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1章−1
「今日はどこにするか…」
真っ暗な路地裏、その平坦な男の声だけが聞こえてくる。
「考えるのも面倒になってきたな」
男は小さく溜息を吐き、パーカーのポケットから小さなナイフを取り出した
「もう、ここでいいか…」
男は数秒、刃を見続け…
喉に突き刺した
男は酷くもがき、苦しむ
吐息のような声にならない声だけが男自身の耳に響く
(これで、また…)
男は苦しみながらも微笑み、やがて……
眩い光とともに死体は消える
辺りは再び暗闇に包まれる
男など最初からいなかったかのように