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27 ルイ


「わあ、ステータスが出ました!レベルだけ見ると低いほうだと思うんですが、中央値ってどれぐらいになるんでしょう?」


「中央値は割り出すのは難しいな。商人や農家ともなるとレベルが低いし、冒険者ともなればレベルが低い奴から高い奴までピンキリだからな。ただ、新人冒険者はレベル10ぐらいから、と聞くが…」


ともすれば、私は新人冒険者にも慣れないレベルという事か。

まぁ確かにこの世界にきてモンスターと対峙して倒せたことなんて一度もないので、逆に戦いもなくレベル7なのは喜ぶべきことなのかもしれない。


「それじゃあ次に俺のステータスを視てくれ。」


「はい、ステータスオープン!」


視線をルイさんに向けて先ほどと同じように唱えると、同じようにステータスが記された小窓が現れる。ただし、中身は私のものではなくルイさんのものに切り替わっており、羅列された文字の多さや数値に私は驚くことになる。


---------------

名前:ルイ

年齢:??

職業:勇者 Lv256


HP:37,560(+1000)

MP:8,682(+1000)


■基本能力値

物理攻撃力:7,827(+1000)

物理防御力:3,756(+1000)

魔法攻撃力:5,208(+1000)

魔法防御力:2,911(+1000)

行動俊敏性:1,511(+1000)

  器用さ:99

   幸運:99


■所持スキル

・勇者Lv-

・韋駄天Lv-

・剛勇無双Lv-

・治癒Lv-

・神通力Lv-

・鑑定Lv-

・おもてなしLv-

・筋力強化Lv10

・持久力強化Lv10

・体力強化Lv10

・魔力強化Lv10

・近接攻撃Lv10

・両手剣修練Lv10

・片手剣修練Lv10

・短剣修練Lv10

・魔術修練Lv10

・物理攻撃耐性Lv10

・魔法攻撃耐性Lv10

・状態異常耐性Lv10

・属性強化Lv10

・天属性Lv10

・回避率向上Lv10

・俊敏性向上Lv10


■加護

・熾天使の眼差し

・天属性耐性

・守りの加護


---------------


なんだこれ。

なんなんだこれ。

私とはあまりにかけ離れた数値に瞬きを繰り返す。


「な、なんなんですかこの数値は……」


インフレしすぎではないか。スキルにあるおもてなしが気になるところだが、それにしたってスキルの量もしかり、能力値しかり、レベルしかり、とにかく異常な数値だ。職業を見るに彼は勇者らしいが、勇者ともなればこれくらいの数値は当たり前なのだろうか。


「こ…これって………」


「数値は気にしなくて構わない。」


そんな無茶な。


「いま見てほしいのは数値の横の…括弧内にある数値だ。」


ルイさんは基本能力値欄の数値のお尻にある括弧を指さすと、そこには+1000という文字が並んでいる。


「プラス1000とありますけど、これは?」


「恐らくこれは黄金蜜により増強された力だろうな。」


「えぇ……。」


少量でこれなら黄金蜜を使い切ったらどうなるんだろう。

追加の数値を括弧内に閉じて、元の数値に足していないあたり時間経過で効果が切れそうだが、それにしたって随分と高い数値だ。一般的な回復薬、いやグレードの高い回復薬や増強剤でもここまで数値が上がることはない。


改めて黄金蜜の凄さとやらに驚きながらも意識がステータスから外れると、ステータスがふっと目の前から消える。なるほど、意識の有無で表示継続と非表示が出来るのは有難い仕組みだ。


「ちなみに森でも話したが観察する者はステータスを視るだけではなく、アーティファクトの解除もできる。これでやってみろ。」


何度かステータスの表示・非表示を繰り返していると、ルイさんは説明を加えて懐から小さな小箱――それもリングケースみたいに小さな小箱を取り出せば、希少であろうそれを迷いもなく私に向けて差し出した。

彼はなぜそう迷いもなく私にアーティファクトを差し出せるのだろう。超・希少な古代アイテムであれば、間違いなく価値は高いはず。私は闘いに参戦しないからアーティファクトを見たところで奪おうなんて気持ちにはならないが、人が悪ければそのまま奪って逃走だってしただろうに。


「え、えぇ…そんな悪いですよ、だってアーティファクトって貴重なんじゃ…」


当然わたしはそれを易々と受け取れずに、私は両手を前に出して拒否を示したが、ルイさんは吐息を零すようにふ、と笑うと


「構わない。同――」



「ワォンッ!」



「――のよしみだ」


ルイさんの言葉を遮るようにリュウが唐突に鳴く。どうやら水を飲み終えたという報告らしく、足元にやってきたリュウを屈んで撫でるとリュウは満足そうにふんすを鼻を鳴らす。そういえば、ルイさんの言葉がリュウの言葉で遮られたが、一体何を言おうと思ったのだろう。


同なんたらのよしみ。ううん。言葉の組み合わせを考えると同業のよしみ、が正しい気がする。確かに、森から離れる前に黒狼とポポルゴの解体を手伝ってくれたが、彼の手つきは随分と手慣れていた。部位についての説明だけではなく、何をどうすれば美味いという説明も細かに教えてくれたし。


なんてことだ。

同業なのに勇者をやっている人がいるだなんて。

気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


※とても励みになります…!

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