婚しなければ、その者はハイプ王国の国王になれない」という取り決めがあったのでした。

 エミル嬢に贈られた三つの宝石は、彼女が神聖皇国の皇女である証であり、宝石の出所である「お母様のご実家」とは、じつは神聖皇国の皇室のことだったのでした。


 ハイプ王国は建国以来、プレシオ神聖皇国の属国でした。


 プレシオ神聖皇国の教皇は神に仕えるゆえ、子を成すことは奨励されつつも、家庭を持つことが許されません。

 子を成すと、あとは母の実家が育てるーーそういう仕組みでした。


 ところが、エミル嬢の母親とその親族が震災で犠牲となり、エミル嬢は父親のペティ教皇とその係累を除けば、天涯孤独となってしまったのです。

 そのため、忠義な侍女サラの夫婦が、エミル嬢を育てることを請け負いました。

 そして、ペティ教皇は、自分の娘の将来を鑑み、プレシオ神聖皇国が属国とする六つの王国のうちの一つ、ハイプ王国の王妃となれるよう、配慮したのです。


 六つの属国には、それぞれに神聖皇国教皇の子供が配され、王か王妃になるよう取り決められていたのでした。


 結果、ハイプ王国の国王夫妻は、エミル嬢を育てる侍女サラの夫婦をグレアノ公爵家として擁立し、エミル嬢を自分たちの息子であるオドル王太子と婚約させました。

 そのままオドル王太子がエミル嬢を娶れば、ハイプ王国の新王となる運びでした。


 ですが、それはあくまで、オドル王太子が、宗主国皇女のエミル嬢と結婚すれば、ハイプ王国の冠を戴くことができる、という取り決めでした。


 一方、忠義な侍女サラは、代理の母親となってエミル嬢を育て、やがて病気で夫を失い、ワイド国王からの要請もあって、レモン男爵家から新たに夫を迎えました。

 つまり、今は亡き「お母様」であるサラは、エミル嬢にとって、じつは実母ではなく、育ての親だったのです。

 そしてエミル嬢は、連れ子などではなく、「お母様」であるサラこそが、グレアノ公爵家の当主でした。

 したがって、レモン男爵家から横入りしてきた「お父様」には公爵の爵位はなく、そもそもプレシオ神聖皇国教皇ペティのご息女であるエミル嬢を追い払った時点で、グレアノ公爵家を名乗る資格すらなくなっていたのでした。



 そして、ジャイナ調査官に続いて、さらに参列者の席から立ち上がる男がいました。

 かつて、「エミル嬢の父親である」と名乗っていた中年男でした。

 髭面のオッサンは、親族席に座るグレアノ公爵家の面々に向けて、指をさします。


「俺はこちらのお嬢様ーーエミル嬢の父親でも何でもない。

 あそこで公爵夫人に収まっている、バール姉ちゃんの弟テックだ!」


 意気揚々と語る、テックの話によればーー。


 彼、テックの身分は平民で、王都の裏街道で酒場(バー)を経営しており、姉のバールは踊り子でした。

 やがて、姉のバールが、酔客の一人として来訪した、「お父様」グレアノ公爵と良い仲になって、その愛人に収まり、娘タマルを産みました。

 そして、そのまま日陰者の一生になると思っていましたが、グレアノ公爵の夫人(正確には当主)サラが亡くなったので、結果として、グレアノ公爵家に潜り込むことができたというのです。


 テックは得意げに鼻を鳴らしながら、暴露しました。


「そこで、姉ちゃんとその旦那が、俺に「エミル嬢の父親だ」と嘘をつかせて、自分の娘タマルを王太子の許に嫁がせようーーつまりは、グレアノ公爵令嬢の地位を乗っ取って、オドル王太子と婚約しようっていう陰謀を働いたんだ!」


「お父様」であるグレアノ公爵は青褪めて、親族席で崩れ落ちます。

 バール公爵夫人は激怒して、弟に向かって扇子を投げつけました。


「この馬鹿! みなさんがおられる前で、何を!」


 苛立つ姉に、弟はおどけます。


「何をって、なんだよ。事実じゃないか」


「どうして今頃になって、そんなふうに裏切るのよ!

 すべてがパーになっちゃうじゃないの!」


 非難ばかりの姉に対して、弟がついに反抗しました。


「姉ちゃんが、お金を俺に寄越さないからだ!

 なんだよ。

 自分は、グレアノ公爵家の資産を全部、乗っ取っていながら、俺には一年も遊んで暮らせばなくなっちまう程度のお金しかくれないからだよ!

 でも、残念だったな。

 ここにお嬢様から頂いた財産目録がある。

 グレアノ公爵家の財産はすべて俺のものだ!」


◇◇◇


 王宮において、新たに醜い姉弟喧嘩が始まったのには、理由がありました。


 弟テックが姉バールに反抗しやすいよう、事前に、エミル嬢が、焚き付けていたからでした。



 かつてエミル嬢は、修道院の応接室で、青年調査官ジャイナと協議しました。

 その結果、「エミル嬢の父親」を名乗り出たテックを、寝返らせることにしたのです。


 ジャイナ特別調査官が戸籍を調べで、テックが愛人バールの弟だと知れていました。

 それを明らかにするだけで、「お父様」の策謀を暴き、バールとテックの姉弟、さらには娘タマルまでを、王太子の近辺から追い払うことができます。

 結果、エミル嬢を、王太子の婚約者に据え戻すことは、簡単なことのようでした。


 名乗り出た父親こそがニセモノと知れれば、エミル嬢が「ニセモノの公爵令嬢」だという悪名はなくなり、王太子がエミル嬢との婚約を破棄する口実が失われるからです。

 しかも、正当なグレアノ公爵の家督相続者が「お父様」ではなく、エミル嬢本人だと表明するだけで、オドル王太子は慌ててエミル嬢を婚約者として迎えようとするでしょう。


 実際、ジャイナ調査官は、そうした解決策を彼女に提案しました。

 ところが、私、エミル公爵が、それでは納得できなかったのです。


 あんな軽率なオドル王太子の婚約者に戻りたいなどとは、まったく思えませんでした。

 それに、グレアノ公爵家を乗っ取った連中ーーバール、テックの姉弟と、義姉タマル、そしてお父様を、詐欺罪程度で罰したくはなかったのです。


 実際、本人の口から悪事を暴露してくれなければ、彼ら全員にシラを切られるだけかもしれないのです。

 この愛人姉弟が、グレアノ公爵家を乗っ取ろう、王太子を(たぶら)かそうとしていた事実ですら明らかにし難いし、なによりこのままではオドル王太子が被害者として無罪放免になるのが許せませんでした。


 私、エミルにしてみれば、オドル王太子が王位を継げないようにしないと気が済みません。

 そして、お母様を貶め、暖かい家族の想い出と、居場所を奪った、お父様とその愛人一家を、奈落の底に叩き込まないと、絶対に納得できなかったのです。


 それほど、私は酷い目に遭ってきました。

 復讐の念は燃え盛る一方だったのです。


「絶対、王太子殿下とあの義姉を、結婚させてやるんだから!」


 私、エミル公爵は目を爛々と輝かせました。


 オドル王太子は、私、皇女エミルと結婚しなければ、ハイプ王国の王位は継げません。

 そういう条件ですから、お望み通り、あの女、タマルと結婚させてしまえば、王太子は新王になれず、タマルは王妃になれないことになります。

 そう知ったとき、あのプライドの高いオドル王太子殿下が、タマルをどう扱うか、見ものです。


 ジャイナは、私の顔を覗き込むようにして確認しました。


「なるほど。

 オドル王太子に、取り返しがつかなくなった、と思い知らせてやるんですね。

 結婚してしまえば、もうエミル様に、元の鞘に収まってくれ、とは言えなくなるーー」


 私は、「それだけじゃないわ!」と言って、バン! と、自分が座るソファの肘掛けを叩きます。


「ーー義姉のタマルは、私から婚約者を横取りして勝ち誇るのでしょうけど、彼女が勝ち誇れば、勝ち誇るだけ、奈落へと落ちていくのよ。

 実際、あの殿下のことだもの。

 腹いせに剣を抜いて、タマルを叩き斬ったりして。

 でも、それって、最高じゃない!?

 ほんと、良い気味だわ!」


 ジャイナは「おお、こわ!」とおどけて、肩をすくめます。


「ふん。あの女だけは許せないから……!」


 私は、改めて、王太子が行う儀式において、自分がどう動けば、復讐を果たせるかを思案し、ジャイナにいろいろと注文しました。


 たとえば、テックが、姉のバールを、〈公爵家乗っ取り犯〉として告発するのにも、細かくタイミングを測るようお願いし、少なくとも、必ず、彼らの姉弟喧嘩は、王太子と義姉の結婚が成立した後にするよう、言い含めておきました。

 結果、ジャイナは、一般観衆の一人として式に参列する際、テックの隣に座って指示を出すことを、請け負ってくれました。


 それだけではありません。

 王太子の結婚式と即位式を執り仕切る最重要人物ーープレシオ教の司祭様にも、私、エミル嬢の意向を伝えて、従ってもらうように手配する、とジャイナは言ってくれたのです。


「任せてくださいよ。

 司祭様にも、貴女の計画に沿うよう、しっかりと伝えておきますから。

 じつは私、司祭様とは旧知の仲でね。

 同じ神学校の先輩と後輩なんだ。

 なに、心配要らない。

 あのヒトは、人一倍、教皇様を崇拝しているからね。

『教皇様の娘である、皇女エミル様のご意向だ!』

 と伝えるだけで、熱心に貴女の計画を実行してくれるでしょう。

 表向きには、真面目に式の進行を執り仕切る態度を取りつつも、貴女の頭上に王冠をちゃっかり載せてくれるでしょうよ」


 訊けば、司祭様はいまだ三十代ーー教皇様の信任厚い、新人司祭なのだそうです。


「てっきり、私に宝石を下さった老神父様が、私のために動いてくれるかと思ったのですけど……」


 そう言って、私は溜息をつきます。

 実際、私は、顔馴染みの神父の方が頼りやすく思えたのです。

 ところが、有能な神官であるジャイナは、ゆっくりと首を横に振りました。


「悪いが、あの老神父には引退してもらいます。

 優しいだけでは、貴女の復讐劇に加担仕切れない。

 悪女の泣き落としに、あっさりと引っかかるクチだよ、あのお爺さんは。

 実際、あの女子修道院を、あんな状態で放置していたんだ。

 毎週、ミサをたてておきながら、修道院長たちの腐敗に気付かないとは。

 監督不行き届きの責任ぐらい、とってもらわないと。

 ああ、ーーそれはそうと、貴女は式の当日、どうするんです?

 どのタイミングで、貴女は式に乱入するつもりなんだい?」


 私は、よほど感情が明け透けなタイプだから、黒幕として、いつまでも隠れているキャラとは思われないらしい。

 まあ、その見立ては、当たってるけど。


 私は背筋を伸ばして、胸を叩きました。


「王太子と義姉が、結婚の誓いをする直前に、突っ込んで行って、告発するつもりよ。

『その婚約者はニセモノです! 私は、この女どもに、すべてを奪われたのです!』って」


「あれ? 今まで言ってきたことと矛盾しない?」


 ジャイナは意外そうな顔をします。

 エミル嬢は、


「ぜひとも王太子と義姉タマルを結婚させて、即位式をパーにしてやる!」


 と、さっきまで息巻いていました。

 それなのに、婚前に異議を申し立てるとは!

 ヘタをすれば、騒ぎになって、婚儀が取りやめになりかねません。

 そのようにジャイナは指摘しましたが、私、エミルは指を一本立てて言いました。


「〈最後の警告〉ってやつよ。

 もし私の告発を真面目に取り上げて、改心し、婚儀を中断するのなら、ある程度は許してあげるわよ。

 もちろん、私は、王太子とは絶対に結婚しないから、オドルのやつに王位は継がせないけど、幼馴染の元婚約者として、交際をゼロからやり直してあげてもいいわ。

 婚約者としてではなく、単なるお友達として、ね」


 私の返答を聞いて、ジャイナは手を叩いて、肩を揺らせました。


「はっははは!

 皇女殿下、それは『警告』というよりも、『煽り』というべきですね。

 でも、ご心配には及びませんよ。

 どうせ貴女がどんな言葉で『警告』を発しようと、〈結婚しようとする二人の仲を、邪魔立てする闖入者〉として、貴女が、衛兵にとっ捕まるだけでしょうよ、きっと」


 私は頬を膨らませます。


(なによ。

 私だって、そう思ってるけど、「煽り」とまで言わなくたって、良いんじゃない?)


 そう思ったけど、私の〈最後の警告〉を無視すれば、結果は決まっている。

 私は大きな声で言い捨てた。


「そうね。

 でも、そうなれば、王統が絶えるだけだから。

 私、知らないし!」


 こうして、私は入念に計画を立てて、仲間割れを誘いつつ、騙すことを考えたのです。

 オドル王太子やお父様、そして義母、義姉といった、陰謀を働いた者どもに復讐するためにーー。


◇◇◇


 私、エミルと特別調査官ジャイナとで、春の式典を舞台にした復讐劇を計画してから、数日後ーー。


 私、エミル公爵は、ジャイナ調査官を介して、女子修道院にまでテックを呼びつけると、一枚の紙を差し出しました。


「私の父親を名乗る人が現れたら、これを渡すようにと、お母様から言われていました」


 と言いながら。

 バーのマスターは、手慣れた手付きで書類を受け取り、目を通しました。


「こいつは……」


 と(つぶや)くので、すかさず答えました。


「グレアノ公爵家の財産目録と権利書です」


 テックは驚きました。


「お、お嬢さんは、中身を知ってんのか?」


「もちろんです」


「ーーふむう。

 でも、こいつでわかったことがある。

 知ってるかい、お嬢さん。

 姉ちゃんの旦那ーーお嬢さんのお父様は、グレアノ公爵って名乗ってるけど、全財産、名義はお嬢さんの名前ーーエミルになってるぜ。

 つまり、お嬢さんこそがグレアノ公爵様ってわけだ。

 はっははは、笑っちゃうぜ。

 お嬢さんのお母さんーーいや、養母ってなってるがーーそのヒトが亡くなったら、全部、アンタのモノってなってる。

 でも、ホンモノなのかい、この目録?

 いったい、どうして、こんなものがーー」


 目録に目を通しながら唸るテックに、ジャイナ調査官が指を立てて説明しました。


「王国貴族の財産記録は、三通保存される。

 一つは、当の貴族家、二つ目は王家。

 そして、三つ目が、その王家の後見人である神聖皇国の教皇庁が管理しているのだ。

 もっとも、実質的には教皇庁の指示で、それぞれの国にある教会が管理を行っているのだがね。

 これは、教会が保存している記録なのだ」


 紙を握り締めて、テックは窺うような目付きになりました。

 どうして、こんな事実を自分に明かすのかーーわからないので、警戒を解きません。


「勝手に持ち出して、いいのかよ?」


 ジャイナは当然、とばかりに頷きます。


「ああ。私にはその権限はある。

 私は教皇庁調査部に所属する調査官なんだ。

 こちらのエミル様の近況報告が途絶えてしまっていたから、現状を調べるよう、教皇ペティ様から仰せつかって、私は派遣されてきたんだ」


「だったら、姉ちゃんはーー」


「グレアノ公爵を捕まえて公爵夫人に収まったつもりになってるが、残念ながら、あの男に爵位もなければ、財産もない。

 みんな、このお嬢様、エミル嬢のものだ。

 それを承知であの男は、この目録や財産記録を握り潰して、主人面しているのだろう。

 アンタたち姉弟は、公爵を自称する男に騙されているんだ」


 ジャイナ調査官は、少々、カマをかけた物言いをしました。

 が、幸いにも、テックの方は、さらに姉に対して、疑い深くなっていました。


「いや。違うな。姉ちゃんは騙されてねえよ。

 正確に言えば、俺だけが騙されてたんだ。

 だって、姉ちゃんは、

『公爵家にある先妻の持ち物は、宝飾品から権利書まで、すべておさえた』

 って言っていた。

 そして、『王太子から、相続する了承を得た』と」


「ほう」


「つまり、姉ちゃんは、これだけの財産を手に入れることができるって思ってた。

 なのに俺はわずかな金で雇われて、やばい橋を渡らされてたーー」


 ジャイナ神官は意を得たりとばかりに、テックに身を寄せ、耳元で囁きます。


「私の調べでは、お姉さんは暗殺者も雇っていたみたいですよ。

 貴方がエミル嬢のお父上でないことは、すぐに露見します。

 現に私は、すぐに調査できましたから。

 ならば、あなたのお姉さんとその旦那なら、きっとこう考えるでしょう。

 いっそ、エミル嬢と一緒に、テックもひと思いにーーと」


 テックは両手で我が身を抱えて、ブルっと震えます。


 ここでもう一押しです。

 今度は、私、エミルが、テックの耳元に近づき、言い添えました。


「ですが、ここに大逆転の目がございます。

 私は、お父様とあなたのお姉さまが憎い。

 ですから、たとえ一銭であっても、財産を渡したくはないのです。

 正直、私はあなたを存じあげません。

 ですが、お母様から言われてきたのです。

『父親と名乗る者が現れたら、全財産を譲って欲しい』と。

 これは、私が〈お母様〉と信じていた方の遺言ですから、従うつもりです。

 ですが、現在、公爵を名乗るニセモノ夫婦が、財産を相続したと言い張り、王太子を丸め込もうとしているのですーー」


 私の発言を受け、テックのオッサンは、少し肩をすくめたあと、断言したのです。


「わかったよ。

 奴らーー姉ちゃんと旦那なんかに、財産は渡さねえ。

 俺を『お嬢さんの父親だ』って名乗らせたのが、運の尽きだ。

 この財産、全部、俺のもんにしてやる。

 あの豪奢なお屋敷から出て行くのは、姉ちゃんたちだ!」と。


 私、エミルと、調査官ジャイナが、心中でガッツポーズをとったのは、言うまでもありませんでした。


◇◇◇


 かくして、謁見の間において、テックは意気揚々と言い放つに至ったのでした。


「出て行け!

 あのお屋敷も、財産も全部、俺のもんだ!」と。


 当然、姉のバールは、こめかみに青筋を立てて激怒しました。


「何言ってんの!

 アンタが私の弟だってのを暴露しちゃったら、この女の父親でないこともバレるから、相続権なんか、これぽっちもなくなるんだから!」


 それでも、テックは鼻で笑います。


「へん! 知ってるぜ。

 相続権もなにも、姉ちゃんたちには、もとよりありはしねえんだ。

 そこにいる、姉ちゃんの旦那は一文無しだ。

 公爵の爵位も、財産も、じつはみんな、エミルのお嬢さんのものなんだ。

 そして、このお嬢さんが俺に譲り渡すってよ。

 公爵家の全財産を。なあ!」


 エミル嬢は声をかけられ、自分の父親だと偽称した男に向けて、ニッコリ微笑みます。


「ええ。そのように約束しました。

 ですが、ご存知でしょうか?

 そもそも『犯罪者には、相続権も、贈与にまつわる権利も与えられない』ということを。

 しかも、貴族の財産を横取りしようと詐欺を働いた平民は、死罪になるんですよ」


 ここで、ジャイナが、衛兵に向かって指示を出しました。


「教皇庁調査官として命じます。

 エミル嬢から、公爵家財産の横領を企んだ者として、以下の人物の捕縛をお願いします。

 まず、グレアノ公爵を自称する男、及び、その愛人バールとその娘タマル、さらには愛人の弟テックーーこれらを一網打尽に捕らえるのだ!」


 衛兵に襲い掛かられながら、テックは絶叫しました。


「ちくしょう、騙したな!」


 後ろ手に縛られる弟の姿を見て、姉のバールは夫に目を向けます。


「貴方! なんとか言ってよ!」


 夫の偽グレアノ公爵は、妻に掴みかけられ身体を激しく揺らされても、茫然自失のままでした。


 一方、衛兵に捕えられたタマルは、泣きながらオドル王太子に縋り付いていました。


「お助けください、王太子殿下!

 殿下〜〜!」


 グレアノ公爵家一味はみな、謁見の間から、衛兵によって引きずり出されてしまったのです。


 壇上に居残っているのは、へたり込んだワイド王と、昏倒したレーン王妃、そして、ことの成り行きを呆然と見送るばかりだったオドル王太子殿下のみーー。


 周囲からの視線が、王太子へと突き刺さります。

 特に、調査官ジャイナと、エミル嬢からの、冷たい眼差しが、痛い。


 オドル王太子は、喉を震わせました。


「お、俺も騙されてたのだ。

 はは……まさか、教会の権力がそこまで強いとはーー道理で、父王も司祭様に頭が上がらなかったわけだ。

 ーーわかった。わかったよ。

 元通りだ。

 詐欺を働いた公爵の一味は去った。

 あとは、俺とエミル嬢が結婚するまでだ」


 ところが、司祭様は首を横に振ります。


「オドル殿下はタマル嬢とーー詐欺師の娘と、結婚したではありませんか。

 神前で、たしかに誓いましたぞ」


「そんなの、ノーカンだろ!?

 な、騙されたんだよ、俺も!」


 オドル王太子は、私、エミル嬢に縋り付きます。

 が、私は王太子の頬を、バシン! と、思い切り平手打ちしました。


「お断りです。

 貴方に王位は相応しくありません!」


 私の態度を見て、調査官ジャイナは声をあげました。


「エミル皇女殿下が、オドル王太子を拒否なされた。

 結果、オドル王太子は王位継承権を喪失し、ハイプ王国の現王統は正式に途絶えた。

 さあ、証となる宝石をこれへ!」


 司祭様が宝石をジャイナに渡し、ジャイナが、私、エミル嬢の許にもたらします。

 すると、三つの宝石が光り、次いで、私の頭上に戴く王冠が、キラキラと輝きました。


 おおおお!


 参列者や観衆から、盛大な歓声があがりました。


「なんと、美しい!」


「夜空に煌めく星々のようだ!」


 みなが見惚れる中、司祭様が改めて宣言しました。


「これぞハイプ国王陛下の証!

 今現在、光り輝く王冠を頭上に戴く者は、エミル皇女殿下ご本人。

 したがって、プレシオ神聖皇国が認める、ハイプ王国の王位を継いだお方は、エミル皇女殿下でございます!」


 わあああ、と歓声が起こり、割れんばかりの拍手が湧き起こりました。


 壇上にあって、私、エミル嬢は照れて、顔が真っ赤になりました。

 つい最近まで、実家から追い出され、ニセモノ令嬢扱いになって婚約を破棄され、逆さ吊りにされていたのが、信じられません。


 ジャイナが、そっと私の背中を押します。


「さあ、貴女の国になったのですよ。

 お好きになさってください」


「はいッ!」


 私、エミル嬢は威勢よく返事をして、胸を張りました。



【エピローグ】


「ニセモノ令嬢」と(さげす)まれていた、エミル・グレアノ公爵令嬢が、じつは正当な公爵家当主であったばかりか、宗主国の神聖皇国第三皇女と判明し、自ら王冠を戴いて、ハイプ王国の女王となりました。


 その結果、様々な変化が巻き起こりました。


 まず、筆頭公爵家であったグレアノ公爵家は、エミル皇女を追い出した罪で、お取り潰しとなりました。

 その判決を聞く前に、グレアノ公爵を自称していた「お父様」は、短刀で喉を突き刺し、自害しました。

 遺書には一言、「ほんとうに寂しかったんだ」と書かれてありましたが、遺族のエミル女王は「哀れなヒトね……」とつぶやいて、破り捨てました。

 こっちは死にそうな目に遭ったというのに、死に際してまで同情を惹こうとする態度に呆れてしまったのです。仮にも養い親だったというのに、信じられない変心でした。


 そして、グレアノ公爵家の財産を横取りしようと詐欺を働いたとして、愛人バールとその弟テックは死罪となりました。



 元々のハイプ王家については、オドル王太子が相続権を失ったので、王統は断絶。

 貴族家としての存続は許されましたが、オドル王太子は島流しとなりました。今後五十年に渡っての遠島を申し付けられたのです。


 もっとも、当初、オドル王太子に対しては、同情論もありました。

 王太子は、グレアノ公爵家連中に騙された被害者で、島流しでは刑罰が重すぎる、と。

 なによりオドル本人がそう主張していましたし、ハイプ王国が神聖皇国の属国だと知らなかった貴族や国民からすると、公爵令嬢だったエミル嬢が急に女王になるといっても納得し難く、女性が最高権力者になることに抵抗がある者も多くいました。

 さらに言えば、もともと「次代を担う有望な人材」と看做されていたオドル王太子を支持する国民も多かったのです。


 ところが、王宮勤めの侍女から、


「オドル王太子が、バールとタマルの母娘を王宮に呼びつけ、母娘ともに寝室に招き入れて、朝まで過ごした」


 と暴露され、一大スキャンダルに発展してからは、支持する声は聞かれなくなりました。

 さらにその後、次々に貴族女性や侍女たちから、オドル王太子によって性被害に遭ったという告発が相次ぎ、オドル王太子の人気は凋落したのです。

 その結果、オドルが遠島処分になることに反対する者は誰もいなくなってしまいました。


 一方、息子が王位を継げなくなって、ワイド王とリーン王妃の国王夫妻は、ひどく落胆しました。

 ですが、オドルがおこなった数々の醜聞を耳にして、改めて、息子の育て方が悪かった、と反省したのでした。

 そもそも、エミル嬢の正体が宗主国の神聖皇国の皇女であり、彼女と結婚しなければ王になれない、とキツく言い渡しておくべきだった、とも反省しました。

 ですが、ハイプ王家は七代以上も、当たり前に婚約者と結婚していたので、「相手を婚約破棄したら、王位が継げなくなる」という規定自体をほとんど失念しており、オドル王太子が、実際にエミル嬢に婚約破棄を宣言したあとに、国王夫妻も事の重大さを思い出したほどだったのです。

 特に、レーン王妃は、元は神聖皇国の皇女だったので、王位継承における結婚の意味を息子に忠告しなかったことを激しく後悔したようです。

 が、すべては後の祭りでした。


 もとよりハイプ王国では、王の権威を高めるため、王国が神聖皇国の属国であることは、王族しか知らない秘匿事項にしていましたし、エミル嬢が皇女であることを秘密にすることは、養母サラの意向でもありました。

 でも、そのことが、事件を大きくした原因でした。


 もっとも、サラは結婚を機に、エミルに皇女であることを伝えるつもりでしたが、自分が母親として慕われている喜びを捨て難く思っているうちに、死亡してしまい、伝え損なってしまったのです。


 かたや、ワイド王の方は、曰く付きの皇女エミルの父親役として、弱小男爵家の次男といった小物を当てがったのが失敗だったと、ほぞを噛む思いになっていました。

 ワイド王にしてみれば、息子オドルのための配慮をしたつもりでした。

 ただでさえ皇女相手の結婚で頭が上がりにくくなるうえに、王妃の親類に力を持たれて、政治に口出しされたくはなかろう、と(おもんぱか)ったのです。

 ですから、「お父様」のような、寂しがり屋の、男爵家次男に白羽の矢を立ててしまったのです。

 ですが、それが愚かな気遣いとなってしまいました。

 まさか、あの臆病者が、サラ公爵に隠れて愛人を作るとは!

 自分は入婿で、爵位を持たないことを知りながらーーいや、知っているからこそ、妻亡き後に、すべてを奪おうとしたのかもしれません。

 そういった小物ならではの欲望を見抜けなかったことが、国王として悔やまれてなりませんでした。


 でも、そんな駄目な父親役であっても、唯一、マシなところもありました。

 エミル嬢を殺せる機会はいくらでもあったでしょうに、暗殺を仕掛けないでいてくれたことが、せめてもの救いでした。

 もし仮に「お父様」が、娘であるエミル嬢を殺しでもしたら、宗主国の神聖皇国のみならず、残りの五つの属国までもが、軍隊を派遣して攻め入ってきたことでしょう。

「皇女暗殺」ともなれば、ハイプ王国の領土を切り分ける絶好の口実になっていたに違いありません。


 ですから、あの踊り子の娘さえいなければーーあのタマルとかいう女が、皇女エミルから婚約者を取って代わろうとさえしなければ、オドルは転落しなくて済んだと思えてなりません。

 あの女が、皇女エミルを迫害し、母親バールと一緒になって、オドルを(たぶら)かしたのだ。

 あの淫乱女さえ、いなければーー。


 と、ワイド王のみならず、レーン王妃も思えてなりませんでした。


 こうして、国王夫妻の怒りの感情は、王妃になり損ねたタマルに向けられたのです。


 結果、〈王家に対して謀叛を働いた悪女〉としてタマルは断罪され、死刑となりました。

 絞首台に昇るまで、「義妹ばっかり、ズルい!」と泣き喚きまくっていたといいます。



 また、旧グレアノ公爵領にある女子修道院も、解散となりました。

 貧窮者や弱者を救済するという、本来の目的を見失っていたためです。

 そして、ザラブ修道院長のほか、大勢の修道女たちは縛り首で処刑されました。

 プレシオ教の博愛の教義に反し、しかも皇女であるエミル嬢を虐待し、逆さ吊りにして、凍死寸前にまで追い込んだ罪は重かったのです。

 彼女たちは、石塔で長らく謹慎となった後、慌てて懺悔し、泣き喚きましたが、教団上層部に弁明が聞き届けられることはありませんでした。

 



 そして、現在ーー。


 私、エミルは、ハイプ王国の女王として玉座にあり、忙しい日々を過ごしています。


 じつは自国が神聖皇国の属国であると知らされた、ハイプ王国の人々は、もちろん初めは抵抗がありました。

 加えて、「ニセモノ令嬢」とすら陰口を叩かれていたエミル嬢が、今度は、女王陛下として君臨するようになったということにも、いきなり過ぎて戸惑っていました。


 でも、エミル女王が任命した宰相とその配下が優秀で、善政を布いたので、国民の間では、特に不満は起きませんでした。

 他の五カ国の属国仲間との交易を盛んにして、民間の経済力を上層社会にまで積極的に取り込んでいく政策がうまくいっており、もとよりハイプの国民は、神聖皇国教皇を頂点とするプレシオ教の信者ばかりでしたので、エミル女王陛下による統治を次第に受け入れていったのです。


 これからは神聖皇国との繋がりを隠す必要もなくなったので、エミル女王は即位の報告を兼ねてプレシオ神聖皇国へと出向き、真の父親である教皇ペティと、初めて対面しました。

 真の「お父様」である教皇様は、ロマンスグレーの優しげなおじさんでした。


 面会した際、エミル嬢は父親に向かって、


「せっかく子供が出来ても、家庭が持てないのでは、お寂しくはありませんか?」


 と問うたら、教皇でもある父は胸を張って答えました。


「教皇たる私にとっては、信者すべてが子供のようなもの。

 信者にとっては、私が魂の父なのだ。

 そして父親というものは、慈しまれる存在ではない。

 家族すべてを慈しむ側の存在なのだ。

 私は、おのれの職務に誇りを持っている。

 だが、幼い娘であったエミルには、随分と哀しい想いをさせた。

 ほんとうに、済まなかった。

 逢えて嬉しいよ」


 そう言って、真の「お父様」は私を力強く抱き締めてくれました。

 私、エミルの目に、自然と涙があふれてきました。

 あの、グレアノ公爵を名乗っていた、寂しがり屋の「お父様」と比べて、なんという器の大きさの違いでしょうか。


 エミル女王は、このように、父親との初会合を済ませたあと、他の五カ国に散らばった兄妹たちーー各国の国王や王妃などにも対面し、親交を暖めました。


 国に帰ると、養母であった「お母様」サラ公爵のお墓参りを済ませたあと、留守を任せた青年調査官ーー今現在は宰相となったジャイナと、今後の政務の打ち合わせをします。


 色々と行事や何やらと、面倒臭いです。

 ですから、「国王の地位を、ジャイナにくれてやろうか」と何度、思ったかしれません。

 ですが、躊躇もしていました。


「どうしてですか?」


 とジャイナ宰相から尋ねられたので、私は答えました。


「だって、宰相のお仕事の方が大変そうなうえに、貴方を国王にしたあと、誰に宰相職を任せたら良いのか、わからないのです。

 私は社交的ではありませんでしたから、もとより知己が少ないのです」


 すると、ジャイナは、からかうような口調になりました。


「おや。てっきり恥じらっておいでかと思ったら、本当にそんな素っ気ない理由でしたか」


「恥じらうって、どうして?」


「だって、私を国王に据えるということは、貴女が私と結婚するってことですよ。

 それが神聖皇国の属国の定めですから」


 私は顔を真っ赤にして、口ごもります。


「失念していました……」と。


 それでも、ジャイナは、おどけるのをやめません。


「ああ、それは残念。

 でも、これぐらいはお許しください」


 ジャイナは、私、エミル女王の頬に、そっとキスをしました。


「王国にも人材はおりますから、いずれ宰相を担える者も出てきます。

 それまではーー。

 ただし、私も楽をしたいので、王女として貴女が在位したままで結構ですよ。

 私は王配にでもなって、気儘に過ごしたいものです」


「意地悪ですね。

 貴方は当分、宰相職に縛り付けておきます」


 そう言って、私、エミル女王陛下は、頬を膨らませます。


 こうして、幸せな日々が続いていくのでした。

【あとがき】


 最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

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 今後の創作活動の励みになります。


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『私、ミレーユ伯爵令嬢は、王家の毒見役の家に生まれ、修行に明け暮れましたが、ボンクラ弟に家督を奪われました。なので、両親に謀叛の嫌疑をかけて、毒見役を放棄!結果、王家で死者が続出しましたが、それが何か?』

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『芸術発表会に選ばれた私、伯爵令嬢パトリシアと、才気溢れる令嬢たちは、王子様の婚約者候補と告げられました。ところが、王妃の弟のクズオヤジの生贄にされただけでした。許せません!企んだ王妃たちに復讐を!』

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『公爵令嬢フラワーは弟嫁を許さないーー弟嫁の陰謀によって、私は虐待を受け、濡れ衣を着せられて王子様との結婚を乗っ取られ、ついには弟嫁の実家の養女にまで身分堕ち! 酷すぎます。家族諸共、許せません!』

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『死んだと思った? 残念ですね。私、公爵令嬢ミリアは、婚約者だった王太子と裏切り者の侍女の結婚式に参列いたします。ーー私を馬車から突き落とし、宝石欲しさに指ごと奪い、森に置き去りにした者どもに復讐を!』

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『元伯爵夫人タリアの激烈なる復讐ーー優しい領主様に請われて結婚したのに、義母の陰謀によって暴漢に襲われ、娼館にまで売られてしまうだなんて、あんまりです! お義母様もろとも、伯爵家など滅び去るが良いわ!』

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『美しい姉妹と〈三つ眼の聖女〉ーー妹に王子を取られ、私は簀巻きにされて穴に捨てられました。いくら、病気になったからって酷くありません? 聖なる力を思い知れ!』

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『イケメン王子の許嫁(候補)が、ことごとく悪役令嬢と噂されるようになってしまう件』

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『噂の《勇者を生み出した魔道具店》が潰れそうなんだってよ。そしたら勇者がやって来て……』

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