39 それぞれの思惑
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大浴場で洗いっこをした後、俺たちは部屋に戻ってきた。
明日以降の護衛もあるし、あとは休むだけ……
「ねぇ、ユーリ。今日も……する?」
「もちろんするわよね?」
「わたくしも、ユーリ様と愛しあいたいですわ」
……とは、当然いかない。
テッサ姉たちは先ほどの洗いっこですっかりその気になってしまったようで、いっしょに寝ている俺にそんな甘い言葉をささやいてくる。
もちろん、俺もそれに否やはない。
というのも、寝取られハーレムルートでは俺と3人の好感度が関係してくるからだ。
寝取られハーレムルートの寝取りキャラは【槍の勇者】だ。
【槍の勇者】とはいつかは合流しないといけないのだが、出会ったその瞬間から【槍の勇者】は3人のことを気に入って言い寄ってくる。
ただ、言い寄られたからってすぐにヒロインたちは寝取られたりはしない。
寝取られに至るまでにはいくつかのイベントが発生する必要がある。
そのイベントが起きると、俺への好感度――より正確に言うならば俺への好感度が【槍の勇者】への好感度よりも一定以上高いか否かによって寝取られが進行するかどうかが決まる。
イベントが起きても俺への好感度が高ければテッサ姉たちは【槍の勇者】になびかない。
しかし、もし好感度の差が小さくて進行した場合、少しずつ【槍の勇者】と関係を持つようになる。
最初は強引に押し切られたり、何らかのやむを得ない事情があったりしてエッチなことをしていたのが、だんだんと【槍の勇者】を求めるようになっていくのだ。
そうしてイベントを繰り返していく度に体も心も【槍の勇者】のものになり、最終的には3人の体に浮かんでいた剣の紋章は形を変える。
……槍を模した形に。
勇者の仲間の体に浮かび上がる紋章は、勇者へ好意を持っていることを表している。
【剣の勇者】よりも【槍の勇者】を選ぶ――好きになった証として、これほど明確で絶望的なものはないだろう。
それを回避する条件は2つある。
1つは俺が寝込んでいないこと。
モンスターとの戦闘で全滅した場合、1週間、時間が飛んでしまう。
それは俺が治療のために寝込んでいるという設定になっている。
その間にイベントが発生すると有無を言わさず寝取られが進行する。
ヒロインを狙っている男がすぐそばにいるのに呑気に寝てたら一気に関係を進められてしまうということだ。
だから【槍の勇者】との合流後は、それまで以上に全滅しないことが大切だった。
そしてもう1つの条件は、もちろん【槍の勇者】への好感度よりも俺への好感度が一定以上高いことだ。
つまり俺は【槍の勇者】との合流前にテッサ姉たちからの好感度をどんどん稼いでいかなくてはならない。
ゲームでは好感度は話をしたりデートをしたり、恋人らしいことをすれば上がった。
もちろん、エッチでも。
告白イベント後の初エッチシーンは共通だったけど、その後にヒロインたちとエッチをするかどうかはプレイヤーの選択に委ねられる。
寝取られハーレムルートを見たいのであればエッチをせずに好感度を必要以上に稼がないというのも1つの手だった。
さて、俺はというと――
「うん。テッサ姉たちさえよければ」
ハーレムルートを狙うのだからもちろん好感度を上げる。
先ほどの大浴場での洗いっこでいちゃいちゃしたし、好感度は稼げているだろうが、上げられるだけ上げておいて損はない。
ここで3人からの誘いを断るなんて考えは俺にはなかった。
「でも、その前にちょっといい?」
ただ、問題が1つある。
避妊だ。
護衛依頼の集合場所に行く前にさりげなく薬屋に寄ったのだが、やはりと言うか何と言うか、コンドームなんてものはなかった。
この世界では当たるかどうかは運次第か、当たるまで出すのが常識のようだ。
作りたくなければ根性で外に出す。
俺も外に出すということを考えたが、今朝、この3人は妊娠した人が俺の正妻になるという話をしていた。
となると、外に出そうとしても足を絡めたりして阻んでくる可能性が高い。
ゴーシュがスキル練度を上げている今、テッサ姉たちを妊娠させて旅の歩みを止めてしまうのはまずい。
ぐずぐずしていたら必中効果を得たゴーシュが呪いスキルでテッサ姉に呪いをかけて寝取られが進行してしまう。
寝取られ回避のためにエッチはしたい。
そして同時に、寝取られ回避のために妊娠は避けたい。
どうにかして避妊をしなければ。
そこで俺が考えたのが、
「……これ、何?」
「スライムを倒した時に落ちる素材で作ったんだ」
錬金術でコンドームを作ることだ。
俺はスライムを倒した時に手に入る素材――ゼリー状の塊を錬金術を使ってコンドームっぽいものを作れないかと試してみたら、普通に作れてしまった。
試作段階だから破れないことを重視して、日本で売られていたような極薄ではなくけっこう厚いものだが、これで何とか避妊はできているだろう。たぶん。
今後、強度と薄さはどうにかしていくが、ひとまず今夜はこれを使う。
コンドームについてテッサ姉たちに説明すると、
「えー。お姉ちゃん、そんなのつけないでしたいよ」
「そんなのつけてちゃんとできるの?」
「ユーリ様のお子種を欲しかったのですけれど……」
案の定というか、あまり反応はよろしくなかった。
しかし、これは何としてでも通させてもらう。
俺は3人をなだめすかして、その日はゴム付きで愛しあった。
* * *
時は少々遡り、ユーリが3人と大浴場に入っている頃。
「おいワルド、何気絶して帰ってきてんだよ」
「お前があのドスケベな体の女たち連れてくるって自信満々に出てくから期待してたってのによ」
「やっぱ脳筋バカには無理だったか」
「うるせぇ、てめぇら!」
宿屋の別の部屋で、パーティー【猛き虎】のメンバーは酒を片手にリーダーであるワルドに文句を言っていた。
というのも、昼間に彼が女を手に入れてくると息巻いて出ていったくせに気絶してユーリに届けられたからだ。
何があったかとワルドに話を聞けば、自分が勝てばこちらの馬車に3人まとめてやってくるという約束のもとに騎士らしき女と戦うことになって、気づいたらこのありさまだったと言う。
つまり、女と戦って負けたということだ。
「ったく、【猛き虎】のリーダーともあろう男が、女に負けるなんて情けないと思わねぇのか?」
「うちのリーダー様はどうせその後のことで頭がいっぱいになってたんだろうさ」
「前かがみになって動けなくなっちまったとか?」
ガハハと笑うメンバーたち3人。
気絶して戻ってきた手前、ワルドはそんな3人に反論できない。
おもしろくなさそうに酒を飲むだけである。
「しっかし、マジでいい女たちだったよな」
「胸もケツもでけぇの何のってな」
「あー、あんな女どもがパーティーにいたら寝かせる暇もないくらい犯してやるのによ」
テスタロッサたち3人の肢体を思い浮かべながらくっちゃべるメンバーたち。
そんな彼らに、リーダーであるワルドはボソッとつぶやく。
「じゃあよ、賭けでもやるか?」
その言葉に、メンバーたちは驚愕の表情を浮かべる。
しかしそれも一瞬のこと。
その手があったかと言わんばかりに、誰一人の例外なくニヤリと笑った。
「あいつら、新人だろ? 護衛の任務も初めてっぽかったからな。十分に勝ち目はあるぜ」
「たまにはいいこと思いつくじゃねぇか、ワルド!」
「信じてたぜ、リーダー!」
「ったく、調子のいい奴らだぜ」
夜は更けていく。
様々な思惑を絡みつかせながら。
護衛依頼の1日目、これにて終了です。
ユーリくんとヒロインがいちゃいちゃするのには理由があるんです!
これから(エッチなこと以外でも)いろんないちゃいちゃを書きたいです!
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次回は3日後(8/31)の午前7時に更新予定です。




