15 これから起きること(マリアンヌ姫の場合)
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「さて、【剣の勇者】ユーリよ。そなたがこれから旅をしていくにあたり、我が国では最大限の援助を行っていくつもりじゃ」
きた。
マリアンヌ姫の参入イベントで少し話がそれてしまったが、この援助の話がこれから超重要になってくる。
RPGではモンスターを倒したらお金が手に入り、それを使って宿に泊まったり、アイテムや装備を購入するのが定番だ。
しかし、『俺の大切な仲間たちが寝取られるわけがない』ではモンスターを倒しても素材しか落ちず、お金は手に入らない。
なら、どうやってお金を手に入れていくか。
素材や素材から作ったアイテム・装備を売るのだ。
だが、スライムやゴブリンといった序盤のモンスターの素材じゃ大した値はつかないし、素材からアイテムや装備を作るには錬金術のスキルが必要。
そのため、序盤では満足な装備を揃えたりアイテムを充実させるどころか、宿屋に泊まるのにも苦労する。
そこで関わってくるのがこの援助の話だ。
簡単に言うと、国が金を出してくれる。
それは際限なく使えて、しかも俺は返済する必要もないという設定だ。
つまり国の援助を受ければ序盤から最高級の装備を使うことができるのだ。
ただし、もちろんそこに落とし穴がある。
あるっていうか作ったの俺なんだけど。
「我が国は小さい。ゆえに、すぐに用意できる額は決して多くないが、魔王を倒すことは世界に関わる大事。他国からも融資を受け、そなたたちへの援助を万全とすることを約束しよう」
はいきましたー。他国からの融資。
これですよ、これ。これが落とし穴。
あまり調子に乗ってお金を使いすぎると、ノナリロ王国が援助用として用意していた資金が尽きる。
そして、他国へ融資を募るイベントが起きるんだ。
その時に一番に手を挙げるのが、隣国にして世界でも有数の大国家であるカマラ帝国。
大国の名に恥じず、カマラ帝国はすさまじい額の融資をしてくれる。
それこそ、旅の最後まで援助金を使い続けても尽きないほどに。
しかし、その代わり、一定金額を使う度にある要求をしてくる。
マリアンヌ姫の体を捧げろ、と――。
カマラ帝国の皇帝ダマリスは、6年前にマリアンヌ姫を見初めた時から、彼女を自分のものにする機会を虎視眈々と狙っていたのだ。
そこに、ノナリロ王国から【剣の勇者】への援助の話を受け、それを利用してマリアンヌ姫を手に入れようとするという設定だ。
最初は体を触らせるとか軽いものだが、使用金額が増えていくにつれてダマリスの要求はエスカレートしていく。
そうして回数を重ねていくと、最終的にマリアンヌ姫はダマリスの女になり、勇者パーティーを離脱してダマリスに尽くすようになってしまうのだ。
このルートの回避方法は、お金を稼げるようになるまで、お金をあまり使わないこと。
こう言ったら簡単そうに見えるが、先ほども言ったように序盤は宿屋に泊まるのさえ苦労するレベルで金がない。
1日分の宿泊費を稼ぐためには、1人頭でだいたい100体分のスライムやゴブリンの素材が必要だ。
ゲームでは夜になるまでに倒せるのはせいぜい10体かそこらだったので、完全に赤字。
それでも、HPやMPを回復させるためには宿に泊まらなくてはならないし、装備も整えなきゃいけないし、アイテムも必要。
そうして、マリアンヌ姫の寝取られイベントが進行しやすいように、どんどんお金を使わざるを得ないシステムにした。
これも例によって親友にさすがだと褒められたもんだ。
強いモンスターを倒せるようになれば赤字を抑えられるようになっていくし、ラスボス手前にもなると援助金なんて必要ないくらい自分たちで稼げるようになる。
だから、宿屋に泊まる日が1日でも少なくなるように、できるだけ早く強くなって旅を進め、強いモンスターを狩って稼ぐのがマリアンヌ姫の寝取られを回避する正攻法だ。
ただ、迂闊に強いモンスターのいるエリアに行って全滅でもしようものなら、ペナルティとして1週間ほど時間が飛んでしまう。
その間、モンスターの素材を手に入れられないのに宿屋代は発生するし、テッサ姉の寝取られルートである呪いも進行する。
寝取られを見たいならわざと全滅するのもありだなとか考えてたっけな。
そのため、じっくりとレベリングをする必要があるのだが、それによって時間がかかって2人とも寝取られが進行していくジレンマが最高だったんだよなぁ。
そして実はこの援助金を使うと、エリスの寝取られルートは一瞬で回避できるし、錬金術のスキル本も手に入れることができる。
その代わり、一瞬でマリアンヌ姫の寝取られルートが最後まで進むけど。
そんなわけで、マリアンヌ姫を寝取られないようにするためには、どれだけ収入を増やして支出を抑えられるかが重要になってくる。
収入を増やすのは、強いモンスターが現れるエリアに行くのもそうだが、それに加えて自分で装備を作って売ることでまかなうことができる。
ここで俺がこつこつ練度を上げてきていた錬金術が役立ってくるってわけだ。
今の錬金術スキルの練度なら、良い素材が集まれば良い装備がどんどん作れる。
そして俺はレベル99。レベリングする必要なく、強いモンスターがいるエリアに行くことができる。
支出に関しては、一番のネックが宿屋だ。
装備なんかはそれぞれ良いものを1つずつ買えばいいけど、宿屋は何度でも使う。宿屋に泊まる回数をどれだけ抑えられるかが重要になってくる。
しかし、俺のレベルならば序盤で足踏みして無駄に宿屋に泊まることなく、さっさと先に進める。
さらに言うと、今までの12年間で倒してきたスライムやゴブリンが落とした素材がある。
実は騎士団の入団テストを受ける前にそれらの一部を売り払っていた。
それにより、500万マネーくらいのお金が手に入っている。
それにしても、お金の単位にひねりがないな……同人ゲームだからって手を抜きすぎたとは思う。
それはさておき、宿に泊まるには1人につき1万マネーがかかるから、4人で75日分は大丈夫だ。
もっとも、装備とかアイテムにもお金が必要だから全部宿泊費に使えるわけじゃないけど、ゲームのスタート時よりも資金に余裕があるはずだ。
ゲームでは1日に10体が限度だったけど、この世界では20体くらい倒せてたし、これ幸いと12年間森に入り続けていたのがよかった。
高く売れる素材が手に入るエリアにすぐに行けるし、錬金術スキルでお金を稼げるし、スタート時点で貯金もある。
つまり俺には、すでにマリアンヌ姫の寝取られを回避できる条件が揃っているのだ!
そしてそれは、エリスの寝取られ回避のための金策も錬金術のおかげで目途が立っていることも意味する。
テッサ姉の寝取られイベントはそもそも肉欲のゴーシュが現れた瞬間に倒せば終わる。
勝ったッ! 『俺の大切な仲間たちが寝取られるわけがない』完!
「ユーリよ。レベル99とはいえ、険しい旅であることに違いはあるまい。伝説の魔王のレベルもわからん……果たしてレベル99でも倒せるか」
魔王はレベル40で倒せます。
そんなことを言うわけにはいかず、俺は頭を下げたまま国王陛下の言葉を聞く。
「この国を……いや、世界を救うため、今こそ旅立つのじゃ!」
「はっ! マリアンヌ姫とともに【剣の勇者】としての使命、果たしてみせます!」
俺はこの時、寝取られ回避の準備は万全だと思っていた。
だってそうだろう。
俺にはゲームの知識がある。
各ヒロインの寝取られフラグも知っている。
それをどう折ればいいかも知っている。
そして、その準備は確かに終わっていたんだ。
ゲーム通りならば。
俺が絶対にゲームのシナリオを変えようとしている裏で、
逆に、絶対にゲームのシナリオ通りにしようとしている者がいるとも知らずに。
これでヒロイン3人の寝取られルートの説明終わりです!
あとはNTRハーレムルートが残ってますが……それはだいぶ後になる予定です。
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次回は明日(7/22)の午前7時に更新予定です。