1章−2
「何回やっても痛ぇもんは痛ぇな…」
ぼやきながら、男は歩く
数秒前まで倒れていたその男は喉に手を触れる。そこに傷や痛みはない
「もっといいやり方探すか?でも死ぬ練習なんかしたくねぇよなぁ…」
男の名は 岡山 流星
東京に住む20歳の大学生である
ただし、それは現実世界の話でーーー
[あ!リューウーくーーん!!]
流星もとい、リュウは声のする方に顔を向けると、大きな剣を背中に担いだ、超ナイスバディなお姉さんが大きく手を振りながら走ってくる
もう一度言おう
『超ナイスバディ』なお姉さんが大きく手を振りながら走ってくる
そう、揺れている
純情な若き男は2つの揺れるものから目を離すことができなかった
まあ、離すつもりもないのだが
「会いたかったよー♡」
そう言い、走る勢いを殺さずリュウに抱きつく
そのため、リュウは背中から思い切り倒れる
「毎回ぶっ倒れるのしんどいからそれやめてくんない?」
「えー?嬉しいくせに♡」
「………」
否定できない
しんどいのは本当だが、抱きつかれる喜びが勝ってしまう
男の子だもんね仕方ないね
「じゃ、感動の再開もしたことだし、行こっか♡」
彼女の名はシオン
この世界、つまりリュウからみて〈異〉世界『ミディール』の住人だ
「何が感動の再開だ。1日元の世界に戻っただけだろ。」
これは、現実世界と異世界を行き来できるリュウの人生の物語である