もう一つの声
まず状況を整理しよう。
1、私は学校の下校中、六花と異世界について語ってた。
2、なんかよく分かんない風に襲われた。
3、とっても気持ちの良い空間で寝ていた。
4、目覚めたら森の中。
5、エントーラ発見。
で、今に至ると。
「あぁ、こりゃダメだ。私、本気で狂ったのかも……」
だってさ!意味わかんないでしょ!?下校中だったんです!まだ完結してない本もあったんだよ!?
……お母さん……今日、夜ごはんハンバーグって……。お父さんだって、今日、一緒にゲームしようって……。
なんともない暖かな日常、家族。
私は今日、その大切なものを失いました。
***
(……これからどうしよう)
完全に開き直った私は、これからのことを考えることにした。
……過去は変えられないから。
―――――サミシイ?
「っ!?誰?」
誰もいない。でも、今度は水晶からではない、別の声。
(……あなたは、誰?)
―――――ワタシ、ハ……アナタ、ヲ、ミマモル、モノ……
(見守る、者?……私を?)
―――――ソ、ウ……ネェ、サミシイ……?
(うん……。そうかもしれない。でも、此処は私の世界じゃない。それに、六花だって……一緒に……)
私は思わず泣きそうになった。たとえ夢見た魔法の世界でも、いざ来てみると、とても寂しい。
そんなことは、分かっていたはずなのに……。
―――――ダッタラ、トリモドセバイイ……
(どうやって?)
―――――カギ、ヲ、ミツケ、テ―――――
声はそこで途切れた。まるで、時間が来たとばかりに。
なんだったんだろう……。
「うん!よく分かんなかったけど、まぁ、なんとかなるっしょ!」
自分で言うのも何だけど、私、意外と立ち直り早い方だと思う。うん。
少女は、超ポジティブ思考だった。……故に人は、この少女のことを『ポジティブモンスター』と呼ぶ。




